2年半の馴染みがあるフクロウ時計のアイコンがiPhoneから姿を消し、代わりによく分からない買い物カゴがタイムバンクの新しいアイコンになりました。
当初のタイムバンクから次第に変わってしまう様には一抹の寂しさを感じます。
最近はYahooとLINEが経営統合したり、決済アプリのOrigamiが1円でメルカリに買収されたりと時代の流れが加速する中、タイムバンクも変化は避けられないという事でしょうか。
アイコン変更は見た目以上に今後の方針を決定づけるものだと考えられますので、今回の変更について思うところを書いていきます。
目次
アイコン変更は「時間トレード」との決別
タイムバンクは「人の時間を売買する」アプリだった
今や”お得なアプリ”としての顔がすっかり定着してしまったタイムバンクですが、以前は「人の時間を売買する」という画期的な仕組みで話題をさらいました。
詳細の説明は省きますが、自分の時間を売ることで仕事を受けることができたり、他人、特に著名人の時間を買うことで、タイムバンクならではの仕事・サービスを依頼することができたのです。
タイムバンクのこの仕組みは「お金2.0」という本で書かれたことでも話題に。
「時間」を主題にしたアプリであったため、以前のアプリアイコンは時計をモチーフにしており、”タイムバンク”という名前にぴったりのアイコンだったと感じます。
アイコン変更が意味するもの
今回、アイコンモチーフが「時計」から「買い物カゴ」に変更されました。
その意味するところについて、私は「時間トレード」との決別だと受け取りました。
タイムバンクが物品・サービスの販売を開始して約1年。裏でひっそりと続けられてきた時間トレード機能ですが、今後どうなるかはさらに不透明になりました。
終了するには様々な問題があるため可能性は低いと思いますが、このまま裏機能として有形無実化することが容易に想像でき、これまで多くの時間を購入してしまったユーザーにとって厳しい状況になりそうです。
お買い物アプリとしての方針が明確になった
一方、タイムバンクのお買い物アプリとしてはユーザー拡大に成功しており、そろそろ200万ユーザーを超えそうな勢いです。
事業としての収益性はまだ疑問符がありますが、2020年初めに約40億円の資金調達に成功していることから、少なくとも投資ファンドの厳しいジャッジをクリアするくらいの収益見通しが立っているものと思われます。
買い物カゴをモチーフとしたアイコンへの変更は、お買い物アプリとしての成長を目指す方針を明確にしたものだと言えるでしょう。
その先に目指すのは、生活に関わるあらゆるモノ・コトを取り扱う「スーパーアプリ」。成功すれば日本人の誰もが知るアプリに成長することも夢ではありません。
タイムバンクの今後について
投資ファンドがタイムバンクに出資
タイムバンクは今後、当初の思想からは次第に離れていくでしょう。今のタイムバンクを操るのはおそらく、利益に重きを置く投資ファンドです。
タイムバンクの運営資金はこれまで社長個人が賄ってきたと考えられ、その資金は別で代表を務める会社(メタップス株式会社)の株式を売却、あるいは担保に入れて捻出してきたと見られます。
しかし、個人の資金では当然限界があり、2020年初めに39.5億円の資金調達を実施しました。
これにより、相当割合の株式を投資ファンドが握ったでことしょう。勝手な推測ですが、タイムバンクの企業価値は80億円と見積もられ、議決権51%以上を確保するために39.5億円という調達額になったのではと思っています。
利益追及色が強くなると予想
「物言う株主」である投資ファンドの資本を受け入れたことは、タイムバンクの運営方針に大きな影響を与えるでしょう。
タイムバンクの経緯を無視し、アプリの内容に合わせてアイコンを作り直した措置はその証左であると考えられます(もちろん内容とアイコンはあっている方が良いのは間違いないですが)。
投資ファンドが悪というわけではありませんが、利益追及の方針が強くなることは必至です。採算が取れない時間トレードが復活する可能性は相当低いですね。
これからのタイムバンクは、費用対効果を意識した保守的なキャンペーンでユーザーを獲得しつつ、広告投資で認知度を拡大させていくのではないでしょうか。
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