自転車専門店「あさひ」の株価はここ2年間で大きく下落しました。
2020年8月には1,989円の最高値をつけたものの、その後は下落トレンドに陥り、現在は1,300円前後で推移しています。
しかし、株主優待や配当に変更はなく、下落のおかげで利回りが高まっています。
また、業績見通しが良好であることを踏まえれば、今回の株価下落は買い時のようにも思えます。
本記事では、あさひの利回りや株価見通しを踏まえ、買い時かどうかを考察していきます。
目次
株価は2020年の水準に下落
まず、あさひの過去5年間の株価推移を見てみましょう。
あさひの株価は2019年まで1,400円前後のレンジ相場でしたが、2020年から上昇を始め、一時は1,900円を突破するほどまで急騰しました。
しかし、高値は続かず、2020年後半からは下落基調に。
結局、2022年10月現在は2020年前半の水準まで逆戻りしています。
現在株価の重要ポイントは次の3点です。
したがって、買いを検討してよいタイミングと言えるでしょう。
業績は増収・増益を維持
業績は基本的に増収・増益を維持しており、好調です。
2022年2月期は減益でしたが、これは前年度が良すぎた反動ですので、実質問題ありません。
特に、売上げは2003年以降、一貫して増加し続けています。
つまり、業績が急悪化する可能性は低いと言えるでしょう。
予想PERは10倍未満で割安
業績は拡大している一方、株価は横ばいですので、割安度が年々増しています。
現在の予想PER(株価収益率)を計算してみましょう。
予想PER=1,299円(株価)÷142円(予想EPS)=9.15倍
9倍台のPERはかなり割安です。
東証プライムの平均PERは約20倍ですし、小売業に限れば平均30倍にもなります。
つまり、他銘柄と比べて5割ないし7割ほど割安だと言えるでしょう。
※いずれも2022年4月末時点のデータ
配当利回りは2.16%
あさひは年間28円の配当を実施しています。
現在株価(2022年10月5日時点、1,299円)で計算すると、配当利回りは2.16%です。
配当利回り=28円(1株配当)÷1,299円(株価)=2.16%
配当目的で投資する場合、少なくとも3%は欲しいところです。
そのため、配当だけで考えると投資対象としては微妙です。
しかし、あさひは株主優待を実施しており、そちらと合わせると魅力的な利回りになります。
利回り2.16%は上場企業の上位50%にも入りません。配当目的なら他の銘柄を探した方が賢明です。
優待利回りは3.08%
それでは、次にあさひの優待利回りを計算してみましょう。
あさひを100株購入した場合、年間4,000円分の優待券がもらえます。
この商品券は、全国の「サイクルベースあさひ」の店舗、および公式ネット通販サイトで使用可能です。
つまり、自転車ユーザーにとってはほぼ現金同様に使用することができます。
優待利回りは次のように計算できます。
優待利回り=4,000円(100株優待)÷129,900円(100株投資額)=3.08%
3%超えの優待利回りなら十分な水準です。
ちなみに、200株以上保有すると優待利回りは下がりますので、利回り的には100株保有がベストです。
総合利回り5.2%の高配当
100株保有なら優待利回りが3.08%あり、さらに配当利回りが2.16%加算されます。
つまり、総合利回り(配当+優待利回り)はこれらを足した5.2%となります。
総合利回り=2.16%(配当利回り)+3.08%(優待利回り)=5.2%
利回り5%超えは文句なしの高配当です。
利回り5.2%は上場銘柄の上位130位に入る水準で、あさひのような業績堅調な銘柄はさらに絞られます。
したがって、優待込みの利回りで銘柄を選ぶ場合、あさひは有力は選択肢と言えるでしょう。
したがって、利回りで銘柄を選ぶ場合、あさひは有力は選択肢と言えるでしょう。
優待改悪・廃止の可能性は?
優待利回りが高い反面、優待改悪・廃止が大きな懸念材料です。
改悪・廃止となれば株価急落の恐れがあります。
ただ、優待が改悪・廃止される可能性は低いと見ています。
あさひが株主優待にかけている費用は年間1~1.5億円と推定されますが、一方、純利益は安定して30億円を超えています。
つまり、純利益に対して優待費用はそれほど大きくありません。
これなら、多少業績が悪化しても優待維持は可能でしょう。
したがって、株主優待の改悪・廃止の可能性は小さいと考えられます。
今後の業績見通し
今後の業績も増収・増益が予想されています。
以下が四季報の業績予想です。
決算期 | 売上高 | 営業利益 |
---|---|---|
2022/02(実績) | 714億円 | 52.2億円 |
2023/02 | 780億円 | 56.0億円 |
2024/02 | 805億円 | 58.8億円 |
向こう2年間は増収増益の見通しとなっており、投資家にとっては安心材料です。
好調の要因としては、単価の高い電動自転車が多く売れていること、利益率の高いプライベートブランド商品が人気であることが挙げられます。
今期の上半期では、電動自転車が前年比+10.2%の増加、プライベートブランド商品が同7.2%の増加でした。
この傾向が続くことで、自ずと増収増益基調になることが期待できます。
今後の株価見通し
現在株価(1,299円)は過去5年の中でも低位ですので、ここから急落する可能性は低いと考えています。
特に、2016年以降は1,200円ラインで反発する傾向にあります。
つまり、下落余地は100円程度しかありません。
一方、業績は増収増益が続く見通しであることから、株価が再び上昇トレンドになることが期待できるでしょう。
2024年2月期の業績予想をベースにすれば、株価1,700円でも十分妥当です。
下落余地は100円、上昇余地は400円あることから、中長期目線では株価上昇を予想しています。
懸念材料
株価が割安で業績も堅調ではありますが、懸念材料もあります。
最大の懸念は、国内の自転車需要がほぼ成長していないという点です。
台数ベースでは年間150万台で、2015年以降横ばいです(下図の棒グラフ)。
金額ベースでは電動アシスト自転車のおかげで伸びていますが、置き換わりが一巡すれば、売上げ増加は再びストップするでしょう。
また、国内の人口は減少していくと予想されています。
そのため、自転車の需要も徐々に減っていくことになりそうです。
したがって、5年、10年の単位では業績悪化が懸念されます。
あさひの割安さはその裏返しと言えるでしょう。
あさひは買い時か?
懸念材料はあるものの、あさひは買い時だと考えています。
理由は以下3点です。
約13万円の投資で年間6,800円のリターンは大きいです。
株価が多少下がっても配当+優待でカバーでき、損失になる可能性は低いと予想しています。
投資資金に余裕があり、かつ自転車ユーザーなら、投資を検討する余地は十分にあるでしょう。
まとめ
あさひが買い時かについて、業績や利回りから考察しました。
国内の自転車需要は電動アシスト自転車のおかげで堅調です。
そのため、あさひの業績はしばらく拡大が続くと予想されます。
また、総合利回り5%超えは投資先として魅力的です。
株価的には1,200円のサポートラインがあり、上値は1,700円まで上昇余地があります。
したがって、株価1,300円前後なら買い時の水準だと言えるでしょう。