三井住友FGの株価が5,000円を超えると予想される「3つの理由」




銀行銘柄として高く評価されている三井住友フィナンシャルグループ(以下、三井住友FG)ですが、株価は4,000円未満の割安水準が続いています。

2021年度は純利益6,700億円に回復し、自社株買い込みの利回りは7%を超えると見られ、業績・利回りともに魅力的な銘柄だと言えるでしょう。

市場からの評価も高く、目標株価は5,000円以上のレポートが目立ちます。

株価5,000円に達するなら、4,000円付近で買った投資家は20%以上の含み益を抱えた上で、高い利回りを享受することができることができるでしょう。

本記事では、三井住友FGの株価が5,000円を超えると予想されている3つの理由について解説していきます。

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多くの証券会社が株価5,000円越えを予想

証券アナリスト12名中9名が「強気」

まず、三井住友FGに対する市場の評価を確認してみましょう。

三井住友FGは12名のアナリストにカバーされていますが、そのうち8名が強気、1名がやや強気、3名が中立という投資スタンスを取っています。

12名中9名が強気方向で、弱気が一人もいないというのは、株価上昇の可能性が高いことを示していると言えます。

12名中9名が強気方向を予想し、弱気方向の予想をしているアナリストは一人もいない。出典:マネックス証券

目標株価の平均を取った目標株価コンセンサスは、2021年11月時点で4,897円です。

現在株価は3,900円前後なので、目標コンセンサスと比較すると、ここから20%を超える上昇が見込まれているようです。

目標株価の平均は4,897円と高く、株価上昇が見込まれている。 出典:マネックス証券

強気予想の目標株価

それでは、各証券会社の実際の目標株価を見てみましょう。

以下が、強気予想を出している証券会社8社の目標株価です。

証券会社目標株価
JPモルガン5300円
みずほ証券5000円
モルガンS5300円
三菱UFJMS4900円
野村證券6300円
大和証券5000円
岩井コスモ5000円
ジェフリーズ4490円

ほとんどが5,000円を超える目標株価を掲げ、野村證券に至っては6,000円超えです。

これだけ多くの証券会社が強気姿勢を取るからには、何か明確な理由があるはず。その理由を確認していきましょう。

株価5,000円を超えると予想される3つの理由

理由① 事業環境の好転

貸倒引当金が大幅に減少

三井住友FGの株価上昇予想が増えた大きな理由として、事業環境の好転が挙げられます。

前年度は全国的に倒産件数が増え、融資先の倒産に備えるために多額の貸倒引当金(※)を計上。金額にして3,605億円となり、その分利益が減少して業績悪化につながりました。

(※)貸倒引当金とは、まだ回収不能な状況にはなっていないものの、債務者の資産状況や支払い能力などからみて回収不能のおそれがある債権のことをいいます。

引用:経理COMPASS

しかし、2021年度は経済の正常化が進んだことで倒産件数が減り、引当金が大幅に減少しました。

2021年度上期(4月〜9月)の引当金は266億円。対して、2020年上半期の引当金は2,001億円でしたので、1,735億円もの減少です。

引当金が減少した分だけ利益が増加し、2021年度の業績が急回復しているのです。

管理人

引当金が想定以上に減少したことで、2021年度上期の決算発表時に業績予想が上方修正され、純利益が6,700億円となる見通しとなりました(従来は6,000億円)。

アフターコロナ特有の収益も増加

また、新型コロナが起因となって発生した収益もあります。

新型コロナによって事業環境が大きく変化したことで、単独での生き残りが厳しくなった中小企業が再編される動きが加速。

株式・不動産などの金融取引が増加し、銀行の収益機会が増加しました。

これが業績を押し上げる結果となっています。

航空機リースも回復

新型コロナで大きく業績を落とした航空機リース事業も、2021年度に入って急回復しています。

2021年度の上期は純利益359億円を計上しましたが、これは前年度の利益のおよそ2.8倍です。

新型コロナ以前の純利益は800億円を超えていましたのでまだまだ回復途上ではありますが、経済活動が正常化に向かえば、さらなる回復が期待できそうです。

出典:三井住友ファイナンス&リース株式会社「2021 年 3 月期連結決算に関するお知らせ

理由② 経費削減による利益増加

業務効率化で費用1,000億円以上を削減

事業環境の悪化をきっかけに三井住友FGは効率化を積極的に進め、高い利益率を実現しました。

この効率化が株式市場から高く評価されていて、三井住友FGの株価上昇の原動力となっています。

効率化の中身は、まず営業店舗の改革と本部業務の効率化です。店舗の統廃合などで2022年度までに1,000億円を削減する計画を打ち立てています。

また、業務のデジタル化を推進し、さらに100~200億円程度を削減できる見通しです。

これらの効率化によって必要な人手が減少し、2019年度末には10万3,000人いた人員を2022年度末までに9万6,000人程度まで削減するようです。人件費削減効果も大きいでしょう。

利益率が大きく改善

費用削減によって利益が押し上げられた結果、経常収益に占める費用が減り、利益率が改善してきています。

以下の表は、2018年以降の経常収益と経常費用を一覧にしたものです。これまで、経常収益に対して8割ほどが費用としてかかり、2割ほどしか利益が残っていませんでした。

