楽天銀行は2023年4月の上場以降、株価は堅調です。
今後の業績は増収増益が予想されており、2027年には純利益500億円という目標が発表されています。
その目標が達成されれば、1株利益は300円を超え、株価は3,000円突破が見えてきそうです。
本記事では、楽天銀行の株価が上昇する3つの理由を解説した上で、今後の予想株価について考察します。
理由① 業績が右肩上がりの予想
2025年までの業績予想
楽天銀行は今後も好業績が予想されています。
まず、四季報の業績予想を見てみましょう。
決算期 | 経常収益(売上) | 経常利益 |
---|---|---|
2023年3月期(実) | 1,204億円 | 387億円 |
2024年3月期 | 1,350億円 | 446億円 |
2025年3月期 | 1,500億円 | 513億円 |
年間+15%の増益
2024年3月期は+15%の増益、2025年3月期はさらに+15%の増益予想となっています。
これだけの成長期待がある銀行銘柄は稀です。
また、国内金利が上昇すれば、予想を上回る成長となるでしょう。
将来の業績見通しが良いため、国内銀行に投資する場合は楽天銀行が有力候補になります。
したがって、株価は上昇していくと考えるのが自然です。
2027年には純利益500億円突破
さらに、楽天銀行は2027年3月期の業績目標を開示しています。
それによると、経常収益(売上高にあたる)が2,000億年、経常利益が700億円という目標になっています。
2027年3月期の業績目標をまとめると次のようになります。
1株利益が300円を超えれば、PERを10倍としても株価は3,000円超えです。
実際、これまでの成長率を踏まえれば達成可能な数字だと思われます。
このような業績拡大期待があるため、楽天銀行の株価は上昇すると予想しています。
理由② 株主優待の新設期待
優待新設を検討中
楽天銀行が上場した当日、永井社長による記者会見がありました。
その会見の場で、株主優待を検討していることが明らかにされました。
Bloomberg「楽天銀行がグループの期待背負い上場、初値3割高-株主優待検討」
優待新設が発表されれば多くの個人投資家が買いを入れるでしょう。
その結果、株価が上昇することが期待できます。
優待銘柄は株価が高い傾向
実際、株主優待を実施している銘柄は株価が高くなる傾向です。
以下、人気の優待銘柄について株価指標をまとめました。
銘柄 | 予想PER | 実績PBR |
---|---|---|
日本マクドナルドHD | 35.1倍 | 3.57倍 |
ゼンショーHD | 48.8倍 | 9.70倍 |
イオン | 104倍 | 2.59倍 |
いずれも予想PERは目安の15倍を大きく上回ります。
マクドナルドは35倍、ゼンショーは50倍近く、イオンに至っては100倍と超割高です。
つまり、株主優待により株価が実力以上に上がる可能性を秘めているのです。
優待新設でどれだけ上がる?
楽天銀行が優待を新設した場合、株価はどうなるでしょうか。
優待のパターンとしては、
の2つが考えられます。
対象が楽天銀行の顧客に限定された場合、優待目的ではあまり買われませんので、株価の上昇は限定的です。
一方、カタログギフトなど人気化しやすい優待となった場合、株価は数10%単位で上昇するでしょう。
そのような優待内容になるかが株価を左右しそうです。
理由③ 国内金利の上昇
金利が業績を左右
楽天銀行は金利収益で稼ぐ企業です。
そのため、金利が上がれば業績にプラス、下がればマイナスになります。
国内金利は長きにわたって低水準でしたが、近年はインフレ傾向が続いているため、いよいよ利上げの局面に差し掛かりそうです。
利上げが実現すれば金利収益が増加し、株価は上昇することになるでしょう。
業績が良くなる仕組み
金利上昇で業績が良くなる仕組みは次の通りです。
2023年3月期は金利収益が全体の6割弱となっています。
特に大きな割合を占めるのが、住宅ローン、ABL(資産担保ローン)、投資用マンションローンです。
金利が上昇すれば、これらの利ザヤが増え、業績拡大につながります。
短期的はマイナス要因が出ることも
ただし、金利上昇によってマイナスになる部分もあります。
