配当開始のエニーカラーは買い?空売り解消による株価上昇を予想




株価低迷が続くエニーカラーだが、突然の配当開始が株価上昇の起爆剤となっている。

というのも、配当によって空売りコストが激増したためだ。

エニーカラーに対する空売りは500万株にも達しているが、空売りしたまま権利確定日を過ぎると、空売り者は配当金額を逆に支払わなければならない。

配当利回りは2.5%と高く、このコストがかかってしまう前に買い戻しが多く発生するだろう。

また、新規空売りが減少する上、純粋な配当目的の買いも期待できる。

したがって、権利確定日に向かって買い圧力が増す展開になると予想している。

本記事では、配当開始が株価に与える影響を考察する。

エニーカラーの配当内容

1株配当65円、配当利回り2.5%

まずはエニーカラーの配当について再確認しておこう。

以下が配当の概要だ。

エニーカラーの配当概要
  • 配当額は1株あたり65円
  • 10月末に上期32.5円、4月末に下期32.5円の権利確定
  • 配当利回りは約2.5%(2024年9月20日時点の株価2,570円で計算)

グロース株としては異例の高配当

配当額は1株65円なので、1単元(100株)保有で年間6,500円の配当が出る。

最初の配当は2024年10月末に上期分の権利が確定する。

上期・下期で半分ずつ配当が予定されており、上期は10月末に権利確定、下期は4月末に権利確定となる。

配当額はそれぞれ32.5円/株だ。

配当利回りは2.5%と、グロース株としては異例の高配当である。

サプライズ配当で需給は買い優勢に

これまで無配だっただけに、突然の高配当はサプライズとなった。

10月末にも上期配当が控えており、配当目的の買い、配当回避の空売り解消が期待される局面だ。

株価上昇の源泉は業績であるため、配当開始による株価上昇は一時的なものになると思われるが、しばらくは需給面で買いが優位になるだろう。

空売り500万株に買戻し圧力

圧倒的な売り長の状態

エニーカラーには大量の空売りが入っており、空売り株数は500万株を超える。

機関投資家が約400万株、個人投資家が100万株を空売りしている。

それに対し、信用買いは100万株ほどであるため、圧倒的に売り長の状態だ。

売り長(うりなが)とは?

信用取引における信用売り残高が信用買い残高を上回っている状態を指し、買戻しが優勢となって株価が上昇しやすい。

配当によって空売りコスト増加

空売りが信用買いの5倍もあるため、ただでさえ買い戻しによって株価が上昇しやすい状況だった。

そこに配当開始が重なったため、空売りの買い戻しが進むだろう。

なぜなら、空売りしている投資家は配当相当額を逆に支払う必要があり、その分だけ空売りのコストが増加ためだ。

具体的には、10月末に1株あたり32.5円、4月末にも32.5円の支払いが発生する予定だ。

この支払いを回避するため、空売りは縮小していくと考えるのが妥当だ。

出来高10日分の潜在買い需要

エニーカラーの1日の出来高は50万株前後が多く、500万株という潜在的な買い需要は10日分の出来高に匹敵する。

買い戻しが本格化すれば、買いが買いを呼ぶ展開になりそうだ。

株価指標的にも割安感があり、多少株価が上昇しても割高にはならない。

現在のPERは15倍程度にとどまっており、ここから株価が30%上昇したとしてもPERは20倍以下だ。

グロース株としては依然割安な水準と言える。

本格上昇には業績回復が必要

空売り解消は一時的、その後は業績次第

空売りの買い戻しがあるとはいえ、需給の変化は一時的なものに過ぎない。

買い戻しが一巡すれば、その後の株価は業績次第となるだろう。

では肝心の業績はどうかというと、直近の決算は冴えない。

以下が四半期ごとの売上推移だ。

エニーカラーの四半期ごとの売上推移。出典:2025年4月期 第1四半期決算説明資料

2025年4月期1Qは前年同期より-16.9%の売上減少となった。

また、営業利益は-8.6%の減少となっている。

直近の決算が減収減益という内容だったため、株価の本格的な反転上昇には、業績回復が必要だと考えられる。

1Q悪決算には3つの理由

直近の決算について補足しておくと、業績悪化にはいくつかの理由がある。

業績不調の3つの理由
  • 前年同期(2024年4月期1Q)が異例の売上高であった反動
  • 大型イベント3件のうち、1件が中止、1件が延期になった
  • 1Q偏重を改善するため、売上げを他の四半期に分散させた

まず、比較対象となる2024年4月期1Q決算があまりに良すぎた。

グッズ販売の好調や企業タイアップの大型案件が重なり、四半期としては異例の売上高を記録していた。

また、大型イベント3つのうり、1件を中止、1件を延期したこともグッズ売上げを押し下げたようだ。

加えて、これまでの1Q偏重を改善するため、他の四半期に業績を分散化させる施策も影響している。

2Qからの挽回に期待

1Q決算こそ不調だったものの、業績予想は下方修正されていない。

そのため、2Q以降で挽回してくることが期待できる。

1Q時点の上期進捗率は、売上が41.3%、営業利益が38.3%と低いが、下方修正しなかったという事は、2Qでこの穴を埋める自信があるということだ。

2025年4月期1Qの進捗率。上期計画に対し、1Qでの進捗率は50%に届いていない。出典:2025年4月期 第1四半期決算説明資料

結局下方修正、というオチの懸念はあるものの、現時点では2Q決算に期待したいところだ。

今後の株価はどうなるか?

