10年後に「株価10倍」が期待される良品計画(7453)の予想株価




2021年12月25日:リリース

2022年4月10日:株価急落を受けて追記

2022年6月6日:「なぜ株価が下落した?3つの要因」の章を追記

2022年9月14日:最新の情報に更新

無印良品を展開する良品計画(7453)が、2030年に売上高3兆円という大目標を発表しました。

営業利益の目標は2022年比で10倍となる4,500億円。

利益が10倍になれば、利益をベースにした理論株価も10倍になりますので、目標が達成された場合の株価上昇は相当なものとなるでしょう。

また、2024年の営業利益目標は750億円と、今後3年間だけでも利益1.6倍という高成長が目指されています。

本記事では、良品計画が発表した業績目標を前提に、2024年と2030年の予想株価を算出しました。

また、その業績目標の達成可能性がどの程度なのか、株式市場の反応や証券会社の予想を元に考察しました。

急成長の良品計画、株価は「10年で10倍」

過去10年で売上2.6倍、利益4倍

良品計画は過去10年間、一貫して成長し続けてきており、2010年と比較すると売上高はおよそ2.6倍、利益は4倍という水準に達しています。

ブランド名を表記しない実質志向の商品が時代にマッチし、幅広い世代から受け入れられた結果です。

2010年→2022年の期間で、株価は200円台後半→2,000円台後半と、おおよそ10倍に成長しています。

2030年までさらに株価10倍の可能性

これまでも急成長を遂げてきましたが、今後10年間はさらなる急成長が計画されています。

およそ10年後となる2030年の目標は、売上高3兆円、営業利益4,500億円。

直近の業績から売上高が6倍、営業利益は10倍という野心的な目標です。

2021年7月に発表された中期経営計画には、売上高3兆円、営業利益4,500億円という長期目標が掲げられた。出典:中期経営計画 2022年8月期~2024年8月期

これを実現した場合、株価は現在の10倍以上になってもおかしくありません。

というのも、現在株価(2021年12月時点)は1,750円付近で、PER(株価純資産倍率)は14倍程度。

つまり、株価指標としては割安水準にあたります。

利益が10倍になれば、同じくPER 14倍程度だとして、株価は10倍に上昇することになります。

追記:2022年9月時点で株価は1,300円台まで下落してしまいましたが、長期的な成長予想は不変となっていますので、押し目買いのチャンスかもしれません。

2024年までだけでも株価1.6倍の期待

また、2024年を最終年度とした中期経営計画では、利益目標として直近の業績から1.6倍程度が示されています。

したがって、今後3年間だけでも株価が1.6倍程度に上昇することが期待できそうです。

現在株価(2021年12月時点)の1,750円から1.6倍になれば、株価は2,800円です。

気になるのは、これらの数値目標が実現可能なのかどうか。

そのあたりも含めて掘り下げていきましょう。

なぜ株価が下落した?3つの要因

良品計画の株価は一時1,200円を下回るほどに下落した。出典:日本経済新聞

長期的には成長が期待されているにも関わらず、良品計画の株価は一時1,200円割れまで下落しました。

なぜそこまで売り込まれてしまったのでしょうか。

大きく3つの要因があります。

良品計画が下落した3つの要因
  1. 中国上海の都市封鎖
  2. 原材料価格の高騰
  3. 円安による収益圧迫

良品計画は中国に312店舗を展開しており、都市封鎖の影響をもろに受けます。

そのため、上海の都市封鎖による業績悪化が懸念され、株価は下落しました。

また、原材料価格の高騰や、円安進行が収益を圧迫しています。

円安については、為替予約によって2022年度中の影響は軽微です。

しかし、円安が長引けば収益を一段と押し下げる要因となるため、株価は先行して下落しました。

これらの悪材料が重なり、2022年8月期は純利益が20%減少する見通しです。

中期経営計画から予想株価を算出

中期経営計画の目標

予想株価を算出する材料として、良品計画が発表している経営目標を見てみましょう。

以下の表に、2021年8月期の実績、2022年8月期の業績予想、そして、2024年8月期の中期経営計画、2030年8月期の長期目標を記載しました。

決算期売上高営業利益EPS
’21年8月期(実績)4,536億円424億円128.9円
’22年8月期(予想)4,800億円450億円121.7円
’24年8月期(目標)7,000億円750億円200円
’30年8月期(目標)3兆円4,500億円1,200円

目を引くのは2030年の売上高目標である3兆円です。

2022年8月期の4,800億円から6倍以上もの高成長が目標として掲げられています。

ユニクロを展開するファーストリテイリング(9983)ですら売上高2兆円あまりですので、2030年には今のファーストリテイリングを超えるような、日本を代表する企業に発展しているかもしれません。

