LINEの暗号資産取引サービス「BITMAX」で、暗号資産を貸出すことで金利が受け取れる「暗号資産貸出サービス」がスタートしました。
対象はビットコイン、イーサリアムをはじめとする5銘柄。貸出を行ったユーザーは1日ごとに所定の金利を受け取ることができ、少額ではあるものの暗号資産から収益を出すことが可能となります。
一方、いくつかのリスクもあります。貸出中は売却できないことや、運営会社が破産した場合に返却されない可能性がある、などです。
本記事では、暗号資産貸出サービスのメリット・デメリットを交えつつ、サービスの仕組みや使い方、注意点について解説していきます。
目次
BITMAX「暗号資産貸出サービス」の概要
暗号資産から金利が生まれる
BITMAXの「暗号資産貸出サービス」は、その名の通り暗号資産を貸し出すことができるサービスです。
貸し出すことで、数量・期間に応じた金利を受け取ることができ、暗号資産を単に保有している人は活用必須です。
金利は最大3%ですが、需要と供給の関係により1日ごとに変動します。
暗号資産貸出サービスの概要
暗号資産貸出サービスの概要を箇条書きでまとめました。
・保有する暗号資産に貸出し設定をすることで金利がもらえる
・1日ごとに金利が変動する。最大3%/年。
・貸出し数量には最低・最大がある(ビットコインの場合は0.1〜0.5BTCの範囲)。
・返却、追加貸出のタイミングで金利分の暗号資産が付与される。
・返却申請から実際の返却まで最大7日かかる。
貸出サービスのリスク
金利がもらえる反面、リスクもあります。
主なリスクは以下の3つです。
- 暗号資産の価格変動リスク
- 返却まで最大7日かかるため、すぐに売却できない
- 運営企業が破綻した場合は返却されない可能性
暗号資産は価格変動が激しいですが、貸出しサービスを使う場合は長期保有が前提となりますので、獲得した金利に以上の価格下落に見舞われるリスクがあります。
また、貸し出しを解除するまでに最大7日を要するため、すぐに現金化できないというのも大きなデメリットです。
さらに、可能性は小さいですが、BITMAXを運営する企業が破綻した場合、貸出中の暗号資産が返却されないということも考えられます。
暗号資産貸出サービスの仕組み
BITMAXを通じて暗号資産を貸し出す
暗号資産貸出サービスとは、BITMAXを通じて暗号資産を”レンタル”するサービスです。
世の中には暗号資産を借りたい人が一定数います。使い方としては主に「空売り」で、空売りすることで下落局面でも利益を出すことが可能です。
そのような人たちが金利を払い、暗号資産を借りているのですが、暗号資産貸出サービスでは暗号資産を貸す側に回り、金利を受け取ることができるのです。
暗号資産を貸すことで金利を得られる
暗号資産を貸す最大で唯一のメリットは、貸出期間に応じた金利を受け取ることができる、という点です。
借り手が払う金利を、貸し手として受け取ることができます。
金利は1日ごとの需要と供給で決まり、需要が大きい場合は金利が高くなり、貸し手としては大きな利益を得ることができます。
逆に、需要が小さい場合や、貸し手がたくさんいる場合は金利が低くなります。
貸し出すことができる暗号資産
BITMAXでは以下5銘柄を貸し出すことが可能です。
- ビットコイン
- イーサリアム
- リップル
- ライトコイン
- ビットコインキャッシュ
金利は銘柄ごとに個別に決まります。
貸出申請〜貸出までにかかる時間、返還申請〜返還までにかかる時間はどの銘柄でも共通です。
やるべきことは設定をするだけ
貸出方法については下の項目で手順解説をしますが、やるべきことはBITMAX上で設定を行うだけです。
保有している暗号資産に対し、貸出す数量をBITMAXに申請するだけですので、およそ1〜2分で終わります。
暗号資産を購入するよりよほど簡単ですので、困ることはないと思います。
暗号資産の貸出しで得られる金利
金利は日によって変動する
受け取れる金利は1日ごとに変動します。
需要が大きかった場合は金利が高くなり、逆に需要が小さければ金利が低くなる仕組みで、1日の終わりに金利がBITMAXを通じて分配されます(実際に受け取れるのは返却時)。
金利の目安は最大3%/年 程度です。つまり、10万円分のビットコインを1年間貸し出した場合、3,000円分の金利をもらえるということです。
