キャッシュレス戦争では最終的に20以上あるアプリが3〜4種類に絞られ、残りは統合されるか撤退する結末になると言われています。
そんな中、異彩を放つキャッシュレスアプリ「pring」が生き残りをかけ、より簡単に、より便利に進化しています。
大規模な還元キャンペーンで使われるのは一時的。pringは利便性で選ばれるポテンシャルを持ち、将来的にはPayPayすら超える可能性があると考えています。
今回は、そんなpringの特徴や機能を徹底解剖し、さらにpringアプリの将来を占ってみたいと思います。
pringはどんなアプリ?
pringの特徴
まずはpringの特徴をご覧ください。
- (1)個人間送金ができる
- (2)銀行口座直結で出し入れ自由
- (3)金融庁の資金移動業として登録
pringを語る上で欠かせないのは、資金移動業として金融庁から認可を受けている点です。
これにより、銀行口座から入金するだけでなく、口座に戻すことも可能になっているのです。
例えば、資金移動業として登録していないSUICAは、入金することはできても銀行口座に戻すことはできません。
資金移動業であるpringは、口座からリアルタイムでお金を出し入れすることができ、スマホアプリでありながら現金を持っている感覚を実現している、というのが最大の特徴です。
しかも、別の銀行口座や家族・友達に送金するのも可能で、pringアプリをハブとしてお金を自由に移動させることができるのです。
使いやすさと手数料完全無料にこだわったキャッシュレスアプリ
pringアプリの使い方は単純明快です。
余計なボタンや機能は一切ありませんので、「おばあちゃんでもカンタンに使える」と言われるほどシンプルな作りになっています。
しかも、pringアプリでは手数料が一切かかりません。
お金関連のサービスでは出金手数料がかかるのが常で、有名なPayPayでは100円、LINE Payでは200円の出金手数料を徴収します。
それに対し、pringでは出金も送金も、何もかも手数料無料が無料です。
これにより、入出金や送金の障壁が一切なく、お金の動きがスムーズになっています。
メッセンジャー機能が便利!
pringはLINEのようなメッセンジャー機能があり、メッセンジャー上でお金を送ることができます。
飲み会の割り勘金額を伝えたり、払い忘れている人にちょっとメッセージを送ったりなど、お金に関するコミュニケーションは意外と多いもの。
pringのスローガンは「お金から、なかよく」。メッセンジャー機能を使えば、ちょっと気まずいお金のやりとりが簡単にできますよ。
みずほ銀行とメタップスが共同出資で開発
pringにはメガバンクの一角であるみずほ銀行が出資しています。
銀行のお墨付きアプリであることはユーザーの安心にもつながりますね。
ちなみに、みずほ銀行が運営しているキャッシュレスアプリ「J-Coin Pay」のシステムはpringそのもの。優れたアプリ設計から、みずほ銀行がシステムの購入に踏み切ったようです。
支払いに使えるお店はまだ少ない
使いやすさと手数料無料を重視しているpringですが、現在使える場所は主要な駅周辺のお店に限られます。
とは言え、マップで見るとこれだけのお店で使うことができます。
また、2020年2月からは全国のファミリーマートで利用できるようになる予定。そうなれば、使える場所が一気に拡大しますね。
pringが使える「お店マップ」はこちらで見ることができます。
https://www.omise-map.jp/pring?utm_source=app&utm_medium=banner&utm_campaign=omisemap1114
テレビCMをやる可能性大
pringは将来的にLINEユーザー数(8000万人)を超えることを目指しており、2020年内にCMを打つ可能性が高いと思っています。
キャッシュレス戦争に巻き込まれないよう、スマホ決済の還元合戦がひと段落したら、CMをはじめとしたユーザー拡大に向けたPRを行うでしょう。
pringの主な機能
pringの主な機能は次の7種類です。
これを見ただけではよく分からないと思いますので、一つずつ解説していきますね。
- (1)ユーザー同士の送金機能
- (2)お店での決済機能
- (3)アプリへのチャージ機能
- (4)アプリからの出金機能
- (5)メッセンジャー機能
- (6)コミュニティ機能
- (7)アカウント使い分け機能(マルチフェイス)
(1)ユーザー同士の送金機能
メニューの「お金をおくる」から相手と金額を指定することで簡単に送金することができます。
特に便利なのはメッセンジャー上でお金が送れる点。
お金のやり取りは無機質になりがちですが、メッセージをやりとりしながらだと送る側も送られる側も気持ちが良いですよ。
送金先の指定には、電話番号かpringID、またはQRコードがあればOK。追加した相手は一覧に表示され、次回から簡単に送金できるようになります。
(2)お店での決済機能
メニューの「お店ではらう」をタップするとQRコード読み取り画面に移動し、お店のQRコードを読み取ることで支払いができます。
使えるお店は、飲食店や美容室、雑貨屋などさまざま。2020年2月からは全国のファミリーマートで使えるようになりますので、一気に利用できる場所が広がる予定です。
(3)アプリへのチャージ機能
pringへのチャージ方法は
- ・セブン銀行ATM
- ・銀行口座
の2通り。
銀行口座は現在、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行を含む計39行に対応しており、困ることはないでしょう。チャージは1日100万円まで可能です。
(4)アプリからの出金機能
pringからの出金は入金と同じくらい簡単なのが嬉しいポイントです。
出金方法は、入金と同じく
- ・セブン銀行ATM
- ・銀行口座
の2通りです。
セブン銀行ATMから現金で出金できますので、「現金が足りない!」という場合でも、近くのセブンイレブンに駆け込めば現金を手に入れることが可能ですよ。
もちろん、現金で下ろしても手数料は無料です。
(5)メッセンジャー機能
メッセージをやり取りしつつお金の送金・受金もできる便利な機能です。
幹事が金額を伝えてお金を回収するまでpring一つで済ませますし、もしお金が余ったときに1円単位で返金することができます。
実際に使ってみるととても便利ですよ。
(6)コミュニティ機能
このあたりはおまけ機能になってきますが、pringに「コミュニティ」機能が最近追加されました。
コミュニティを作ると、コミュニティ内でしか見られない投稿を行うことができ、投稿に対してメンバーが「投げ銭」ができるという仕組みです。
例えば、漫画家のたまごがコミュニティ用の漫画を描き、応援するメンバーが支援として投げ銭を行う、という使い方が考えられます。
もっと気軽に日常を投稿するのもアリです。アイデア次第でいろいろな使い方がありそうですね。
(7)アカウント使い分け機能「マルチフェイス」
pringではサブアカウントを作ることができ、相手や使い道によって使い分けるのをオススメしています。
サブアカウントごとに残高を持ちますので、食費や光熱費などで使い分けると管理が楽になりますね。
また、仕事相手やプライベートの友人で使い分けても良さそうです。
株式会社pringはどんな会社?
