いすゞ自動車(7202)に買い時到来か?日野自動車の不正でシェア拡大期待




トラックで国内最大手の日野自動車が販売停止に陥りました。

2022年3月に中型・大型トラック向けのエンジンで、2022年8月には小型トラックのエンジンで不正が見つかり、国内向けのほぼ全ての車種が販売停止になっています。

そんな中、シェア2位のいすゞ自動車の業績が拡大しそうです。

日野自動車といすゞ自動車はシェアを奪い合う関係にあるので、日野自動車がコケれば、いすゞ自動車のシェアが拡大するのは必然です。

そのため、日野自動車の不正発覚はいすゞ自動車の買い時かもしれません。

本記事では、日野自動車の不正問題を踏まえつつ、いすゞ自動車に投資した場合のリターンを考察していきます。

日野自動車の不正問題の概要

日野自動車は2022年3月4日に不正行為があったことを公表しました。

不正の内容は、燃費測定や環境試験において、良いデータが出るよう測定器を不正操作したというものです。

これにより、エンジン4種類の型式指定(実質的な製造許可)が取り消しとなりました。

結果、それらのエンジンを搭載する8車種が販売不可となったのです。

さらに、2022年8月22日には小型トラック向けエンジンでも不正が発覚。

出荷停止の対象が拡大し、国内向けの車両はほぼ全てが出荷できないという状況に陥っています。

いすゞ自動車がシェア拡大の可能性

日野自動車が販売停止になっているうちに、いすゞ自動車がシェアを拡大させる可能性があります。

国内トラックのシェアは、日野自動車がトップで約40%、いすゞ自動車が2位で約30%です(2019年のデータ)。

日野自動車が出荷停止になった今、2位のいすゞ自動車がシェアを伸ばす絶好のチャンスです。

実際、2022年5月からいすゞ自動車が販売台数で逆転しました。

以下が月ごとの販売台数の推移です(日本自動車販売連合「大中型貨物車メーカー別販売台数」より)。

年月販売台数
(日野自動車)
販売台数
(いすゞ自動車)
2022/22,1851,806
2022/32,9232,249
2022/41,3481,143
2022/59781,290
2022/61,0611,521
2022/71,1181,384

今後もこの傾向が続けば、いすゞ自動車がシェアトップを奪う可能性が高いでしょう。

その場合、いすゞ自動車の業績が底上げされることが期待できます。

いすゞ自動車の業績見通し

今期は過去最高業績を達成予想

今期である2023年3月期は過去最高業績を達成する見込みです。

売上高が3兆円、営業利益が2,000億円、純利益が1,270億円と予想されています。

これは、売上・利益ともに過去最高となります。

以下がこれまでの業績推移と今期の業績予想です。

2022年3月期までの業績実績と、2023年3月期の業績予想。出典:マネックス証券

2024年3月期はさらに利益拡大

2024年3月期は営業利益をさらに拡大させる狙いです。

業績目標は中期経営計画で掲げられています。

それによると、2024年3月期の業績は、売上高は3兆円以上、営業利益は2,500億円を目指すと書かれています。

2022年3月期〜2024年3月期を対象とした中期経営計画の業績目標。出典:中期経営計画2024

日野自動車の失敗で業績上振れ期待

日野自動車の不正問題はいすゞ自動車の業績にプラスに作用するでしょう。

上記の業績予想は日野自動車の問題が発生する以前のものです。

そのため、今後いすゞ自動車のシェアが拡大すれば、実際の業績が上振れる可能性があります。

直近では半導体不足で思うように出荷が進みませんが、生産が正常化すれば、日野自動車のと差は大きくなりそうです。

今後の株価予想

1株あたりの業績と株価指標

株価を予想する準備として、1株あたりの利益予想と、1株純資産の予想表を作りました。

決算期1株利益1株純資産
2022/3162.8円1540円
2023/3163.4円1640円
2024/3193円1730円

2024年の予想株価は1,930円

1株あたりの利益予想から、2024年の株価として1,930円を予想しました。

計算はシンプルで、2024年3月期の1株利益(193円)に、予想PER10倍をかけて算出しています。

予想株価=193円(2024/03 EPS)×10倍(予想PER)=1,930円

予想PERとしては10倍を前提としました。

なぜなら、いすゞ自動車の過去のPERが10倍前後で推移してきているためです。

PERは銘柄ごとに傾向があるため、過去の平均PERを将来の株価予想に適用できます。

以上から、2024年の予想株価として1,930円を算出しました。

2025年は2,000円突破

2025年には株価2,000円を突破する可能性が高いでしょう。

なぜなら、各証券会社が出している2025年の業績予想によると、1株利益が220円まで成長すると予想されているためです。

PERを10倍とすれば2,200円、9倍としてもおよそ2,000円の株価になります。

したがって、2025年の業績予想を前提とすれば、株価が2,000円を超える可能性は高そうです。

今後の株価上昇イメージ

今後の株価上昇イメージをチャートに表しました。

トレンドは過去2年間の勢いが継続され、2025年頃に2,000円を突破するイメージです。

業績予想の裏付けがあるので比較的自信が持てる予想です。

過去2年間の上昇トレンドが今後も続くと予想。出典:日本経済新聞

いすゞ自動車を3年保有した場合のリターン予想

100株を3年保有して売却

最後に、いすゞ自動車に投資した場合のリターンを考えてみます。

株数は100株で、保有期間3年を想定します。

また、保有期間終了後は売却して利益を確定することにします。

購入株価は2022年8月23日終値である1,647円を前提にしました。

3年間の配当利益

まず、配当利益を計算してみましょう。

今後の配当は明確に方針が出ており、1株あたり66円で決め打ちです。

したがって、3年間の配当利益は【66円×100株×3年】で19,800円となります。

3年後の売買差益

さらに、株価変動による売買差益を計算します。

2025年の予想株価を2,000円として、購入株価(1,647円)との差は353円です。

したがって、売却益は35,300円となります。

3年間のトータルリターンは55,100円

以上から、3年間のトータルリターン予想は【19,800円+35,300円】で55,100円となりました。

投資額が164,700円なので、3年間の利回りは33.5%です。

これは、年換算で10%以上の利回りですので、良い期待リターンだと言えます。

まとめ

いすゞ自動車の今後の業績予想と株価予想について考察しました。

最大のライバルである日野自動車が失敗したことはいすゞ自動車にとってプラスです。

そのため、買いで入るには良いタイミングだと考えています。

業績の見通しも良く、配当利回りも高いため、3年間の期待リターンは30%と高いです。

投資先としては魅力的な銘柄ですね。