ユニチカ株はどこまで上がる?株価3,300円を予想、半導体材料と業績急回復を分析




ユニチカは2026年に入り大きく上昇し、投資家からの注目を集めている。

背景にあるのは、不採算事業からの撤退による収益改善と、半導体向け超薄型ガラスクロスの成長期待だ。

2027年3月期1Qは大幅増益の好調な滑り出しとなり、通期業績の上振れも意識されている。

一方、業績立て直しのために発行したC種種類株式には大規模な希薄化リスクがあり、今後の処理方法が株価を大きく左右する。

本記事では、ユニチカ株が急騰した背景から業績、成長材料、C種株の問題まで整理し、今後の株価見通しを考察する。

ユニチカはなぜ急騰した?株価推移を振り返る

AI・半導体関連株として株価急騰

ユニチカ株が本格的に上昇し始めたのは、2026年1月下旬のことだ。

市場ではAIデータセンター向け半導体の需要拡大により、高性能なガラスクロスの需給が逼迫するとの期待が高まった。

ユニチカは半導体パッケージ基板などに使用される超極薄ガラスクロスを手掛けている。

そのため、AI・半導体関連株として注目が集まった。

1月27日にはストップ高となり、翌28日も買いが殺到するなど、株価上昇が一気に加速した。

ユニチカの過去1年間の株価推移。一時は4,000円を超えるほどまで買われた。出典:日本経済新聞

株価は4,380円まで上昇、年初安値から約15倍

半導体関連材料への期待に加え、事業再生による収益改善も評価され、株価上昇は4月に入ってさらに加速。

2026年4月21日には一時4,380円まで上昇し、1990年代以来の高値圏まで買われた。

年初来安値287円と比較すると、上昇率は約15倍である。

不採算事業の撤退やコスト削減によって利益率が改善した上、半導体向け材料の成長期待が重なり、短期間で株価水準が大きく切り上がった。

減益予想で株価1,000円前後まで急落

4月に4,380円まで上昇したユニチカ株は、その後大きく下落している。

転機は5月に発表された2027年3月期の業績予想だ。

会社は2027年3月期の営業利益を80億円と予想し、2026年3月期から24.2%の減益を見込んだ。

2027年3月期は想定外の減益予想で投資家の失望を買った。出典:2026年3月期 決算説明会資料

高い成長期待が株価に織り込まれていたこともあり、減益予想を受けて利益確定売りが加速。

株価は6月には一時1,000円近辺まで下落し、4月高値から約4分の1の水準まで調整した。

1Q好決算で再上昇

しかし、8月に発表された好決算をきっかけに再び買いが集まっている。

2027年3月期1Qの営業利益は前年同期比46.4%増の41.6億円となり、通期予想80億円に対する進捗率はすでに50%を超えた。

純利益も前年同期比約3.1倍の40.6億円となるなど、構造改革後の収益力の高さが確認された。

決算発表後に株価は急反発し、8月14日には1,594円まで上昇した。

1Q決算は売上減少ながら大幅増益となり、投資家からの見直し買いのきっかけとなった。出典:2027年3月期 第1四半期決算の概要

不採算事業の撤退で収益改善

不採算事業から撤退する構造改革を実施

ユニチカは事業再生に向けて、繊維を中心とする不採算事業から大胆に撤退した。

2024年11月に公表した事業再生計画(下図)では、祖業である繊維事業を含め、不織布や産業繊維など複数の事業から撤退する方針を示した。