ただし、最大3%/年 というのは、すでに暗号資産貸出サービスを行っているビットバンクの一例です。
BITMAXの最大年率が何%になるかは不明ですが、先行サービスに追随するのが通常ですので、およそ3%前後になると考えて間違いないでしょう。
2020年10月中は10%固定キャンペーン
BITMAXは暗号資産貸出サービス開始に伴い、金利優遇キャンペーンを開催しています。
キャンペーンにより2020年10月中は金利10%/年 固定です。
つまり、1日ごとに0.027%(10%÷365日)の金利がもらえる計算で、仮に0.5BTC(およそ60万円)を貸出した場合、0.000135BTC(およそ162円)が保有数量に加算されていきます。
暗号資産の貸出し方法
貸出サービスへの入り方
BITMAXを開くと、メニューの中に「貸出」というアイコンがありますので、ここをタップしてください。
貸出しを行う暗号資産銘柄を選ぶ
貸し出しを行うことができる銘柄と金利が表示されますので、貸出しをしたい銘柄を選んでください。
ただし、貸出しを行うには「最低貸出数量」以上を保有している必要があります。
貸出条件の確認
銘柄を選ぶと、貸借料率(金利)をはじめとした貸出条件詳細が表示されます。
変更になる可能性もありますので、必ずチェックしておいてください。
利用規約の同意
貸出しを行う前に利用規約への同意が求められます。
一通り確認しましたが、以下の点が特に重要だと思います。
・貸出す暗号資産は無担保
・BITMAX運営母体が破綻した場合、貸出し中の暗号資産は保証されない
・貸出し条件は都度変更される可能性がある
ルール・リスクを十分に把握した上で次に進みましょう。
貸出し数量の入力
いよいよ、貸出しを行う数量を入力します。
最低貸出数量や、貸出単位が決まっていますので、それらに従って数量を決めてください。
貸出申請完了
以上で貸出申請は完了です。
申請〜受理〜貸出開始までは時間差があり、スケジュールが貸出完了画面に表示されます。
貸出履歴のチェック
申請の状態は貸出履歴から確認できます。
貸出開始前なら「申請取下げ」からキャンセルすることも可能です。
暗号資産貸出サービスの注意点
貸出し中は売却できない
貸出サービスの貸出中は売却できないというデメリットがあります。
返却まで1〜7日を要し、その間は相場が急変動しても保有し続けるしかありません。
正確には、9:00〜翌8:59の間に返却申請が受け付けられ、11:59に貸出しが終了します。返却が可能になり次第返却されますが、最短当日、最長7日とかなり幅があります。
返却までタイムラグがあるのは暗号資産貸出サービスの最大のデメリットです。
貸借料がもらえるのは返却時
貸借料(=金利)を実際に受け取ることができるのは、貸し出した暗号資産が返却されるタイミングです。
貸出しを続けている限り、貸借料はもらえません。
つまり、返却申請から最大7日はかかるということです。
獲得した金利には税金がかかる
暗号資産の貸出しで受け取った金利には税金がかかります。
雑所得扱いになるはずですが、他の雑所得と合わせて20万円未満であれば確定申告は不要です。
20万円を超えた場合は確定申告を行って税引きを納めなければなりません。
株などのようにサービス側で徴収してくれれば楽ですが、BITMAXにはそのような機能はありません
運営企業が倒産した場合、返却されない可能性
BITMAXはLINEと野村証券が共同出資する「LVC株式会社」という企業が運営しています。
仮にこの運営企業が倒産した場合、貸出している暗号資産が返却されない可能性があります。
というのも、貸出している暗号資産についてはLVC株式会社の資産と分別管理されず、無担保での貸出しとなることが明記されています。
つまり、LVC株式会社が破綻した場合、保有資産が出資者に優先して分配される可能性があり、貸出しした全額が返却される保証はないということです。
とはいえ、LINEと野村証券の子会社が倒産する可能性は低いでしょう。過度に心配する必要は無いように思います。
2020年10月中は金利が10%となるキャンペーンを開催中です。より多くの金利を獲得できるチャンスですので、暗号資産を持っている方は暗号資産貸出サービスの活用を検討してみてください。