(追記)ニトリが日経平均銘柄に採用されました。今後は日経平均株価への資金がニトリにも流入し、株価上昇が期待できます。
ニトリは新型コロナをきっかけに急騰しましたが、2021年以降は株価が冴えません。
コロナ禍ではホームオフィス家具が爆売れして業績が急拡大しました。
しかし、最近は客足の前年割れが続き、業績成長も鈍化傾向です。
そのため、期待先行で上昇した株価は反落が続いています。
本記事では、ニトリの株価が下落している3つの理由を解説した上で、2026年までの予想株価について考察しました。
ニトリの株価推移
ニトリの10年チャート
まず、ニトリの過去10年間の株価推移を振り返りましょう。
以下が2013~2023年の株価チャートです。
ヒット商品で5年間上昇トレンド
ニトリの株価は2014~2018年に大きく上昇しました。
理由は、複数のヒット商品で業績が拡大したためです。
特に大きなヒットとなったのが「Nクール」「Nウォーム」です。
帝人と開発した高機能素材により、接触冷感・接触温感を実現し、季節を問わず使える商品として人気化しました。
これが来店客数増加に寄与し、業績を底上げすることに成功しています。
新型コロナをきっかけに急騰
2018~2019年は長い調整局面となり、株価は下落しました。
しかし、2019年後半は円高が業績の追い風となり、反転のきっかけとなりました。
さらに、2020年には新型コロナが発生し、株価は23,000円にまで急騰。
理由は、在宅勤務が増えたことでホームオフィス家具が売れたためです。
在宅勤務が社会に定着するという思惑から、ニトリ株は新型コロナで脚光を浴びました。
コロナ恩恵剥落で12,000円まで急落
ところが、2020年7月を頂点に株価は下落トレンドとなっています。
業績拡大のピークが見えたことや、円安が業績の重荷になると予想されたためです。
下落トレンドは2022年中頃まで続き、一時は12,000円を割り込むまでに下落しました。
その後は日経平均とともに株価が回復し、2023年11月時点では15,000円台で推移しています。
理由① 利益成長の鈍化
2022年から低成長に
株価下落の理由の一つは、営業利益の成長が鈍っていることです。
新型コロナが発生した年(2021年2月期)は前年比+29%の成長率でした。
この成長率が投資資金を呼び込み、株価は23,000円まで急騰しました。
しかし、その後の営業利益は微増にとどまっています。
そのため、期待先行で上昇した分、反落する結果となっています。
今後の業績見通し
今後の業績見通しはどうでしょうか?
以下、2026年までの業績予想を見てみましょう。
決算期 | 売上 | 営業利益 |
---|---|---|
2024/3 | 9,191億円 | 1,430億円 |
2025/3 | 9,588億円(+4.1%) | 1,495億円(+4.5%) |
2026/3 | 9,977億円(+4.3%) | 1,590億円(+9.4%) |
増収増益も、低成長が続く
上の業績予想は増収増益で、一般的には良好な業績予想だと言えます。
しかし、過去の成長率は、売上・営業利益ともに+10%以上が平均でした。
過去の成長率と比べると、今後の成長見通しは見劣りしますので、成長鈍化が売り材料となっています。
売上・利益ともに10%以上の成長見通しであれば株価が下落することは無かったでしょう。
PERは20倍まで低下
成長鈍化によりPER(株価収益率)は低下しました。
2021年より以前は22~34倍だったのが、近年は20倍以下が定着しています。
以下が過去5年間のPERの推移です。
成長率が高まらない限り、今後も20倍前後のPERが続くことになるでしょう。
株価は【1株利益×PER】で決まりますので、PERが低いと株価も上がりにくくなります。
理由② 円安による輸入費用増加
円安進行で株価は下落
ニトリは海外から家具を輸入して販売しています。
そのため、円安になると仕入れ値が上がり、業績悪化につながります。
次の図はニトリの株価とドル円チャートを並べたものです。
円安になるにつれてニトリの株価が下落している様子が分かります。
-381億円の損失
実際、円安によってどれだけの悪影響があったのでしょうか。
2023年3月期の利益分析を見てみましょう。
上の図から、為替影響として-381億円の減益になっています。
経常利益全体は1,400億円程度なので、かなりの影響度です。
仮に為替の影響がなければ1,700億円以上の経常利益になっていたでしょう。
円安はいつまで続く?