pringアプリについて説明したところで、pringを運営している「株式会社pring」がどのような会社か解説していきます。
従業員20名ほどのベンチャー企業
株式会社pringは2017年5月に創業し、まだ20名ほどのベンチャー企業です。
お金を預けても大丈夫か心配になってしまうかもしれませんが、pringにはみずほ銀行が出資しており、信頼性としては申し分ありません。
また、出資会社の一つで、決済領域に強いメタップスからシステムの知見を受け継いでいます。それにより金融庁から資金移動業の認可を受けることに成功しています。
12.8億円の資金調達に成功
2018年11月に伊藤忠商事やSBIインベストメント、日本瓦斯(ニチガス)などから合計12.8億円の資金調達に成功しました。
これによりメタップスからの子会社から外れ、単独の会社となりました。この資金調達を足がかりにIPOを目指して事業を拡大していく計画です。
pringのお金ブログ「プリンのお金会議」
pringはベンチャー企業らしくブログやSNSなどを積極的に活用しています。
pringのブログ「プリンのお金会議」では、
- ・上司との飲み会は「おごり」じゃないと参加したくない!?飲み会のお金事情を調査!
- ・夫婦のプレゼント予算は○○○円!?家庭・育児にまつわるお金のアレコレ
- ・【悲報】女性の9割がお金が原因で気になる男性に冷めた経験アリ!?
などのようなお金にまつわる調査結果や、pringアプリ活用の現場をリポートしたりしています。
YouTuberとして動画も配信中
pringメンバーが作る動画をYouTubeに投稿する活動もしています。
再生回数はあまり伸びていませんが、クオリティが高くて面白いですよ。
キャッシュレス戦国時代でのpringの勝算
最後に、キャッシュレス戦国時代のこれからをpringがどう生き残って行くのか、筆者の予想を書いていきたいと思います。
還元戦争を避けてユーザーを拡大
キャッシュレスの還元戦争は、PayPayの「100億円キャンペーン」に始まり、LINE Payも「300億円祭」を行うなど、ベンチャー企業が太刀打ちできる規模ではありません。
大企業同士がやりあっている時はキャンペーンやPRを控え、ひと段落したあたりでユーザー拡大に向け資金を投入するはずです。
今はキャッシュレス市場が開拓されているところ。ユーザーがキャッシュレスに慣れたあたりで、より便利なpringに乗り換えてもらう、というのが良い戦略です。
手数料永久0.95%は他社がマネできない強み
pringは銀行口座直結ですので、加盟店手数料0.95%という業界最低水準を実現しています。
一方、他のキャッシュレスアプリはクレジットカードからのチャージが基本ですが、その場合、クレジットカード自体の手数料が3%前後かかってしまいます。
したがって、他のキャッシュレスアプリはpringの手数料0.95%に追随できません。
PayPayやLINE Payが3年という期間限定で手数料0%を打ち出しているのは、手数料を肩代わりしているためで、いずれ3〜4%の手数料に戻さざるを得ません。
その時、pringの手数料の低さは加盟店開拓に非常に有利に働くでしょう。
2022年に日本人の大半が知るアプリを目指す
株式会社pringは創業から5年目となる2022年をターゲットに事業を進めています。
その目標は大きく、「日本人の大半が知るアプリ」に成長させること。
日本で人気のSNSであるTwitterのユーザー数は4500万人ですが、pringはそれに匹敵するほどのユーザー数を目指すということです。
スマホ決済トップのPayPayですら2019年11月時点で2000万人ですが、2022年にはスマホ決済が当たり前になっていると予想され、pringがスマホ決済アプリの一つとして生き残れば達成できない目標ではありません。
まとめ
現在のスマホ決済アプリは20種類近くありますが、最終的に生き残るアプリは3〜4種類だと言われています。
確率で考えるとpringが生き残るのは難しそうですが、pringは他のアプリにはない特徴をいくつも備えており、スマホのホーム画面にいる権利が与えられる可能性は決して低くありません。
「お金から、なかよく」をスローガンに手数料を極限まで減らし、お金の流れをスムーズにするpringの構想は非常に優れています。
未来は誰にもわかりませんが、2022年には誰もがpringを使っているのではないでしょうか。