しかし、2022年3月期の上期は費用が7割ほどに低下し、3割以上を利益として残すことができています。

年度経常収益経常費用費用割合
2022年3月期(上期)1兆9655億円1兆3355億円68%
2021年3月期3兆9023億円3兆1913億円82%
2020年3月期4兆5919億円3兆6598億円80%
2019年3月期5兆7353億円4兆6000億円80%
2018年3月期5兆7642億円4兆6000億円80%

理由③ 高い還元利回り

総還元の利回りは7.26%

三井住友FGは株主還元に積極的で、これも株価を押し上げ大きな要因となっています。

以前まではそれほど積極的ではありませんでしたが、2017年から積極姿勢に転換し、増配と自社株買いがほぼ毎年行われています。

2022年3月期の配当は1株210円が予定されています。現在株価(3,900円)での配当利回りは5.38%と高水準です。

また、2023年度まで毎年1,000億円の自社株買いが予定されており、これを1株あたりの還元額に直すと、およそ73円となります。

配当+自社株買いの総還元額で考えれば、1株あたり283円となり、総還元利回りは7.26%にも上ります。

国内銀行でトップの利回り

他の銀行銘柄と比較しても、三井住友FGの配当利回りは最も高い数値です。

以下、三井住友FGを含む大手6行の配当利回りと実施中の自社株買いをまとめました。

銘柄配当利回り自社株買い
三菱UFJ銀行4.32%1,500億円
(利回り1.70%に相当)
みずほ銀行5.26%(無し)
ゆうちょ銀行5.13%(無し)
三井住友トラストHD4.37%(無し)
りそなHD4.68%(無し)
三井住友FG5.38%1,000億円
(利回り1.87%に相当)

配当利回りだけでもトップの数値ですが、ここに自社株買いが加わり7.26%となったことで、他の銀行銘柄とは大差の還元率です。

三菱UFJも自社株買いを発表しましたが、配当利回り+自社株買いを足した総還元利回りは6.02%と、三井住友FGには及びません。

仮に株価5,000円まで上昇したとしても、配当利回りは4.20%と十分。自社株買いをプラスすると5.66%となり、三菱UFJを除く4行よりも高い還元率を維持します。

この高い還元利回りが三井住友FGの高評価の要因となっているのです。

三井住友FGは買いか?

株価4,000円未満は買い時の可能性大

業績は回復基調で、利回りも非常に高い水準にあることから、4,000円未満の株価は買い時である可能性が高そうです。

利回りの高い銘柄には買いが集まり、株価が上がることによって利回りが適正水準まで下がる、というのが良くある上昇パターンです。

株価指標的にも4,000円未満の株価は安値水準だと言えます。

銀行業はPBR(株価純資産倍率)が重視されることが多いですが、三井住友FGのPBRは0.43倍。コロナ前のPBRは0.5倍前後でしたので、およそ20%くらいの差が出ています。

以下のグラフがPBR推移です。

PBRは新型コロナ発生以前と比較すると低水準で推移していることが分かる。出典:マネックス証券

PBRが0.5倍程度まで是正されるすれば、ここから株価が20%ほど上昇することが期待されます。

株価4,000円から20%上昇すれば4,800円で、目標株価コンセンサス(4,897円)と符合することからも納得感があります。

チャートは上昇トレンド継続

チャート的にも上昇トレンドの良い形です。

3月の高値(4,354円)から反落して4,000円未満に止まっているものの、長期線(下図緑線)は上昇しており、上昇トレンドが継続していることを示しています。

10月には長期線をタッチして上昇に向かっているため、今後も上昇トレンドが継続する可能性が高そうです。

株価は調整しつつも長期線では反発し、上昇トレンドが継続しそう。出典:日本経済新聞

今後の懸念材料

ただし、懸念材料があることも確かです。

直近の懸念材料は、新型コロナが再び拡大し、国内経済が停滞することです。倒産件数が増えれば貸倒引当金が増加し、業績が悪化する可能性が考えられます。

また、世界の景気回復が遅れることも懸念材料です。景気回復が遅れればそれだけ低金利が長期化し、金利収入の回復が遅れるかもしれません。

最も怖いのは世界的な金融ショックです。大きな話題となった中国の恒大集団をはじめ、巨大企業の倒産をきっかけに金融機関の破綻が連鎖し、三井住友FGも損害を被る可能性があります。

金融ショックの火種となりそうな事柄が報道されただけでも株価は大きく下がってしまうでしょう。実際、 恒大集団の報道が出始めたころは三井住友FGの株価も一時的に下落しました。

今後もいつ、株価を大きく下げるような悪材料が出るか分からず、常に一定のリスクが存在すると言えるでしょう。

まとめ

三井住友FGの予想株価が5,000円を超えている3つの理由について解説しました。

新型コロナによって倒産が増加し、銀行の業績が急悪化することが懸念されていましたが、恐れられていたほど倒産は増えず、銀行の業績は持ち直してきています。

三井住友FGは新型コロナによる危機を逆手に取り、一気に店舗の統廃合やデジタル化を推進し、経営効率を上げることに成功しました

今後、コロナ前の経済状況に戻れば、業績はコロナ前よりも改善し、株価も相応に上昇することが期待できそうです。

4,000円未満の株価で買っておけば、高い利回りを享受しつつ、長期的な値上がりも狙えそうだと考えています。




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