業績立て直しに向けて大胆な構造改革が発表された。出典:2025年3月期 中間期決算及び事業再生計画説明資料

一方で、フィルムや樹脂などの高分子事業と、ガラス繊維などの機能資材事業の拡大を目指す。

売上を維持することより、利益になる事業へ経営資源を集中する方針へ転換した形だ。

事業撤退に伴って一時的な損失や費用も発生したが、不採算事業を切り離したことで全社の収益性は大幅に改善した。

売上減少でも利益は増加

構造改革の効果を象徴しているのが、売上高の減少と営業利益の増加が同時に起きていることだ。

ユニチカの営業利益は、2024年3月期の25億円の赤字から、2025年3月期には59億円の黒字へ改善した。

さらに2026年3月期には営業利益105億円まで拡大し、わずか2年間で収益力は大きく変化した。

ユニチカの業績推移。2026年3月期は売上減少でも利益が急拡大した。

一方、不採算事業から撤退したことで、今後の売上高は大幅に縮小する。

現在のユニチカは、売上高よりも営業利益の改善を見ることが重要になっている。

2027年3月期1Qは好スタート

構造改革後の業績改善は、2027年3月期に入っても続いている。

1Qの売上高は241億円だった一方、営業利益は前年同期比46.4%増の41.6億円となった。

営業利益率は17.3%に達しており、2026年3月期通期の8.9%を大幅に上回る。

特に、高分子事業では高付加価値品へのシフトや価格改定、不採算販売の削減などが利益改善に寄与した。

機能資材事業でも半導体向けガラスクロスの販売が伸び、営業利益は前年同期から大幅に増加している。

成長分野である高分子事業が大きく伸び、営業利益拡大に寄与した。出典:2027年3月期 第1四半期決算の概要

通期予想には上方修正余地

1Qの進捗を考えると、2027年3月期の会社予想には上方修正余地がある。

会社が予想する通期営業利益は80億円だが、1Qだけですでに41.6億円を稼いだ。

進捗率はすでに約52%に達しており、残り9カ月で必要な営業利益は約38億円に過ぎない。

利益率が急速に悪化しない限り、上方修正する余地は大いにあるだろう。

1Qの利益率がそのまま続くと考えるのは楽観的過ぎるが、構造改革による収益力改善が定着すれば、通期業績の上振れ期待が今後の株価材料になる可能性がある。

半導体向けガラスクロスが新たな成長ドライバー

半導体の高性能化で超薄型ガラスクロス需要が拡大

ユニチカが手掛ける超薄型ガラスクロスは、半導体の高性能化によって需要拡大が期待される製品である。

ガラスクロスは、樹脂と組み合わせて半導体パッケージ基板などの基材として使用される。

ユニチカは電子部品向けのガラスクロスで高い技術力を誇る。出典:ユニチカ 電子材料プリント配線基板用

半導体の配線が細かくなり、パッケージの薄型化や高密度化が進むほど、使用されるガラスクロスにも薄さや寸法安定性が求められる。

技術的な要求水準が高いため、半導体市場の成長を高付加価値製品の販売拡大につなげられる点が強みである。

アプリケーションプロセッサー用途で採用が拡大

足元では、ユニチカのガラスクロスがアプリケーションプロセッサー向けを中心に販売を伸ばしている。

会社は2027年3月期1Qについて、超薄型ガラスクロスのアプリケーションプロセッサー用途で採用が拡大したと説明している。

アプリケーションプロセッサーは、スマートフォンなどの頭脳となる半導体です。CPUやGPUなどを搭載し、アプリの実行、画像処理、通信制御など、端末の主要な処理を担います。