PER倍率法で予想株価を算出

中期経営計画の最終年度にあたる2024年8月期は、売上高7,000億円、営業利益は750億円が目標とされています。

この業績目標を軸に、2024年の予想株価を考えてみましょう。

予想株価の算出には、一般的なPER倍率法を使用します。

この方法では、純利益と予想PERを掛け算することで簡単に予想株価を計算することができます。

PER倍率法による予想株価の計算

予想株価=EPS(1株あたり利益)×予想PER

2024年8月期のEPSは200円

まずは2024年8月期の純利益を調べてみましょう。

2024年8月期の1株あたり利益(EPS)は200円程度になると推定しました。

営業利益が2022年8月期から1.67倍(450億円→750億円)になるので、EPSも121.7円から1.6倍に成長するという推定です。

PERは15〜20倍が妥当

次に、適用する予想PERを考えてみます。

次のグラフは、良品計画の過去のPER推移を表しています。

これによると、株価が一時的に急落したタイミングを除き、15~20倍のレンジで推移していることが分かります。

ここ数年のPERは15〜20倍程度で推移している。出典:マネックス証券

したがって、予想PERとしては15~20倍を当てはめてみましょう。

2024年予想株価は「3,000〜4,000円」

すると、2024年の予想株価は次のように計算できます。

2024年の予想株価

予想株価=200円(EPS)×15~20倍(予想PER)=3,000~4,000円

以上から、2024年あたりの株価は3,000~4,000円あたりまで上昇するという予想を立てることができます。

2030年予想株価は「18,000〜24,000円」

同様に、2030年の業績目標から予想株価を算出してみます。

2030年の営業利益目標は4,500億円です。

EPSは1,200円となり、2024年の目標から6倍という利益水準に成長します。

したがって、EPS1,200円、PER15~20倍という条件から、予想株価は18,000円~24,000円となります。

2030年の予想株価

予想株価=1,200円(EPS)×15~20倍(予想PER)=18,000~24,000円

一方、本記事執筆時点での株価が1,750円前後です。

10年後の株価はここから10倍以上に上昇しているかもしれません。

経営計画の実現可能性は?

市場からの評価は良好

ここまでは経営計画が実現する前提で予想株価を計算しましたが、果たして、その実現可能性はどれくらいなのでしょうか。

まず、この経営計画が発表された直後の株価変動を見てみましょう。

実現可能性が高いと市場が評価すれば、良品計画の株価は上昇しているはずです。

中期経営計画を発表して以降、株価は上昇トレンドを形成した。出典:日本経済新聞

中期経営計画が発表されたのは2021年7月21日。

株価チャートはその日を境に上昇トレンドに転換し、およそ2ヶ月で2,100円から2,600円へ上昇しました。

発表によって株価が上昇に転じたということは、株式市場からはそれなりの評価を獲得したと判断して良いでしょう。

直近の業績は期待はずれ

ただし、2,600円の高値をつけてからは下落に転じ、12月後半までに1,700円台まで急落しています。

この下落は今期の営業利益が期待を下回ったことによるものですが、直近の業績が期待はずれだっただけに、長期的な業績拡大にも疑問符がついてしまったようです。

中期経営計画の中身は、食品・衣服など生活必需品の販売を強化することが骨子ですが、これらの市場はすでにレッドオーシャンです。

これから参入して中期経営計画のような利益を生み出せるかどうか不透明だという見方が現時点では優勢のようです。

追記:2022年9月にはさらに急落し、1,300円台に差し掛かっています。季節要因や中国でのロックダウンが業績に響いたことが原因です。

JPモルガン予想は中期経営計画を下回る

証券大手のJPモルガンは良品計画の業績予想をレポートしていますが、この予想は良品計画の目標を大きく下回ります。

JPモルガンの2024年8月期の業績予想は、売上高5,762億円、営業利益572億円です。

対して、中期経営計画は売上高7,000億円、営業利益750億円ですので、JPモルガンの予想は利益水準が24%下回っています。

決算期売上高営業利益EPS
’22年8月期4,772億円452億円120円
’23年8月期5,248億円508億円135円
’24年8月期5,762億円572億円152円
JPモルガンの業績予想

つまり、JPモルガンは中期経営計画が達成できないと予想しているようです。

中期経営計画達成は現時点で不透明

この見方はJPモルガンにとどまらず、 「株式市場は中計の目標を高すぎる設定だとみている。(実現性が)不透明でマーケットの信頼も得にくい」 という声も日本経済新聞に掲載されていました。

市場からの評価によれば、現時点では達成の可能性は不透明だと言えそうです。

裏を返せば、現時点では中期経営計画の数値が株価に織り込まれていないということですので、達成に現実味が出て来れば、株価急騰が狙えるかもしれません。

証券アナリストの予想株価

目標株価コンセンサスは2,785円

良品計画は13名の証券アナリストにカバーされており、目標株価を平均した目標株価コンセンサスは2,785円となっています。

現在株価からはおよそ60%の乖離があり、言い換えれば60%の値上がり期待があるという事です。

良品計画の目標株価コンセンサスは2,785円(2021年12月時点)となっている。出典:マネックス証券

投資スタンスの内訳は、強気派が10名、中立が3名。弱気方向のアナリストはいません。

証券アナリストの評価から、良品計画は「買い」だと見られているようです。

カバーしている13名のアナリストは、うち10名が強気予想を出している。出典:マネックス証券

目標株価の引き下げが相次ぐ

ただ、目標株価は直近で引き下げる動きが目立ちます。

目標株価を公表している証券会社10社のうち、9社が直近3ヵ月で目標株価を下方修正しました。

引下げ率は平均で10%程度。強気スタンスは継続であるものの、直近の決算が期待未満だったことが目標株価引下げにつながりました。

証券会社投資スタンス目標株価
JPモルガン強気3580円 → 3000円
モルガン・スタンレー中立2300円 → 2000円
ゴールドマン・サックス中立2600円 → 2300円
野村證券強気3200円 → 3000円
ジェフリーズ強気3500円 → 3400円
SMBC日興強気3200円 → 2800円
クレディスイス強気3500円 → 3300円
岩井コスモ強気2800円
みずほ証券強気3200円 → 3000円
マッコーリー中立2300円 → 2200円