金利上昇は国債価格の下落を意味するため、保有している国債について含み損が発生するでしょう。
さらに、企業や個人が借り入れを控えるなど、利益が期待ほど伸びない可能性もあります。
金利上昇は基本的にプラスですが、短期的には業績と株価を押し下げるかもしれません。
今後の株価予想
株価上昇を予想
楽天は今後数年間にわたって増収増益が続く見通しです。
そのため、株価も右肩上がりになると予想されています。
特に、預金残高が年間20%以上増加しており、貸出増加による金利収益の拡大が期待材料です。
2027年までの利益予想
予想株価を計算する前に、2027年3月期までの利益予想を確認しましょう。
上で業績予想を紹介しましたが、それを1株利益に置き換えたのが次の表です。
決算期 | 1株利益 |
---|---|
2023年3月期(実) | 168円 |
2024年3月期 | 181円 |
2025年3月期 | 208円 |
2027年3月期 | 304円 |
この利益予想をもとに予想株価を計算します。
2027年までの株価予想
予想株価は【1株利益×PER】で計算することができます。
単純な計算式なのでブレやすいですが、銀行銘柄はPERが10倍前後なので予想しやすい部類です。
楽天銀行の場合、成長性も高いため、PERを11倍と設定しました。
以上の条件で、2027年3月期までの予想株価を算出しました。
決算期 | 1株利益 | 予想株価 (1株利益×PER11倍) |
---|---|---|
2023年3月期(実) | 168円 | 1,848円 |
2024年3月期 | 181円 | 1,991円 |
2025年3月期 | 208円 | 2,288円 |
2027年3月期 | 304円 | 3,344円 |
目標達成なら株価3,000円突破
2027年3月期の業績目標が達成されれば、1株利益が300円を超える見込みです。
そのため、株価も3,000円を超えるのが妥当となります。
本記事執筆時点(2023年10月末)の株価は2,000円前後ですので、ここから1.5倍の上昇が狙えそうです。
その間に優待や配当が設定されれば、その利益も取り込むことが可能です。
株価下落となる懸念材料
楽天グループからの大量売出し
もともと、楽天銀行の上場は楽天グループの資金調達の一環でした。
楽天グループは楽天モバイルの苦境で資金難に喘いでいるためです。
しかし、まだ資金調達は不足しており、今後も楽天銀行の株を売り出す可能性があります。
株が放出されれば需給が緩み、株価は下落するのが自然の動きです。
それを見越して投資家は売るため、楽天グループから売り出しが発表されれば株価は急落するでしょう。
この悪材料がいつ出てくるか分からないのが楽天銀行の大きなリスクです。
(追記)懸念された通り、2023年12月6日に楽天グループからの売出が発表されました。発行済み株式数の約15%となる2,550万株が売却されます。
数年間は無配
楽天銀行は現在は配当を実施していません。
配当の代わりに成長で株主に報いる方針です。
しかし、無配銘柄は高配当銘柄に比べて買いにくいのは確かです。
特に、近年は国内株で株主還元を強化する銘柄が目立ち、投資資金はそういった銘柄に流れています。
このトレンドが続けば楽天銀行の株価下落につながる可能性があります。
マイナス金利解除の遅れ
銀行銘柄はマイナス金利の解除で恩恵を受けます。
そのため、マイナス金利の解除が株価に徐々に織り込まれており、株価は上昇しています。
しかし、マイナス金利の解除が遅れるような事態になると、株価は反落してしまうのでしょう。
実際、国内のGDPがマイナス成長に陥るなど、悪材料が出てきています。
日本経済新聞「日銀、早期の金融正常化に冷や水 GDPマイナス成長で」
今後の金融政策の動向が注目されます。
まとめ
楽天銀行の株価が上昇する理由について解説しました。
増収増益が予想されている上、これから優待や配当が追加されていく段階なので、株価上昇の材料が豊富です。
さらに、国内金利が上がれば業績が上振れる可能性まであります。
現在の株価は適正水準なので、暴落の懸念は薄い一方、株価上昇の可能性が高いと考えています。
そのため、比較的利益を取りやすい銘柄だと言えるでしょう。
今は無配なので魅力が薄いですが、今後の上昇材料に備えて保有しておきたい銘柄ですね。