高性能化が進むほど高度な材料が必要となるため、ユニチカの高機能ガラスクロスにとって追い風だ。

実際、ガラス繊維を含む機能資材事業の2027年3月期1Q営業利益は約11億円となり、前年同期比で136.9%増加した。

半導体向け製品の販売拡大が、すでに業績にも表れ始めている。

AI半導体需要の拡大も追い風

今後は、AI半導体市場の拡大もユニチカに追い風となる。

生成AIの普及によって、データセンター向けの高性能半導体への投資が世界的に拡大している。

半導体の高性能化が進めば高機能ガラスクロスの需要が拡大していくだろう。

そのため、市場ではユニチカをAI・半導体関連銘柄として評価され始めている。

高分子事業も好調で「半導体一本足」ではない

ユニチカの強みは、成長期待が半導体向けガラスクロスだけに依存していない点にもある。

2027年3月期1Qでは、高分子事業が売上高約170億円、営業利益約31億円を計上し、全社利益の大部分を稼いだ。

包装用フィルムでは高バリアナイロンフィルムなどの高付加価値品が伸びているほか、電子材料向けの工業フィルムも収益改善に貢献している。

つまり、安定的に利益を稼ぐ高分子事業を土台としながら、半導体向けガラスクロスを成長分野として伸ばす構造となっている。

半導体需要の拡大が続けば、構造改革による収益改善に加えて成長性も評価されるようになり、株価を押し上げる材料となるだろう。

最大の投資リスク「C種種類株式」

REVICが保有するC種種類株式とは

ユニチカの今後の株価は、事業立て直しのために発行した「C種種類株式」をどのように処理するかによって大きく変わる。

C種種類株式は、ユニチカの事業再生を支援するためにREVICが約200億円を出資して取得した株式だ。

ユニチカは財務悪化を受けて事業再生計画を策定し、2025年にREVICを引受先としてC種種類株式1億1,550万4,600株を発行した。

REVIC(地域経済活性化支援機構)は、国が設立した官民ファンドです。企業の事業再生や成長支援などを目的に、出資や経営支援などを行います。

これによって約200億円の資本を調達し、財務基盤の立て直しを進めている。

C種種類株式には優先配当などの条件に加えて、一定の条件を満たすと普通株式へ転換されてしまう。

つまり、事業再生を進めるうえでは大きな支えとなった一方、既存の普通株主にとっては将来的な希薄化要因にもなり得るのだ。

普通株転換なら最大9倍の希薄化

C種種類株式がすべて普通株へ転換された場合、約4.62億株もの普通株が追加される可能性がある。

現在の普通株式数は約5,775万株であるため、約4.62億株が追加されれば、普通株式数は現在の約9倍にまで増加する。

会社資料でも、潜在的な希薄化率は約803%とされている。

実際、2027年3月期1Qの基本的1株利益は70.35円だった一方、潜在株式を考慮した希薄化後1株利益は7.81円まで低下している。

したがって、ユニチカをPERで評価する場合、現在の普通株だけを使ってEPSを計算すると企業価値を過大評価する可能性がある。

現金償還なら必要額は約200億円

ただし、約4.62億株の普通株が必ず発行されるわけではない。

ユニチカには、C種種類株式を金銭と引き換えに取得する仕組みも用意されている。

C種種類株式の払込総額は約200億円であり、全株を現金取得する場合に必要となる基本的な金額も約200億円だ。

決して小さな金額ではないが、普通株を約4.62億株発行することによる希薄化を回避できるのであれば、既存株主にとってはメリットが非常に大きい。

そのため、今後の株価を左右するのは「C種種類株式がどのような方法で処理されるか」である。

現預金約452億円で200億円を支払えるのか

現在の財務状況を見る限り、C種種類株式の全額償還は現実的な選択肢だ。

2026年6月末時点でユニチカは約452億円の現金・預金を保有している。

また、2026年3月期の営業キャッシュフローは約56億円、前期も約63億円のプラスだ。

構造改革によって営業利益が大幅改善し、今後も一定の営業キャッシュフローが得られるだろう。

そのため、C種種類株式が普通株に転換される可能性は低いように思われる。

約286億円の借入金借り換えがカギ

C種種類株式を現金償還できるかは、約286億円の長期借入金を借り換えられるかどうかにかかっている。

2026年6月末時点で、ユニチカには約286億円の1年以内返済予定長期借入金が存在する。

この約286億円を現在の現預金から返済したうえで、さらに約200億円のC種株を償還しようとすれば、手元資金は不足してしまう。

