タイムバンクの時間トレードは無くなってしまうのか?




タイムバンクセールが続く中、時間トレードはすっかり低調になってしまいました。

先日のアップデートでは、時間トレードの入り口である「トレード」ボタンがさらにメニューの奥に入ってしまい、時間トレードが好きにとっては残念な展開となっていますね。久しぶりにタイムバンクをのぞいた人にとっては、驚くほどアプリの様相が変わってしまっているのではないでしょうか。

今回は、タイムバンクの時間トレードが今後どうなるのかを考えていきたいと思います。

人気専門家の現在価格

まず、高い時間価格を誇っていた人気専門家の値動きを見ていきましょう。

全ての専門家が下落しているわけではありませんが、以前の価格帯を保っている専門家は稀というのが実際のところです。

落合陽一

タイムバンクで非常に人気の高い落合陽一さんですが、3月までは500円付近を維持していたものの、その後は大きな値下がりが続いて現在は120円となっています。

以前は120円まで下落するなど考えられませんでしたが、時間売買に関するイベントも行われていない今、時間を利用する以外に購入する意味がないというのが実際のところ。もう少し下がれば、利用を検討する人が出てきそうですね。

市井紗耶香

市井紗耶香さんは1秒1,500円をつけたことがあり、タイムバンクで最も値上がりした専門家です。

現在は約400円ほどで、ここ数ヶ月では値下がりするどころか若干値上がりしているほど。時間売買は低調ですが、値下がりしている専門家ばかりではないということですね。

箕輪厚介

幻冬社の編集者として有名な箕輪厚介さんですが、全体の値下がりに引きずられて1秒55円まで値下がりしています。

一時期は600円をつけたほどでしたが、現在ではその10分の1の価格になってしまいましたね。

堀江貴文

有名なホリエモンも値下がりが続いています。

これまでは3月までは1秒200円を割ることはありませんでしたが、3月に入って100円台に突入し、現在は170円をつけています。

安倍乙

秋元康プロデュース「劇団4ドル50セント」の人気メンバーである安倍乙さんですが、ここ最近では価格が上昇しています。

これからさらにブレイクする可能性もあり、根強い人気を感じさせる値動きですね。

経沢香保子

経沢香保子さんはタイムバンクで最初に時間を販売した専門家。

残念ながら、経沢香保子さんは値下がりが続き、現在は1秒17円になってしまいました。

ツイッターでPRをしてもらうことができるサービスが100秒で利用できるので、現在価格なら1,700秒と格安です。

家入一真

起業家として人気の高い家入一真さんですが、この間までは100円前後を維持していたものの、現在は50円以下に値下がりしてしまいました。

起業などの相談ができるサービスを提供していて、多少のお金を払ってでも相談したい方は多くいるはず。しかし、売買自体が低調なので、どうしても売りが強く値下がりしてしまっていますね。

時間売買は今後どうなるか?

タイムバンクの運営的にはタイムバンクセールに注力していて、時間売買についてはほぼ「放置状態」と言えます。果たして、時間売買はこのまま廃れていってしまうのでしょうか?

タイムバンクセールに注力する理由

まず、時間トレードそっちのけでタイムバンクセールに力を入れている理由は何でしょうか?これはよく考えると、仕方のない事情が見えてきます。

1年続けても増えないユーザー

タイムバンクは2017年9月にスタートし、2018年9月で1周年を迎えました。ただ、その1年間でユーザーが増えたかと言えば、ほとんど増えていないのではと感じています。私自身が、タイムバンク内で開催された各種売買イベントの状況を見てきた印象です。

アイドルを絡めたイベントなどを開催したこともあり、一時的に時間を使うユーザーは増えてものの、「時間をトレードする」という仕組みはハードルが高く、ユーザーが定着しなかった可能性が高いでしょう。

