タイムバンクがLet(レット)に名称変更された理由と経緯

タイムバンクがLet(レット)に名称変更した理由と経緯を解説




タイムバンクがLet(レット)というサービス名に変更されることが発表されました。

タイムバンクは「時間を売買する」という画期的な切り口でスタートしたサービスです。2019年に大きく方針転換し、現在は通販・フリマアプリとしてサービスを展開しています。

サービス開始から現在に至るまで紆余曲折あったことで、サービス内容とサービス名が合わなくなり、今回の名称変更に至りました。

一方、未だ残っている時間売買機能が今度どうなるのか、ユーザーの間で不安が高まっています。

時間売買機能では、専門家の時間を購入→利用というのが通常の流れですが、多くの時間は販売されたものの利用されていない状況で、購入した時間が消えてなくなってしまうのでは、という懸念があるのです。

本記事では、タイムバンクがサービス名変更に至った理由と経緯について振り返った上で、タイムバンク時間売買機能が今後どうなるのかを考察していきます。



タイムバンクがLet(レット)に名称変更した経緯

タイムバンクが名称変更するまでの経緯について、サービス開始から振り返ってみます。

専門家の時間を売買できる「時間銀行」としてスタート

タイムバンクは2017年、特別なスキルを持つ「専門家」の時間を売買するサービスとしてスタートしました。

時間さえ買えば、専門家の知識や技術を頼ることができる。そして、需要と供給のバランスによって価格が変動する。

そんな画期的なシステムとして、時間の銀行=タイムバンクというサービス名はぴったりでした。

多くの著名人が時間を販売

時間売買サービスはおよそ1年半続きました。

その間、堀江貴文さんや落合陽一さんをはじめとする多くの著名人が時間を販売し、「時間さえ買えば(=お金さえ出せば)著名人と会って話すことができる」アプリとしてタイムバンクは一躍注目を集めました。

また、アイドルグループとコラボ企画を行うなど新領域にもチャレンジします。

秋元康プロデュース「劇団4ドル50セント」のメンバーがタイムバンクで時間を販売し、さらに劇団4ドル50セント×タイムバンクのデジタルサイネージ広告が六本木駅に1週間掲載されました。

タイムバンクのPR映像とともに、劇団メンバーの時間価格が六本木駅のデジタルサイネージ広告に掲載された。

他にも、「ドリーミングモンスター」「サクヤコノハナ」など、コアなファンを持つアイドルグループがタイムバンクに登場し、握手する権利や、一緒に写真を撮る権利が時間購入の対価として用意されました。

一時的に盛り上がるも、時間売買は増えず

イベント効果でアイドルファンの利用者が増加し、手応えがあったように思えました。

アイドルは人気商売なだけに、時間価格として人気が可視化されることでファンの競争心を煽り、時間売買が盛り上がりを見せたのです。

しかし、その効果は長くは続きませんでした。

イベント終了後には売買が減少し、継続してタイムバンクを利用してもらうという流れにはできなかったのです。

アイドル以外にもYouTuberや漫画家とのコラボ企画が行われたものの、同じような結果でした。

物販サービスに方針転換

時間売買のイベント「時間主総会」を最後に、タイムバンクは方針転換をします。

数量・時間限定のタイムバンクセールを開始し、「お得なアプリ」として一般消費者への訴求を行いました。

インターネット上で話題になったタイムバンクはユーザー数が急上昇。飲食店・旅館・美容室などのクーポンチケットの販売も開始し、テレビCM放送も行なったことでユーザー数は100万人を突破しました。

会社としても親会社のメタップスから独立し、100人規模の営業人員で加盟店開拓、さらに40億円規模の資金調達を計画するなど、物販・クーポン販売サービスへの方針転換が確かなものとなりました。

クーポンチケットの販売から撤退

しかし、またもや方針転換を余儀なくされます。

リアル店舗のクーポン販売から撤退したのです。

もともと売上げが伸び悩んでいたところに新型コロナが発生し、クーポン販売継続が困難だと判断したのでしょう。

2019年に打ったCM内容はクーポン販売をメインだったため、CM効果も失われた上、”スキマ時間”というキャッチコピーも実態に合わないものとなりました。

サービス名が実態と乖離し、名称変更へ

方針転換の当初は「スキマ時間を活用」など、サービス名を意識したキャッチコピーを打ち出していたものの、次第にそれも薄れていき、サービス実態と名称の乖離が進みました。

現在のタイムバンクには”時間”に関連するサービスは無く、サービス名の変更は当然の流れだったと言えるでしょう。



Let(レット)への名称変更で今後どうなる?