一方、借入金を長期資金へ借り換えることができれば、約200億円の現金償還は十分に視野に入る。

ユニチカの自己資本比率は大幅に改善しており、収益力も回復しているため、金融機関との借り換え交渉を進めやすいはずだ。

長期借入金の借り換えをクリアできれば、C種種類株式による希薄化懸念は後退するだろう。

ユニチカの今後の株価見通し

現在株価は業績回復を一部織り込んでいる

ユニチカの今後の株価は、足元の高収益が継続するか、そしてC種種類株式をどのように処理するかによって大きく変わる。

ユニチカ株はすでに大幅上昇しており、希薄化を考慮せずに計算したPERは約18倍だ。

このPER水準は、業績改善や半導体向けガラスクロスへの期待が一定程度織り込まれていると考えられる。

また、C種種類株式を現金償還できる前提にもなっている。

そのため今後の株価は、上方修正期待を維持しつつ、C種種類株式の償還に向けた見通しをつけることが上昇の条件となる。

1Q業績継続で予想株価は3,300円

1Qの利益水準が今後も続くと仮定した場合、ユニチカの予想株価は3,300円程度と予想する。

2027年3月期1Qの純利益は40.56億円だったため、単純に4倍すると年間純利益は約162億円となる。

一方、C種種類株式には2027年3月期に1株3.18円、総額約3.7億円の優先配当が予定されている。

この優先配当を差し引いた利益を現在の普通株式数で割ると、EPSは約275円となる。

ここにPER12倍を適用すると、予想株価は次のようになる。

1Q業績継続を前提とした予想株価

予想株価=EPS 275円 × PER12倍 = 3,300円

もちろん、1Qには為替差益なども含まれているため、単純に4倍した利益がそのまま実現するとは限らない。

それでも、会社予想の純利益50億円に対して1Qだけで40億円を超えていることを考えると、現在の会社予想にはかなり保守的な印象がある。

C種株の現金償還で株式評価は改善

C種種類株式を現金で償還できれば、株主にとって最も好ましいシナリオとなる。

現金償還できれば、約4.62億株という潜在的な新株発行を回避できる。

さらに、C種株が消滅すれば、年間約3.7億円の優先配当負担もなくなる。

ただし、約200億円の現金流出によって手元資金が減少するほか、借入金で償還資金を用意すれば支払利息も増える。

そのため、C種株を償還できるかだけでなく、財務負担を抑えながら償還できるかも評価軸に加える必要がありそうだ。

C種株転換なら株価急落は不可避

反対に最も厳しいシナリオが、C種種類株式がすべて普通株へ転換されるシナリオである。

C種種類株式の当初取得価額は43.29円に設定されており、当初条件では最大約4.62億株の普通株が交付される可能性がある。

2027年3月期1Qでは、通常のEPS70.35円に対して潜在株式調整後EPSは7.81円まで低下している。

この7.81円を単純に4倍すると年間EPSは約31円となり、PER12倍を適用した株価は375円だ。

つまり、同じ利益を稼いでいても、C種株を現金償還するケースと全て普通株へ転換するケースでは、1株価値に大きな差が生じる。

ユニチカに投資するうえでは、将来利益の予想以上にC種株の出口戦略が重要と言っても過言ではないだろう。

業績上方修正と半導体材料の成長が上値余地

今後さらに株価が上昇するには、業績上方修正と半導体向けガラスクロスの成長が必要になる。

1Q営業利益41.6億円に対して会社の通期予想は80億円であるため、2Q以降も好調が続けば上方修正につながる可能性がある。

特に注目したいのが、半導体向け超薄型ガラスクロスの販売動向だ。

会社は1Qについて、電子材料分野の好調な需要や高付加価値・高機能製品の販売増が利益改善に寄与したと説明している。

高機能ガラスクロスが継続的に成長すれば、現在の高い利益率が一時的なものではないことが確認できる。

そうなれば、市場から成長企業として評価され、PERが切り上がる余地も出てくるだろう。

まとめ

ユニチカは、不採算事業からの撤退によって収益構造を大きく改善し、半導体向け超薄型ガラスクロスという新たな成長材料も加わったことで、企業価値の見直しが進んでいる。

今期は営業利益、純利益ともに高進捗となっており、今後もこの利益水準が続けば上方修正の可能性は高い。

一方、最大の論点はREVICが保有するC種種類株式だ。

現金償還なら希薄化回避につながる反面、普通株転換なら1株価値は大きく低下する。

今後は、業績の継続性、C種株の処理方法、借入金の借り換えを確認しながら投資判断をすることとなるだろう。