バンク・オブ・イノベーションの株価が70%下落した3つの理由




バンク・オブ・イノベーションが高値から7割も安い水準にまで下落しました。

最高値では16,300円まで急騰したものの、2023年12月時点の株価は3,000円台です。

以前は個人投資家に人気でしたが今は見る影もありません。

ここまで株価が下落した理由は、

  1. 機関投資家による売り
  2. 株価指標が割高
  3. 課金高・セールスランキングの下落

の3点が考えられます。

本記事では、これらの下落理由について詳しく解説していきます。

理由① 機関投資家による売り

大手3社が強烈な空売り

バンク・オブ・イノベーションには空売り機関が参入しています。

2022年11月以降、積極的に空売りしているのが、モルガンスタンレー・JPモルガン・メリルリンチの3社です。

空売りを仕掛けている3社
  1. モルガン・スタンレーMUFG・・・全株式の7.83%を空売り
  2. JPモルガン・・・全株式の1.02%を空売り
  3. メリルリンチ・・・全株式の1.21%を空売り

特に、モルガンスタンレーは発行済み株式の7.83%もの株数を空売りしています。

彼らの強烈な空売りにより、一気に売り崩されてしまいました。

2023年12月時点でも空売りは続いています。

空売りの推移

以下が空売り残高の推移です。

空売りしている機関投資家ごとにまとめました。

モルガンスタンレーの空売り推移

計算日空売り者残高割合残高数量
2022/12/02モルガン・スタンレーMUFG7.830%313,200株
2022/11/30モルガン・スタンレーMUFG6.840%273,800株
2022/11/21モルガン・スタンレーMUFG4.370%175,100株
2022/11/15モルガン・スタンレーMUFG4.080%163,500株
2022/11/10モルガン・スタンレーMUFG3.210%128,400株
2022/11/04モルガン・スタンレーMUFG2.840%113,800株
2022/11/01モルガン・スタンレーMUFG2.990%119,900株

JPモルガンの空売り推移

計算日空売り者残高割合残高数量
2022/12/02JPモルガン証券1.020%40,900株
2022/11/30JPモルガン証券1.100%44,100株
2022/11/25JPモルガン証券1.150%46,000株
2022/11/18JPモルガン証券1.150%46,100株