円安はピークを付けたものの、2023年末まで1ドル140円の円安水準が続くと見られます。
理由は、米国の利上げが継続されてドルが買われるためです。
一方、日本銀行は緩和を継続しますので、日本と米国の金利差が拡大し、円安が続きます。
したがって、ニトリの株価も2023年中は上がりにくい展開となるでしょう。
しかし、2024年以降に米国が利下げに転じれば円高進行になることが期待できます。
三井住友DSアセットマネジメント「2023年後半のドル円相場見通し」
理由③ 来店客数の減少
2021年4月以降は前年割れ
ニトリの来店客数はわずかな減少傾向が続いています。
そのため、今後の成長性に疑問が生じ、株価下落の材料となりました。
以下は3年分の来店客数(前年同月比%)ですが、2021年4月以降、前年比100%割れが続いていることが分かります。
巣ごもり需要の反動
2020年は巣ごもり需要で来店客数が急増しました。
その反動があったため、2021年に来店客数が減少したのは自然です。
しかし、2022年以降も前年割れが続いている点は懸念材料です。
客数減少に歯止めがかかっておらず、このまま減少が続けば、業績に悪影響が出てくるでしょう。
ニトリの株価を上下させる要因は?
ここまで、ニトリの株価が下落した理由を解説しました。
次に、今後の株価の変動要因について把握しておきましょう。
変動要因① 月次売上・来店客数
ニトリは四半期業績とは別に、1ヵ月毎の国内売上高を公表しています。
この数字が良い場合は株価上昇、悪い場合は株価下落になることがあります。
発表データはWEB上(以下)から確認することが可能です。
変動要因② 為替
ニトリは海外で作った製品を国内で売るため、為替が株価の変動要因です。
特に、ドル円相場との連動性が強く、円安なら株価下落、円高なら株価上昇となる傾向があります。
多くの投資家がこの連動性を認識しているため、為替に反応してほぼ機械的に売り注文・買い注文が出されている印象です。
変動要因③ 日米の金利
日本と米国の金利は為替に影響するため、間接的にニトリの株価に影響します。
具体的には、日本が利上げ方向・または米国が利下げ方向に動くとニトリの株価は上昇することになります。
逆に、日本が利下げ方向・または米国が利上げ方向に動くとニトリの株価は下落することになります。
変動要因⑤ 米国の経済指標
米国金利がニトリの株価に強く影響するため、米国金利に影響を与える経済指標も間接的に株価の変動要因となります。
特に話題になりやすいのが次の5つです。
内容が経済的に強い内容だと、金利維持あるいは利上げが意識され、ニトリの株価下落に波及する可能性があります。
逆もまた然りです。
変動要因⑤ 日経平均株価
ニトリは2023年9月4日に日経平均銘柄に採用されました。
日経平均に採用されたことで、ニトリの株価と日経平均株価が影響しあうようになります。
具体的には、ニトリの株価変動額のおよそ1%が日経平均に影響します。
例えば、ニトリの株価が+600円値上がりした場合、日経平均を+6円押し上げることになります。
また、日経平均と連動する投資信託が買われた場合、その資金の一部がニトリにも流れますので、ニトリの株価上昇につながります。
今後の株価予想
2026年までの株価予想
今後の業績予想をもとに、2026年までの予想株価を算出します。
業績予想は証券大手JPモルガンのレポートから引用しました。
1株利益の予想に対し、PER20倍をかけて予想株価としました。
その結果が次の表です。
決算期 | 1株利益予想 | 予想株価(PER20倍) |
---|---|---|
2024/3 | 863円 | 17,260円 |
2025/3 | 909円 | 18,180円 |
2026/3 | 972円 | 19,440円 |
今後は株価上昇を予想
本記事執筆時点(2024年1月5日)の株価は17,500円となっています。
2024年3月期の予想株価と同程度で、株価の下落余地は小さいと予想されます。
したがって、今後は1株利益の成長とともに株価が上昇する局面です。
2025年には18,000円、2026年には19,000円がターゲットになります。
2023年9月4日には日経平均株価の構成銘柄に新採用され、株価上昇の確立が高まりました。
2025年には20,000円突破も
上記の予想はPER20倍を前提にしました。
しかし、今後も安定して成長するならPER20倍は過小評価です。
業績次第ではPER25~30倍に高まってもおかしくありません。
具体的には、コスト削減や円高進行、海外事業の拡大などが期待材料です。
PERが25倍まで許容されるなら、2025年には株価20,000円を奪還することも期待できるでしょう。
まとめ
ニトリの株価が下落した3つの理由について解説しました。
新型コロナや円安など、ここ数年は外部要因に振り回され、株価が大きく変動しています。
2021年以降は下落傾向でしたが、悪材料は株価に織り込まれたと考えられます。
したがって、今後は株価上昇が期待できるでしょう。
具体的には、2025年に18,000円、2026年に19,000円が目標になります。
短期で大儲けできる銘柄ではありませんが、手堅く利益を確保できる銘柄として監視しておくと良いでしょう。
ROEはどうなってますか?円安により低下するのでは?そこが心配です。
また海外戦略はどうでしょうか?海外に工場あるのですから可能性あるのでは?