FIGの今後の株価はどうなる?AI半導体で急成長、株価2,000円の可能性を検証




FIGはタクシー・バス向けIoTを主力とする企業だが、最近はAI半導体関連として注目され始めた。

2026年5月には半導体の検査工程を自動化する設備の開発を発表し、株価は短期間で急騰。

その後は大幅に調整したものの、好調な決算や台湾での試験運用などが評価され、足元では1,400円台まで再上昇している。

一方、予想PERは約65倍と高く、現在株価には将来の大幅な利益成長が織り込まれている。

本記事では、FIGの業績やAI半導体向け設備の成長余地、中期経営計画を整理し、今後の株価をどこまで期待できるのかを考察する。

FIGの株価はなぜ急騰したのか

AI半導体向け設備の開発発表で株価が急騰

FIGが急騰した最大の理由は、AI半導体向け設備への参入が明らかになったことだ。

傘下のREALIZEは2026年5月7日、台湾企業と共同で、世界的な半導体メーカー向けの先端AI半導体について、検査工程を自動化する設備を開発したと発表した。

FIGは従来、タクシーやバス向けシステム、決済、FA設備などが中心だった。

しかし、AI半導体の製造・検査工程から恩恵を受ける可能性が意識され、AI半導体関連株として一気に注目を集めた。

FIGは4つのセグメントから成り、AI半導体向け事業はREALIZEが手掛けている。出典:中期経営計画 2026年12月期-2028年12月期

わずか3週間で株価は一時3,075円まで上昇

AI半導体への期待により、FIGの株価をわずか3週間で約8.8倍に上昇した。

5月7日に349円だった株価は、20日に1,581円、21日に1,981円まで上昇し、27日には上場来高値となる3,075円を付けた。

FIGの株価はわずか3週間で急騰した。出典:日本経済新聞

株価が急騰した一方、当時はAI半導体設備の受注金額や量産台数、利益への貢献額は開示されていなかった。

つまり、実際の業績より将来期待を先回りした上昇だったと考えられる。

そのため、高値圏では短期資金や需給が強く影響し、上場来高値をつけた同日に暴落するなど不安定な値動きを見せた。

過熱感から株価は800円台まで急落

急騰後は反落が続き、一時800円台まで売られた。

高値からの下落率は70%を超える。

そこまで株価が下落したのは、期待に対する業績の裏付けが不足していたためだ。

AI半導体向け設備は大きな成長余地を持つ一方、量産採用や販売価格、導入台数などは未確定だった。

さらに新株予約権の行使などによる株式数の増加もあり、希薄化への警戒も重荷となった。

好業績・AI半導体向け進展で株価再上昇

8月には再び上昇に転じたが、これにはAI半導体向け設備の進展に加え、好業績が確認されたことが理由だ。

8月7日の第2四半期決算では営業利益が前年比5割増という好決算だった。

2026年12月期の上期決算は営業利益1.5倍で好調だった。出典:2026年12月期第2四半期 決算説明資料

しかも、AI半導体向け設備が台湾で量産を見据えた試験運用が進んでいることが明らかになった。

これらの好材料を受け、株価は8月13日の900円から急伸し、19日の終値は1,403円となった。

AI半導体以外でも業績好調

2026年上期の営業利益は5割増

FIGに投資する上で安心材料となるのが、AI半導体向け設備がまだ業績貢献していない段階でも利益が伸びていることだ。

2026年上期は営業利益が前年同期比約48%増となり、IoT・決済事業が安定収益を生む一方、ロボット・オートメーション事業も大きく成長した。

FIGの足元の業績は、売上以上に利益が伸びる好調な内容となっている。

2026年上期は売上高75.2億円、営業利益5.8億円、純利益3.7億円となった。

通期の営業利益予想10億円に対する進捗率は約58%だ。

大型設備案件は売上計上まで期間を要するため、上方修正につながるかは不透明だが、AI半導体設備の本格量産前から利益が大きく伸びていることは評価できるポイントだ。

IoT・決済事業が安定利益を生む

現在のFIGの利益基盤となっているのは、タクシーやバス向けを中心としたIoT・決済事業だ。

2026年上期の同事業は、売上高46.6億円、セグメント利益8.3億円となった。

配車システムや車載端末、キャッシュレス決済に加え、通信料やシステム利用料など継続収益を得られることが強みとなる。

FIGは2028年にIoT関連のサブスクリプション売上高52億円超、決済取扱高700億円を目指している。

安定収益を成長投資へ回せることが、FIGの事業構造の強みと言えるだろう。

ロボット・オートメーション事業が急成長

今後のFIGの利益成長を左右するのは、ロボット・オートメーション事業だ。

2026年上期の売上高は28.6億円で前年同期比23.9%増、セグメント利益は3.0億円で54.1%増となった。

AGVやAMRなどの搬送ロボットに加え、中外製薬工業の宇都宮工場には用水サンプリングロボットを導入している。

さらに、AI半導体向け自動化設備も同事業に含まれる。

従来のFA設備から製薬、ロボット、AI半導体へ用途を広げられるかが、中長期の成長を左右することになりそうだ。

株式の希薄化には注意

FIGの財務余力は高まった一方、新株発行による希薄化には注意が必要だ。

2026年6月末の自己資本比率は約66%、現預金は約35億円となり、AI半導体やロボットへの成長投資を行いやすい財務状態となった。

一方、新株予約権の行使などにより、発行済株式数は2025年末の約3,159万株から2026年6月末には約3,517万株へ増加している。

重要なのは、調達資金による利益成長が株式数の増加を上回るかだ。

利益が増えても、それを上回る希薄化が進めば、EPS(1株利益)はむしろ減少する。

今後はEPSを継続的に伸ばせるかが重要となる。

AI半導体向け設備で業績をどこまで伸びる?

