野村HDが2,200億円規模の損失で急落!! 損失の詳細と、株価への影響を考察




証券トップの野村ホールディングスが15%以上の急落に見舞われています。

3月29日、突如2,200億円もの損失が発生する可能性があるとの発表が行われ、特別売り気配でスタート。約10%下落の650円で寄り付きましたが、その後下げ幅を広げ、一時は603.2円まで下落しました。

野村HDの株価は2021年に入り好調な上昇トレンドだった。画像:ロイターより

このところは上昇トレンドで推移し、3月26日には3年1ヵ月ぶりの高値をつけるなど好調でしたが、その反動もあって一気に急落してしまった形です。

しかし、急落に見舞われた株こそ拾ってみたくなるもの。一時的な損失であれば反発する可能性が大いにあるため、損失の理由を調べてみました。

本記事では、野村ホールディングスの損失の詳細と、株価への理論的な影響、そして今後どうなるかについて占っていきたいと思います。

本記事は損失発表当日に執筆しており、不確定な情報を含みます。情報源は可能な限りリンクしておきますので、投資する際にはご自身でご確認の上でお願いします。

2,200億円の損失の原因

野村HDが損失を被ったポイント
  1. 野村HDはある投資会社に大きな信用取引を提供していた
  2. 取引銘柄に急落が発生し、多額の追証が発生
  3. モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックスも同じ投資会社に信用取引を提供していたが、ブロック取引でいち早くポジションを処分した
  4. ポジション解消に遅れた野村HDが多額の損失を被った

多額のブロック取引騒動が背景

野村HDの損失の背景にあるのは、3月26日に発生した多額のブロック取引です。

その額はおよそ1兆3,000億円。1日の取引額とは異常です。

ブロック取引とは?

証券会社が大口の取引を取引所を通さずにマッチングさせる取引のことです。市場で大口の取引を行う場合、当該注文により価格が大幅に変動する可能性がありますが、ブロック取引は個別競争売買によらずに、申出価格によって取引を成立させることができるため、マーケットへのインパクトを回避することができます。

一部引用:日本取引所グループ 取引ガイド「7-1. ブロック取引とは

売却を行なったのは、米証券大手のモルガン・スタンレーとゴールドマン・サックスです。2行とも同じ投資会社に信用取引を提供していましたが、そのポジションが大幅なマイナスとなり、ブロック取引によるポジション解消に動いたのです。

各報道から、3月29日までに行われたブロック取引の詳細をまとめました。

ブロック取引の経緯と詳細
  • ①ある投資会社がメディア運営のバイアコムCBSやディスカバリーの大量の売り注文を出し、27%安へ急落(これが引き金)
  • ②バイアコムCBS・ディスカバリーの急落により、投資会社アルケゴス・キャピタルに追証が発生。追加担保を差し入れなかったため、百度(バイドゥ)や跟誰学(GSXテクエデュ)などの株式約130億ドル相当がブロック取引で売却された。
  • ③続けて、百度(バイドゥ)とテンセント・ミュージック・エンターテインメント・グループ(騰訊音楽娯楽集団)、唯品会(ビップショップ・ホールディングス)の株式66億ドル相当がブロック取引で売却された。
  • ④バイアコムCBSと中国の愛奇芸(iQiyi)などの株式39億ドル相当もその後売却された

→売却額は総額200億ドル(約2兆2000億円)にも及び、今後も余波が拡大する可能性がある。

参考記事①:ブルームバーグ「株式ブロック取引、タイガー出身フアン氏のオフィスが背後に-関係者

参考記事②:日本経済新聞「米メディア株、投げ売りで急落 投資会社が苦境か

野村HDも信用取引を提供していた

モルガン・スタンレーとゴールドマン・サックスは軽傷で売りぬけることができたようですが、他の証券会社にはまだポジションが残っています。

そのうちの1行が野村HDで、逃げ遅れたために多額の損失を被った、というのが事の顛末のようです。

野村HDの発表では以下のように書かれています。

本件について、損害の見込み額および当社連結業績に与える影響を精査しておりますが、当社からの当該顧客に対する請求額は3月26日時点の市場価格に基づく試算で約20億ドルあり、本取引に関連するポジションの処理や市場価格の変動等により、当該金額は今後増減する可能性があります。

野村HD「業務遂行の過程で生じる可能性がある損害に関するお知らせ

20億ドルというのはいわゆる”追証”の金額ですので、当該顧客から回収できる可能性も残されています。

ただ、実際に全額回収するのは難しいかもしれません。少なくとも、一旦は野村HDの損失として計上され、業績に対して多大なマイナスを与えることになりそうです。

信用取引を行なった「アルケゴス・キャピタル」とは?