人は選択肢が多いと選ぶことを止める

ユーザーが定着しなかった理由の一つとして、アプリの多機能化、専門家の急増も挙げられるのではと考えています。

アプリが多機能で、サービス提供者である専門家が多い方が良いのは確か。しかしながら、それを一気に見せられてしまうと、初心者は何を選んで良いのかわからず、逆に時間を購入することを止めてしまうでしょう。

著書「選択の科学」のシーナ・アイエンガー教授が「選択肢が多ければ多いほど、顧客の購買意欲は低下する」という研究結果を出していることは有名です。

ユーザーの増加に注力

「時間をトレードする」というハードルの高さアプリ機能と専門家の急増にUIが追いつかなくなったことから、初心者を取り込むことが難しくなってしまいました。それが2018年9月ごろの状況です。

2018年10月、タイムバンクが「株式会社メタップス」から買収されます。経営者個人が買い取ったので経営体制は変わっていませんが、このタイミングで方針を転換し、タイムバンクセールや割引チケット販売の検討に入ったのではないでしょうか。

時間のトレード中心ではジリ貧であることが目に見えていたので、まずはユーザーを獲得すべく、一般消費者への訴求力の高いタイムバンクセールに注力しはじめたのでしょう。

ユーザーを時間売買へ誘導できるか

タイムバンクセールでは高割引率の生活用品という分かりやすいメリットから、数万人規模のユーザーを獲得することに成功しています。

タイムバンクセールと割引チケットだけで進めていく可能性もありますが、もし今後、時間トレード機能を活用していくのであれば、タイムバンクセールで獲得したユーザーを時間トレードに誘導する必要があります。

ところで、タイムバンクセールで獲得したユーザーは、いわゆる「ポイ活(=ポイント活動)」と呼ばれる、ポイントを賢く貯める節約術に興味がある層が中心。タイムバンクの招待コード利用が残高付与になったことと、さらにその残高だけで500円ギフト券を購入できることから「ポイ活」勢に一気に普及しました。

それ以外にもSNSでは見えないユーザーが多くいることは確かですが、大多数としては「ポイ活」ユーザーが占めていて、時間トレードを盛り上げるためにはいかに「ポイ活」層に訴求するかが今後のカギとなるでしょう。

そこで重要になるのが、このポイ活層と時間トレードの親和性です。

個人的な考えで根拠はないのですが、ポイ活層は投資などのリスクを嫌うからこそポイ活をしているわけで、損失リスクがつきまとう時間トレードとの親和性は微妙なのではと考えています。

あるいは、獲得したユーザー全員に訴求する必要はなく、投資に興味のある一部のユーザーを引っ掛けることができれば十分なのかもしれませんが。

今後、時間売買を再び盛り上げるには、時間売買のリスクとハードルを上回るリターンを提示できるかどうかが勝負所となりそうです。

時間売買機能の廃止はあり得るか?

時間トレード機能については、廃止あるいは現状のまま放置という可能性もゼロではありません。

時間トレードの廃止というのは考えづらいですが、このままタイムバンクセール・割引チケット・出品機能に注力し、時間売買は放置、というのはあり得ることだと思います。

まずはメタップスで培ったノウハウで黒字化させ、それから時間トレードを盛り上げるということでも遅くはありません。

個人的には、タイムバンクの理念に時間トレード機能は必須であると考えてはいますが、同時に、固執するあまりにサービスを潰して欲しくはない、とも考えています。

時間トレード機能が過疎化していることについては一部批判がありますが、まずは事業を軌道に乗せるため、あらゆる手を尽くすというのは必要なことなのではないでしょうか。

まとめ

時間トレードについて、現在の状況とこれからについて考えて見ました。

ユーザーの自由なトレードによって専門家の時間価格が決まるという仕組みはとても魅力的である反面、一般消費者に広がるにはハードルが高かったようです。タイムバンクセールによってタイムバンクアプリの可能性が拡大し、時間トレードの面白い仕組みを活用できると良いですね。

長い目で、これからの展開に期待したいと思います。