世界的なAI半導体メーカー向け設備を開発

FIGがAI半導体関連として注目された理由は、先端AI半導体の検査工程に直接関わる設備を開発したためだ。

AI半導体向け設備が年間数十億円規模へ成長すれば、利益水準が一段と高まる可能性がある。

一方、現時点では受注金額や量産台数などが非開示で、期待を正確に業績へ落とし込むことは難しい。

REALIZEは台湾企業と共同で、AI向けGPUなどに使われる先端半導体パッケージの検査工程を自動化する設備を開発した。

AI半導体の生産量が増えれば検査工程の自動化需要も増える可能性がある。

ただし、最終顧客や台湾企業の名称は公表されていない。

今後の投資判断では不透明な思惑より、量産台数や受注額を見ることが重要となるだろう。

台湾では量産工程を見据えた試験運用へ

FIGのAI半導体向け設備は、開発段階から量産採用を判断する段階へ進みつつある。

2026年8月、GPUパッケージ自動着脱装置について、将来の量産工程を見据えた試験運用を実施していることが明らかにされた。

実際の製造環境で処理能力や精度、耐久性などが評価され、採用されれば複数台の受注につながる可能性がある。

一方、現時点では量産採用が確定したわけではない。

今後は「量産採用」「正式受注」「受注金額」の開示が最大の注目材料となる。

開発技術は国内メーカーにも横展開

AI半導体設備の成長性を考えるうえでは、台湾1案件よりも技術の横展開が重要となるだろう。

FIGは2026年8月、台湾案件で培った自動着脱技術を利用した設備を、すでに国内メーカーから受注したことを明らかにした。

同じ技術を別顧客や別工場、別工程へ展開できれば、一度の開発から複数の受注を生み出せる。

これは設備メーカーにとって利益を拡大する重要な仕組みとなる。

年間20~30億円に成長で利益構造が変わる

AI半導体関連の売上が年間20~30億円規模まで成長すれば、FIG全体の利益への影響は大きくなる。

2026年上期のロボット・オートメーション事業の利益率は約10%だった。

今後、量産効果などで10~15%程度の利益率を確保すると仮定すると、以下のような試算となる。

AI半導体関連の年間売上想定利益率営業利益への寄与
5億円10%約0.5億円
15億円12%約1.8億円
30億円15%約4.5億円

2026年の営業利益予想は10億円のため、30億円規模まで育てば利益を4割以上押し上げる可能性がある。

不確定要素は受注規模と量産台数

最大のリスクは、実際の受注規模が期待ほど大きくならない可能性があることだ。

現時点では設備単価、台湾案件の台数、量産開始時期、最終顧客、利益率などが開示されていない。

年間売上が5億円にとどまる場合と30億円に達する場合では、FIG全体へのインパクトは大きく異なる。

そのため量産採用が発表されても、受注額が期待以下なら材料出尽くしとなる可能性もある。

2028年中期経営計画から成長余地を検証

2028年に売上170億円・営業利益15億円を目指す

現在のFIG株を評価するうえでは、中期経営計画の達成だけでなく、そこからどこまで上振れできるかが重要だ。

FIGは中期経営計画において、2028年までに売上を約2割、営業利益を5割伸ばす計画だ。

2026年予想の売上高140億円、営業利益10億円に対し、2028年目標は売上高170億円、営業利益15億円となっている。

営業利益率も約7.1%から約8.8%へ改善する計算だ。

つまり、単なる規模拡大だけでなく、収益性の高いロボット、IoTサブスク、決済などを伸ばすことが前提となる。

さらにAI半導体設備が本格成長すれば、営業利益15億円という目標より上振れる可能性もあると考えられる。

ロボット・決済・サブスクが成長をけん引

FIGの中計はAI半導体だけに依存せず、複数の成長事業を持つ点が特徴だ。

2028年にはロボット関連売上高30億円、IoT関連サブスクリプション売上高52億円超を目指している。

キャッシュレス決済取扱高も2025年の約400億円から700億円へ拡大する計画だ。

IoT・決済で安定的な継続収益を増やしながら、ロボットや自動化設備によって成長率を高める構造となっている。

2028年のEPSは30~35円程度が目安