今回の元凶は投資会社「アルケゴス・キャピタル」です。

アルケゴス・キャピタルとは、元トレーダーであるビル・フアン氏の投資会社です。同氏は以前にインサイダー取引で有罪を受け、運営していた投資ファンドを閉鎖した経歴を持ちます。

ファンド閉鎖直後にアルケゴス・キャピタルを立ち上げ、巨額の信用取引を行っていました。

仲介したのは、上で書いた通りモルガン・スタンレーとゴールドマン・サックス・グループが主で、野村HDはサブ的な立ち位置だったようです。

参考記事:ブルームバーグ「野村HDが米で多額の損害可能性、2200億円規模と試算-株価急落

野村HD公式リリース:「業務遂行の過程で生じる可能性がある損害に関するお知らせ

2,200億円の損失で株価はどうなる?

1年分の純利益が吹き飛ぶ計算

まだ損失が確定したわけではありませんが、発表通り2,200億円の損失が発生したらどうなるのでしょうか。

野村HDにとって、2,200億円というのはおよそ1年分の純利益に匹敵します。2020年3月期の純利益は2,483億円でした。

野村ホールディングス株式会社 2020 年 3 月期決算短信より抜粋

1年分の純利益が丸ごと吹き飛んだわけですから、その損失は非常に大きなものです。

純資産の7.7%に相当する損失

株価への影響を図るには、純資産がどれくらい目減りするかというのが一つの目安になります。

野村HDの純資産は2兆8,534億円あり、2,200億円はその7.7%にあたります。1株あたり換算(BPS)では、913円→843円へ減少し、2014年から積み上げてきた純資産が消失してしまった計算です。

野村ホールディングス株式会社 2021年3月期第3四半期決算短信
1株あたり純資産(右端の”BPS”)は2014年水準まで巻き戻されることになる。

株価への影響は?

株価変動は需給による影響が大きいですが、最終的には適切な水準に収束するでしょう。

その”適切な水準”を調べてみたいと思います。

7.7%ディスカウントが上昇限度

2,200億円の損失なら7.7%の純資産が失われることが上記で分かりました。

純資産は株式価値の根幹をなすものですので、これが失われれば、それに応じて株価も下落するのが妥当です。

したがって、損失発覚前から7.7%下落した水準が妥当株価となります。下落前は720.7円でしたので、665.2円が妥当株価ということですね。

15%ディスカウントが下限と予想

2,200億円という数字は発表時点の損失額です。ポジションは解消していないようですので、そこからさらに下落した場合、損失が膨らむことになります。

リスクとしてどの程度織り込むべきかは難しいですが、安全方向に倍程度は見ておくべきでしょう。

したがって、損失額4,400億円、純資産の目減りとして15.4%程度がテールリスクと考え、その場合の株価612.6円が株価下限になると予想します。

612~665円が適正水準、それ以下なら下がり過ぎ

以上の前提から、612~665円が適正水準で、それ以下なら下がりすぎ、それ以上なら上がりすぎだと予想します。

612円なら配当利回りが3%を超える水準です。長期保有でも魅力的な利回りではないでしょうか。

管理人

実際には3月29日の終値603.0円まで下落しましたので、下げ過ぎだと判断し100株購入してみました。さらに下落すれば買い増す方針です。

今後の展開予想と投資方針

最も懸念されるのは、野村HDが抱えているポジションがさらに下落し、損失が拡大することです。

とは言え、2,200億円という数字も大きく見積もっているはずなので、実際には懸念されているほどの損失にはならないと予想しています。

事実が明らかになれば不透明感が無くなり、反発に向かうのではないでしょうか。

不透明感続いてさらに下落するなら買い増し、損失確定で反発に向かえばホールドが今後の投資方針です。利回り3%超えで保有できたため、悪材料が無くなれば売る必要はないと考えています。




2件のコメント

今の株価は下がり過ぎだと思いますが、微益撤退することにしました。野村には投資銀行として海外で戦えるような実力はそもそもなかったのだと思います。

いつもコメントありがとうございます(_ _)
モルガンとゴールドマンが完全に上手でしたね。リスク管理体制に疑問が生じてしまったので、今後は風当たりが厳しくなりそうです。

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