ホロライブの人気Vtuber「湊あくあ」の卒業が突然発表された。
湊あくあはYouTubeチャンネル登録者数200万人を超え、ホロライブ2期生として6年間活動してきた重要メンバーだ。
それだけに、投資家に与える衝撃も大きかった。
発表当日の夜間取引では-7%下落し、翌日の取引では-8.6%の下落となったほどだ。
しかし、ホロライブメンバー89名のうち、1人が卒業しただけと考えれば下げ過ぎの印象もある。
実際のところ、湊あくあの卒業によって業績にどれくらい影響するのだろうか。
また、株価面ではどの程度下がるのが妥当なのだろうか。
本記事では、湊あくあの卒業が株価に与える影響について考察する。
目次
湊あくあ卒業発表後の値動き
まずは卒業発表直後の値動きを確認しよう。
以下が卒業前後の株価チャートだ。
卒業発表の翌日、株価が急落している様子が分かる。
発表前の株価(8月6日)は1,762円だったが、翌日(8月7日)には一時1,610円まで売られ、下落率は-8.6%を記録した。
ただし、8月7日は日経平均が過去最大の上げ幅を記録した日で、カバーにもそれなりの資金が流入したはずだ。
そのため、卒業の影響が正しく株価に反映されていない可能性があるだろう。
カバーの業績への影響は?
計算の前提条件
では、湊あくあの卒業がカバー全体に与える影響はどれほどだろうか。
YouTube登録者数やVTuber1人あたりの年間収益が公開されているので、それらから推測してみよう。
前提条件は次の4点だ。
失われる年間売上げは7億円
在籍VTuber89名に対し、総ch登録者数が9,225万人なので、平均104万人だ。
一方、湊あくあの登録者数は205万人なので、平均の約2倍である。
つまり、ホロライブのVTuberの平均よりも2倍稼いでいると推測できる。
したがって、「在籍VTuberあたり年間収益」の2倍稼いでいると推測できるため、湊あくあ卒業によって失われる年間収益は【3億5,300万円×2≒7億円】と予想できる。
失われる粗利は年間3.5億円
利益ベースではどうだろうか。
カバー全体としては、粗利益率は45~50%で推移している。
売上げのおよそ半分が粗利になると考えると、7億円の50%、つまり3.5億円の粗利が湊あくあ卒業によって失われる計算になる。
カバー全体としては-2.5%の減益
それでは、粗利3.5億円が失われる事は、カバー全体にとってどれくらいのダメージなのだろうか。
前年度のカバーの粗利はおよそ140億円だった。
つまり、粗利3.5億円は全体の2.5%に当たる。
3.5億円÷140億円×100(%)=2.5%
株価は基本的に利益と比例するため、理屈としては、株価としても-2.5%の影響を受けるのが妥当だ。
株価への影響はさらに大きい
もっとも、株価は投資家心理も反映するため、分かりやすい悪材料が出ると理屈よりも大きく下げるものだ。
今回の場合、ホロライブ二期生の人気VTuberが突然卒業を発表したことで、投資家的には今後のリスクを意識せざるを得ない。
つまり、今後も突然人気VTuberが卒業する可能性が意識されるということだ。
それだけ、カバーの株を買いにくくなってしまい、株価にはマイナスに作用するだろう。
実際には-2.5%を超える利益減少と推測
また、湊あくあ卒業によって失われる粗利が2.5%に止まらない可能性もあるだろう。
湊あくあは主演ゲームが制作されるほどの人気を誇るため、グッズ販売はカバーの平均的なVTuberの2倍に止まらないはずだ。
さらに、卒業発表によって主演ゲームが開発中止になったため、将来発生するはずだった利益はさらに膨らむ。
株価はどこまで下がるか?
卒業の影響はいったん織込み
計算上、失われる利益が全体の2.5%だったため、株価も2.5%下がるのが妥当だ。
単純に計算できない要因も含めると、-5%くらいの下落が想定線になってくる。
一方、卒業翌日には-8.6%の下落となった。
したがって、湊あくあ卒業の影響はいったん株価に織り込まれたと考えて良いだろう。
つまり、短期的には卒業を材料とした株価下落は終わったと考えて良い。
実際に業績悪化なら、さらに下落
今後の業績によってはさらなる下落要因となり得る。
カバーはグロース銘柄であり、増収増益が大前提の銘柄だ。
成長が鈍るようなら株価急落を覚悟しなければならないが、今回の卒業によって、今後の決算が冴えない可能性が高まった。
決算が冴えなければまた売られてしまうため、卒業による株価下落がもう一度来ることを覚悟するべきだろう。
大型株であれば投資家層が厚いため、過去の材料による業績鈍化は織込済みとして見てもらえるが、カバーはまだまだ投資家層が薄い。
そのため、数字が悪ければ有無を言わさず売り込まれてしまうリスクがある。
株価1,500円が下げ止まり水準
株価の下落余地としては、1,500円付近が下げ止まりの目安だ。
これは2024年5月に付けた安値で、チャートを見る投資家からは下げ止まりが意識される水準である。
したがって、1,500円付近まで下がると買いが入りやすく、実際に下げ止まる可能性が高い。
株価指標としてもPER20倍を切るため割安感が強くなる。
もし1,500円を割り込んで下落が続けば、下げ止まりの節目が無い底なし沼となるため、いったん様子見したほうが賢明だ。
まとめ
湊あくあの卒業がカバーの株価に与える影響について考察した。
チャンネル登録者数をベースにした影響は利益2.5%減少という計算結果だったが、実際のところは最大-5%くらいの影響が出る可能性がある。
さらに、投資家に与えた衝撃も大きく、人気VTuber卒業が意識されてカバー株が買いづらくなった。
したがって、卒業翌日の-8.6%下落というのは、それらしい下げ幅だったと言える。
逆に言えば、短期的には湊あくあの卒業は株価に織り込まれただろう。
株価の下値は1,500円が想定されるため、ここまで下げるなら打診買いを始めたいところだ。