短期的には株価2,800円まで上昇目線

繰返しになるが、短期的には空売り解消による上昇圧力が続く。

よほどの悪材料や市場急変がない限り、株価上昇の可能性が高いだろう。

目線としては、2024年6月の高値2,800円が目安になる。

2,600円~2,700円後半のレンジは、過去6ヵ月間で出来高が少なく、売りが比較的出にくい価格帯だ。

2,600円が大きな壁ではあるものの、買い戻しの勢いで突破し、2,800円付近を目指すと予想している。

エニーカラーの過去6ヵ月間の価格帯別取引高。2,600~2,700円は取引高が少なく値が飛びやすい。

業績予想を達成なら株価3,400円

業績面で言えば、株価2,800円でも割安感が強い。

以下が現時点の株価指標だ。

エニーカラーの株価指標(株価2,570円、2024年9月20日時点)
  • 予想PER ・・・15.0倍
  • 実績PBR ・・・10.9倍
  • 配当利回り・・・2.52%

予想PER15.0倍というのはグロース銘柄として異例の割安水準だ。

ここから株価が1割上昇し、PER16.5倍になったとしても割安水準であることは変わりない。

なぜこれほど割安になっているかというと、ベースとなる業績予想の達成が疑われているためだ。

逆に言えば、業績予想の達成期待が上がれば、自ずと株価は上昇するだろう。

PER20倍を前提とし、株価3,400円の回復を予想している。

管理人

今期業績予想の達成期待は、2Q以降の決算発表ごとに変化していくでしょう。

長期では海外事業の成否がカギ

長期目線では海外事業の成長が株価上昇のカギを握る。

国内市場だけでは成長に限界があり、海外進出の成否が成長余地の面で重要であるためだ。

しかし、現時点で海外進出が成功しているとは言えない。

米国事業であるNIJISANJI ENは、以前まで四半期売上が10億円以上であったが、2025年4月期1Qは6.8億円に落ち込んだ。

出典:2025年4月期 第1四半期決算説明資料

四半期ごとに売上が減少している状況に陥っており、海外進出の期待は完全に剥落してしまった。

このまま海外事業の低迷が続けば、海外の機関投資家の買いを集めることはできず、期待値が高かった当時の株価(6,000円台)を奪還するのは難しいだろう。

今後の海外事業の復調に期待したい。

まとめ

エニーカラーの配当開始による株価への影響について考察した。

短期的には、空売り解消による需給への影響が大きく、株価上昇を予想している。

配当利回りが2.5%とグロース株としては高いため、長期保有の魅力が高まったと言えるだろう。

とはいえ、空売り解消による株価上昇は短期的なものだ。

長期的な株価上昇には業績改善が必須である。

直近の業績は冴えないため、2Q以降の改善に期待したいところだ。

総合的に見ると、今のエニーカラーの株価はさまざまな期待が剥落したものであるため、株価下落の可能性よりも上昇の可能性が高いと考えている。




3件のコメント

いつも大変参考になる分析、楽しみにしております 
エニーカラーは相変わらず機関の空売り銘柄ですね 業績も株主に対する姿勢も素晴らしいのに、残念に思います
今回の配当はサプライズで、空売り機関に対抗するかのような姿勢も好感度上がります 
ただ配当発表後も機関の空売りは続いていています どういうつもりなんだろう?と経験の浅い私は理解に苦しむのですが、それを織り込んだとしても、この記事のような展開が予想されるのでしょうか?
ご教示いただけると、嬉しいです

いつも読んでいただきありがとうございます!

空売り機関の動向ですが、配当開始の翌日以降、買い戻しが進んでいます。
9/12~18の空売りを集計すると、空売り19万株に対し、買戻し67万株です。
チャンスがあれば下げに来るでしょうが、総じて、買い戻し優勢が続くのではないでしょうか。

空売り機関としては想定外の現金出費は避けたいはず。空売り機関の1社UBSは、配当発表の前日に再インしましたが、配当開始を見てすぐに撤退しましたね。
配当の権利確定までに買い戻しを進めるのではと思います。

とても丁寧な解説ありがとうございます!
確かにUBSは、18万株も買い戻していました
空売り残数の多いモルスタが、さらに空売りを増やしているのが不気味です
流動性の観点から、空売りを全否定するつもりはありませんが、エニーカラーは理不尽に空売りされている印象なので、業績でもサプライズして欲しいですね(^^)

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