中期経営計画をそのまま達成した場合、2028年のEPSは30~35円程度になると予想される。

2026年予想では営業利益10億円に対して純利益6.8億円だ。

同じ比率を2028年の営業利益15億円に当てはめると、純利益は約10.2億円となり、現在の株式数を基準としたEPSは約29円となる。

また、会社が目標とするROE10%から逆算すると30円台半ばも想定できる。

したがって、2028年にはEPS 30~35円に成長していると予想される。

会社目標のPER20倍では株価600~700円程度

中期経営計画を達成した場合のEPSが30~35円であることを踏まえると、中計を達成するだけでは現在の1,400円台の株価を説明するのは難しい。

FIGは2028年の目標としてROE10%、PER20倍、PBR2倍を掲げている。

仮に2028年EPSを30~35円とすると、PER20倍を適用した株価は600~700円程度となる。

2028年EPSPER20倍
30円株価600円
32円株価640円
35円株価700円

EPSの上限35円を適用しても、現在の1,400円台とは約2倍の差がある。

市場はすでに、営業利益15億円を超える利益成長、またはPER30~40倍の高評価が続くことを織り込んでいると考えられる。

今後の株価見通し

現在のPER65倍には割高感

現在のFIG株は、足元の利益水準だけを見ると割安とは言いにくい。

8月19日の終値1,403円に対し、会社予想EPS21.46円から計算したPERは約65倍となる。

PBRも4倍を超え、会社が2028年目標としているPER20倍、PBR2倍をすでに大きく上回っている。

ただし、高PERだから直ちに割高とは限らない。

将来利益が急拡大すればEPS上昇によってPERは低下する。

今後のEPS成長をどう考えるかで、現在株価の評価も変わってくるだろう。

半導体装置企業と比べても高い評価

FIGのPERは、代表的な半導体・FA装置企業と比較しても高い水準にある。

8月19日時点では、ローツェが約24倍、タツモが約21倍、平田機工が約16倍であるのに対し、FIGは約65倍となっている。

FIGには、これから急成長する企業としてのプレミアムが付いていると考えられる。

企業主な事業予想PERPBR
FIGIoT・決済、ロボット・自動化約65倍約4.4倍
ローツェ半導体ウエハ搬送約24倍約5.0倍
タツモ半導体製造・搬送装置約21倍約2.0倍
平田機工半導体・自動車向けFA約16倍約1.3倍

現在株価の正当化には中計超過が必須

1,400円台の株価を長期的に維持するには、中計を上回るEPS成長が必要だ。

仮に2028年EPSが35円の場合、PER20倍なら株価は700円にとどまる。

1,400円を正当化するために必要なEPSを逆算すると以下のようになる。

想定PER株価1,400円維持に必要なEPS
20倍約70円
25倍約56円
30倍約47円
35倍約40円
40倍約35円

PER30倍を維持してもEPS47円程度が必要であり、AI半導体などによる中計超過が重要となる。

AI半導体の成長次第で上値余地も

AI半導体設備が継続的な事業へ成長すれば、1,400円台を超える株価も業績面から説明できる。

2028年EPSとPERから3つのシナリオを考えると以下のようになる。

シナリオ2028年EPS想定PER株価イメージ
中計達成30~35円20倍600~700円
AI半導体が成長40~50円25~30倍1,000~1,500円
AI半導体が大幅成長55~60円30~35倍1,650~2,100円

2,000円前後を目指すには、AI半導体を継続的に受注し、EPS50~60円台へ成長する必要があると考えられる。

まとめ

今後を左右する最大のポイントは、AI半導体への期待に実際の利益が追いつけるかである。

IoT・決済事業が安定収益を生み、ロボット・オートメーション事業も成長しているため、企業としての足元の業績は好調だ。

さらに、AI半導体向け設備は台湾で量産を見据えた試験運用が進み、国内メーカーへの横展開も始まっている。

一方、株価は1,400円台まで上昇し、中期経営計画を上回る成長をすでに織り込んでいる。

今後は量産受注や追加案件を積み上げ、EPSを40~50円以上へ伸ばせるかが株価上昇の鍵となりそうだ。