メリルリンチの空売り推移

計算日空売り者残高割合残高数量
2022/11/30メリルリンチ1.210%48,700株
2022/11/29メリルリンチ1.080%43,400株

情報は毎日更新されていますが、下表では間引いて記載しています。

毎日の推移は引用元をご覧ください。

空売りされる理由

彼らもビジネスですので、割高と見た株は空売りしてきます。

実際、バンク・オブ・イノベーションの株価指標は割高です。

また、発行済株式数は約400万株しかなく、流動性が低いという弱点があります。

そのため、機関投資家にとっては絶好の空売り機会になっているのです。

理由② 株価指標が割高

PER・PBRともに割高だった

バンク・オブ・イノベーションは今後急成長が期待されていましたが、期待されていただけに割高水準まで上昇してしまいました。

2022年12月5日時点の予想PERは36.9倍、実績PBRは81.1倍です。

バンク・オブ・イノベーションの株価指標(四季報より、12/5時点)
  • 予想PER:36.9倍
  • 実績PBR:81.1倍

ゲーム関連だと、予想PERは高くても25倍、実績PBRも10倍が限度でしょう。

そのため、今の株価指標は明らかに割高水準だったと言えます。

(2023/12/4追記)好業績により株価指標はかなり割安になりました。現時点での予想PERは5.4倍、実績PBRは4.0倍まで低下しています。

アカツキ(3932)との比較

どれだけ割高なのか調べるため、同業他社と比べてみました。

比較対象はアカツキ(3932)です。

12/5時点のバンク・オブ・イノベーションの時価総額はアカツキ(3932)とほぼ並んでいます。

なので、業績の差分だけ割高であると考えることができます。

以下がバンク・オブ・イノベーションとアカツキの今期業績予想です。

業績予想は四季報から引用しています。

バンクオブイノベアカツキ
売上高120億円260億円
営業利益12億円60億円
純利益8.4億円40億円

バンク・オブ・イノベーションの売上はアカツキの半分未満で、利益は5分の1程度しかありません。

利益が5分の1程度なので、理論的には株価も5分の1程度が妥当ラインとなります。

将来の成長余地を考慮しても、バンク・オブ・イノベーションは割高だと考えるのが自然でしょう。

理由③ 課金高・セールスランキングの下落

メメントモリの11月速報値で株価急落

2022年12月5日に11月のメメントモリの売上速報値が発表されました。

この速報値が低調だったため、株価下落に拍車がかかっています。

発表前日の終値が8,500円だったのに対し、2営業日後には7,000円台前半にまで下落してしまいました。

チャートは日本経済新聞より引用

11月の速報値の内容

発表された速報値は次の通りです。

メメントモリの11月分速報値
  • 課金高・・・28億円
  • 累計DL数・・・173万DL
  • 広告宣伝費・・・9億円

課金高28億円のうち、30%はプラットフォームに手数料として支払います。

そのため、残る利益は19.6億円です。

そこから広告宣伝費9億円が差し引かれ、およそ10億円が手元に残ります。

四季報の純利益予想が8.4億円なので、見方によっては十分な業績です。

先月より大幅に悪化

ただ、先月と比べると大きく見劣りします。

10月の速報値では、10/18~31の14日間で課金高35億円、DL数は125万DL、広告宣伝費は2億円でした。

単純に比べると日数が合わないので、1日単位での数値に直して比較してみましょう。

項目10月11月
課金高(1日当たり)2.5億円0.93億円
DL数(1日当たり)8.9万DL1.6万DL
広告宣伝費(1日当たり)645万円3,000万円

1日あたりの課金高は2.5億円から0.93億円に減少しました。

一方、1日あたりの広告宣伝費は3,000万円に達し、10月の4.6倍です。

課金高が減少する中で広告宣伝費を増やしているため、当然利益は少なくなっています。

したがって、株価下落は利益が減少したことの結果と言えるでしょう。

追記:月間売上高は10億円で底打ち

その後もメメントモリの売上は減少しましたが、2023年9月時点で月10億円の売上げを維持しています。

ピークから3分の1程度に落ち込んだものの、予想以上に善戦していると言えます。

2023年7~9月は31億円を売上げ、月10億円を維持している。出典:2023年9月期 通期決算説明資料

今後、売上げを再上昇させることができれば、株価も再評価されることが期待できそうです。

株価が再上昇する可能性は?

株価10,000円回復はあり得る

ここまで、バンク・オブ・イノベーションの株価が下落した理由を解説しました。

では、株価が再上昇する可能性はあるのでしょうか?

今後の業績次第では、株価10,000円の回復は現実的です。

というのも、以前の記事で売上240億円なら株価20,000円と予測しましたが、その半分の売上120億は十分達成できる可能性があるためです。

今後の期待材料

そこで、今後期待される3つの材料をピックアップしました。

株価再上昇の期待材料
  1. メメントモリの業績悪化に歯止め
  2. 自作大型RPGのリリース発表
  3. 「恋庭」の成長加速

今後の期待材料はメメントモリの持ち直しです。

売上10億円以上をキープできればまずまずと言ったところでしょう。

20億円を超えれば株価再上昇の可能性は高いと考えています。

また、恋活アプリ「恋庭」に成長加速や、次回作の大型RPGが発表されれば、株価反転のきっかけになりそうです。

まとめ

バンク・オブ・イノベーションの株価が下落した3つの理由について解説しました。

個人投資家が主体になっている銘柄だけに、ちょっとした材料で株価が大きく変動する銘柄です。

しかも、空売り機関の参入でさらにボラティリティが上がっています。

投資する場合、相当な損失を覚悟した上で実行するべきでしょう。

一方、材料次第で株価2倍も狙える魅力もあります。

今後の株価はゲームの課金高次第というギャンブル銘柄なので、過度な集中投資は避けた方が良さそうです。