追記:2022年8月期1Qの決算を受け、さらに目標株価を引き下げる動きが広がっています。

評価引き下げにより株価は軟調

目標株価が引下げられると、ポジションを落とす動きが出ますので、株価は一時的に軟調になります。

良品計画の株価は投資判断引き下げが始まった2021年10月以降、下落トレンドにあります。機関投資家がポジションを落とす動きが株価に表れたのでしょう。

この株価下落は一時的な需給変動によるものだと考えられ、ポジション整理が一段落すれば株価はある程度戻すと予想されます。

今後の株価推移と株価材料

中国の景気動向

中国の店舗網を強化

今後の株価材料として重要なのは、中国の景気です。

無印良品の店舗は国内外で1,029店舗ですが、そのうち274店舗が中国に展開している店舗です。

中期経営計画では中国に年間50店を出店するなど、中国の店舗網強化が計画されています。

国内と比較し、中国の店舗数増加が著しい。出典:日本経済新聞

アジア圏には103店舗を展開

また、香港に21店舗、台湾に52店舗、韓国に40店舗と、アジア圏の店舗が多く存在します。

これらの店舗の業績は中国の景気動向に左右されることになるため、中国景気の浮き沈みが良品計画の業績を占うことになりそうです。

中国の成長は鈍化傾向

2021年12月時点では、中国景気は成長が鈍化傾向にあるという見方が優勢です。

不動産投資の規制強化で不動産価格が下落したことや、電力不足・半導体不足が生産を押し下げ、中国景気の下振れ圧力となっています。

足元は回復傾向ですが、今後の回復度合いが良品計画の株価評価にも大きく影響するでしょう。

出店攻勢の成否

2030年までに2,500店舗に拡大

業績目標達成の布石として、2030年まで強気の出店攻勢に打って出ます。

予定されている出店ペースは、国内で年100店舗、中国で年50店舗です。

2021年8月期時点の1,002店舗から、2024年までに1,300店、2030年までに2,500店に拡大する計画が発表されています。

決算期店舗数
’21年8月期1,002店
’22年8月期1,083店
’24年8月期1,300店
’30年8月期2,500店

店舗大型化で売上高3兆円へ

また、1店舗あたりの規模も大型化を進め、雑貨・衣服に加え食品の販売にも力を入れていきます。

1店舗の売上高を増やし、かつ店舗数も急増させることで、2030年の売上高3兆円を達成する目論見のようです。

規模拡大のリスク

ブランド既存の恐れ

2030年までに2,500店舗を展開し、さらに店舗を大型化するという急拡大には懸念もあります。

まず、業態が総合スーパーに近くなり、無印良品が培ってきたブランド力が損なわれる恐れが指摘されています。

無印良品はこれまで低価格・高品質をシンプルな商品で実現してきましたが、店舗が大型化すれば取り扱うべき商品数が増え、丁寧な商品開発が難しくなる可能性があります。

規模拡大を目指すあまり、商品開発が疎かになれば、本来の無印良品の良さが失われ、顧客離れにつながりかねません。

減損リスクも増大

もう1つの懸念は減損リスクです。

無印良品は2022年度から国際会計基準(IFRS)を導入し、一定期間ごとの減価償却が不要となります。

新規出店した店舗が好調な場合は減価償却の負担がなくなるので大きなプラスですが、不採算店舗が相次いだ場合、巨額の減損損失が発生する恐れが出てきます。

最悪、巨額赤字を計上して株価が暴落するということも想定しておくべきでしょう。

出店攻勢による業績拡大で株価上昇が狙える反面、その裏に大きなリスクが潜んでいることは認識しておくべきかもしれません。

良品計画は買いか?

結局のところ、良品計画の株は買うべきなのでしょうか。

買いという判断を支持する材料は次の3つに集約されます。

良品計画が「買い」と判断される材料
  1. 過去の株価指標と照らして最も割安水準
  2. 中期経営計画達成による株価上昇期待
  3. 証券アナリストの強気スタンス

出店攻勢に失敗するなどのリスクはあるものの、総じてプラス材料が強いように思われます。

したがって、現在株価(株価1,750円付近)は「買い」という判断になるのではないでしょうか。

特に、2030年目標を達成した場合の株価10倍は大きな魅力です。

失っても−1倍、目標達成で株価10倍なら、長期目線の買いは良い結果となる可能性が高そうです。