サービス内容の変更は発表されていないものの、タイムバンクの方向性はこれまでと変わってくることは確かです。

Letへの名称変更で今後どうなのかを予想してみます。

通販・フリマサービスが主体に

サービス内容は通販・フリマに絞られるでしょう。

“Let”というサービス名は”アウトレット”にかけているようですので、物販主体となりそうです。

ただし、5月頃に開始したばかりのフリマサービスがいつまで続くかは不透明です。

最大手メルカリの牙城を崩すのは容易ではなく、楽天の「ラクマ」やPayPayの「ペイペイフリマ」など競合も多く参入していることから、厳しい戦いが予想されます。

事業売却も視野か

名称変更の背景には事業売却の思惑があるように思います。

というのも、タイムバンクは”お金2.0”という、信用を土台とした新しい経済を作るための実験的事業でした。

当初の思想は見る影もなくなってしまい、創業者である佐藤航陽さんのやりたい事とは離れていることから、いずれは物販ビジネスを始めたい他会社に事業譲渡されるというシナリオも考えられます。

時間売買サービスは…?

新サービス名には時間売買サービスの影がありませんが、このまま終了を迎えてしまうのでしょうか。

あるいは、なんらかの策を講じて復活に向かうのでしょうか。

時間売買サービスの今後については次の項目で考察してみたいと思います。

時間売買機能の今後

サービス名が変更される一方、裏に残された時間売買の仕組みはどうなるのでしょうか。

Let(レット)に変更されてからの復活の可能性はあるのか、廃止となるならどのような幕引きとなるのか、考えてみたいと思います。

時間売買機能の継続を公式発表

7月22日、タイムバンク運営事務局から登録専門家へメールが配信されましたが、その中にこのような記載がありました。

(前段省略)

2020年末ごろより下記名称となります。

サービス名:Let(レット)

提供サービスに関しましては変更の予定はございませんので、今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう、引き続きよろそくお願い申し上げます。

つまり、時間売買機能については継続されるようです。

公式のメールでこう記載されているため、しばらくはいきなりサービス停止ということにはならないでしょう。

現実には放置状態継続か

一方、サービス名としては「時間」というキーワードから離れてしまいました。

時間売買サービスを盛り上げようという意思は感じられず、2019年3月以降続いている放置状態は、今後も続きそうです。

運営としても放置したいわけではないでしょう。

しかし、販売済みで未使用の時間をどうするのか、という大きな問題があり、これを解決しない限りは幕引きを図るのは難しいと思われます。

時間を無効にして消滅させるという強硬手段はどのような波紋を呼ぶか予想がつきません。

復活の可能性はあるか?

時間売買の復活については絶望的です。

継続するつもりであれば放置することはしないでしょう。

また、復活させようにも、時間を販売した専門家が戻ってこないことにはサービス運営ができません。

予想される幕引き

時間を販売時の2割で買い取る

もっとも納得感のある幕引きは、運営側が販売済みの時間を全て買い取ることです。

運営側は販売価格の2割以上を手数料として徴収していました。販売時の2割の価格で買い取るということでどうでしょうか。

専門家によっては販売時の1割以下にまで下落していますので、2割で買い取るということで多くの人が納得すると思います。

現在価格で買い取る

もう一つ、現在価格で買い取るという方法も考えられます。

「2割で買い取る」よりかなり安くなってしまいますが、一応、納得できる解決策です。

時間を消滅させる

ユーザーにとって最悪なのは、時間を単に消滅させるという方法です。

タイムバンク利用規約的には問題ありませんが、お金を出して買ったデジタルアイテムをいきなり消滅させれば批判が殺到するでしょう。

費やした金額によっては訴訟沙汰になりかねません。

運営的にもかなりリスキーな選択肢です。

Let(レット)に名称変更された理由と経緯まとめ

タイムバンクがスタートしておよそ3年。その間、アイドルやYouTuberのイベント、賞金数十万円を懸けた売買イベントなど、普段では体験できないようなことが多くありました。

また、タイムバンクは人と人を繋ぐことができるアプリだったと思います。

「時間」というバーチャルなアイテムを持つことで、相手への興味や応援の証となり、リアルな繋がりに発展するというのはなかなか無い体験です。

タイムバンクを通じた人との出会いは、タイムバンクという名前が消えても、消えることはないでしょう。

まだ時間売買がなくなった訳ではありません。しかし、Let(レット)としてスタートするサービスは、タイムバンクの思想からは離れていくことは確実です。

一抹の寂しさはあるものの、ピボットはベンチャー企業に関わる以上は避けて通れない道。今後もLetとして生まれ変わるタイムバンクを応援していきたいと思います。




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