三菱地所は超期の下落トレンドに陥っていますが、いよいよ下げ止まりそうです。
1,600円を割り込んだのは2013年の金融緩和以来で初。
物価上昇という意味では金融緩和は失敗でしたが、その失敗を完全に織込んだと言えます。

一方、2013年から営業利益は2倍と大きく成長しています。
また、最近の国内はインフレ傾向となっており、不動産銘柄への注目が高まりそうです。
したがって、今後は長期的に株価上昇の局面になると予想しています。
具体的な予想株価は次の通りです。
順当にいけば、三菱地所への投資でそれなりの利益が取れそうです。
本記事では、三菱地所の予想株価について考察していきます。
目次
今後の株価はどうなる?
三菱地所の株価は上昇していくと予想しています。
理由は、
の3つです。
今の株価指標は、PERが12.6倍、PBRが0.95倍と、不動産銘柄としてはかなり割安です。
コロナ前 | 現在(2023/4/6) | |
---|---|---|
PER | 約20倍 | 12.6倍 |
PBR | 約1.6倍 | 0.95倍 |
配当利回り | 約1.4% | 2.41% |
また、業績は今後回復する見通しとなっています。
国内ではインフレの傾向がみられ、不動産業界には追い風となっていくでしょう。
順当にいけば、2025年ごろには株価2,000円を回復し、2027円には2,800円に上昇すると見ています。
三菱地所の好材料
好材料① 国内のインフレ
長期的には、国内のインフレが三菱地所の追い風となるでしょう。
不動産がインフレに強いのは多くの方がご存知かと思います。
インフレにより、不動産価格の上昇や、売買が活性化することで、不動産銘柄の業績は拡大します。
それでは、国内のインフレ率の推移を見てみましょう。

国内のインフレ率は2021年からプラスに転じ、2022年末には+3%の水準まで達しています。
今後もインフレが続けば、株価上昇の根拠となるでしょう。
好材料② 株主還元の拡大
三菱地所の配当は年々増加しており、2023年3月期は1株38円の配当を実施します。
配当利回りは2.41%(2023年4月6日時点)と不動産銘柄としては高水準です。
さらに、2022年11月から1年間の自社株買いを実施しています。
取得額は1,000億円、発行済株式数に対する比率は5.29%と大規模です。
今後も増配と自社株買いが実施される見通しで、株主還元が市場に好感され、株価上昇につながると予想されます。

好材料③ 政策保有株の売却
三菱地所は政策保有株を年々減らしています。
基本的に利益確定となるため、業績の特別利益が増加します。
また、売却金額の一部は株主還元に使われ、配当増加や自社株買いが期待できるでしょう。
2021年度の場合、売却金額は88億円でした。
政策保有株の合計金額は2,500億円に上るため、今後も売却が続き、株主還元の強化につながるでしょう。


今後の業績見通し
四季報の業績予想
四季報の業績予想では、2024年3月期まで増収増益の見通しです。
以下が業績予想の数値です。
決算期 | 売上 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2022/03(実) | 1兆3,494億円 | 2,790億円 | 1,552億円 |
2023/03 | 1兆3,930億円 | 2,910億円 | 1,650億円 |
2024/03 | 1兆4,100億円 | 2,950億円 | 1,670億円 |
純利益は、2022年3月期の1,552億円から、1,650億円、1,670億円と増加していきます。
微増ですが、悪くない業績予想です。
JPモルガンの業績予想
JPモルガンの業績予想も、2024年3月期までは四季報とほぼ同じです。
以降の業績も、緩やかな増収増益が予想されています。
決算期 | 売上 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2022/03(実) | 1兆3,494億円 | 2,790億円 | 1,552億円 |
2023/03 | 1兆3,921億円 | 2,910億円 | 1,654億円 |
2024/03 | 1兆4,923億円 | 2,900億円 | 1,675億円 |
2025/03 | 1兆5,171億円 | 2,953億円 | 1,694億円 |
2026/03 | 1兆5,742億円 | 3,029億円 | 1,728億円 |
2027/03 | 1兆6,079億円 | 3,127億円 | 1,776億円 |
長期経営計画の目標
三菱地所は2030年度に向けた長期経営計画を策定しています。
数値目標は次の3つです。
株価予想のヒントになるのは、EPS(1株利益)200円という目標です。
PERを10倍と低く見込んでも株価2,000円、15倍なら株価3,000円に達すると予想することができます。
次の章では、これらの業績予想を使って株価を予想していきます。
2030年までの予想株価
2030年までの1株利益の予想
上の業績予想から、2030年までの1株利益の予想を作成しました。
決算期 | 純利益 | 1株利益 |
---|---|---|
2022/03(実) | 1,552億円 | 116円 |
2023/03 | 1,654億円 | 125円 |
2024/03 | 1,675億円 | 129円 |
2025/03 | 1,694億円 | 132円 |
2026/03 | 1,728億円 | 136円 |
2027/03 | 1,776億円 | 142円 |
・・・ | ・・・ | ・・・ |
2030/03 | 2,500億円 | 200円 |
2025年に2,000円へ上昇
今の予想PERは12~13倍ですが、2025年には業績が安定し、PERが15倍まで上昇すると見込みます。
PER15倍に、2025年3月期のEPS132円をかけて、予想株価はおよそ2,000円となりました。
予想株価=132円(EPS)×15倍(PER)=1,980円
ちなみに、PER15倍でもかなり弱気な設定です。
過去5年間のPER推移を見ると、コロナ前までは20倍前後で推移していたことが分かります。

2027年に株価2,800円
2027年には市況が安定し、PERが20倍まで戻ると予想します。
EPSは142円まで拡大する予想なので、PER20倍をかけて、予想株価はおよそ2,800円となりました。
予想株価=142円(EPS)×20倍(PER)=2,840円
2030年には4,000円突破も
EPS200円が2030年の目標です。
実現した場合、PERを20倍として、株価は4,000円に達することが期待できます。
ただし、長期経営計画はあくまで目標です。
達成確率は半々くらいに見ておいたほうが良いでしょう。
とはいえ、1,600円前後という現在株価が割安に感じられるのは確かです。
まとめ
三菱地所の予想株価について考察しました。
株価は割安な一方、業績は拡大予想と、買い方としては絶好のタイミングに見えます。
ただ、今回の予想では金融危機や戦争などのテールリスクは考えていません。
米銀行の破綻が波及してくる可能性もゼロではなく、リスクを念頭に置いて取引した方が良いでしょう。
少なくとも、株価指標や今後の業績予想からは、買い時である可能性が高いと考えています。