オリエンタルランドの株主優待改悪の可能性は?純利益と優待費用から考察




業績悪化が顕著なオリエンタルランドですが、今後の株主優待はどうなるのでしょうか?

株主優待は企業側の都合で変更することができ、業績悪化時には改悪・廃止されることがしばしばあります。オリエンタルランドは赤字転落が確実となっており、株主優待の改悪の可能性はゼロとは言い切れない状況になっています。

有名どころだと、飲食大手「すかいらーくグループ」が優待額を半分に引き下げたのが記憶に新しいですね。改悪翌日は10%超の株価下落に見舞われました。

本記事では、オリエンタルランドの業績と、優待維持にかかる費用を考慮し、優待改悪の可能性について考察していきます。

結論:優待改悪の可能性は低いが、業績次第では危険

結論から言ってしまうと、オリエンタルランドの株主優待が改悪される可能性は低いということが分かりました。

2020年度は赤字になるものの、2021年度は黒字化の可能性が高く、そうなれば株主優待の継続は問題なさそうです。

管理人

株主優待費用はおよそ23億円という試算結果になりましたが、2021年度の純利益予想は517億円。そこまで大きな負担にはなりません。

しかし、怖いのは2021年度も赤字に陥った場合。新型コロナのワクチン接種も進んでいるため、可能性としては低いと思われますが、あり得なくはありません。

その場合、業績の下押し要因である株主優待が改悪あるいは廃止される可能性も十分に出てくるでしょう。

優待改悪は金額以上にイメージ悪化がつきまとうため、オリエンタル側としても避けたい事態です。しかし、可能性がゼロではないということは株主として頭の片隅に置いておきたいところです。

株主優待の費用は「約23億円」

個人投資家はおよそ19万人

株主優待の費用を計算するには、対象となる個人投資家が何人いるかを調べる必要があります。

大まかな個人投資家数はオリエンタルランドの株式情報から調べることができます。

まず、個人投資家の持株数÷100から単元数を調べてみましょう。

  • ・発行済株式数=363,690,160株
  • ・個人投資家の持株割合=21.13%
  • →個人投資家の持株数:363,690,160×21.13%=76,847,730株
  • →単元数:76,847,730株÷100株/単元=768,477単元

単純に全員が100株ずつ持てば76万8,477人の個人投資家がいることになります。

しかし、株主数は198,087名であることが公開されていますので、そこまで多くはありません。

オリエンタルランドの発行済株式数・株主数・大株主の一覧。

法人や行政の数はたかがしれているので、株主数のうちほとんどが個人投資家であると推測されます。したがって、個人投資家数としては19万人存在すると推測します。

オリエンタルランドの所有者別株式分布。個人投資家が21.13%を占め、他は法人・行政機関等が保有している。

優待費用は1人12,000円

個人投資家全体の持分(768,477単元)から、19万人の株主が400株ずつ持てる計算になります。しかし、オリエンタルランドは1株2万円近い値がさ株であることから、大部分の個人投資家が100株の保有だと考えられます。

一部の400株以上の保有者が複数枚のチケットを獲得しますが、人数は限定的と思われます。ここではおよそ3割が2枚のチケットを獲得する前提としたいと思います。

100株保有者に対する優待費用と、400株保有者に対する優待費用は以下のようになります。

オリエンタルランドの優待費用
  • 100株保有(チケットが年間1枚):8,700円/人
  • 400株保有(チケットが年間2枚):17,400円/人

以上の条件から、1人あたりの優待費用は平均11,300円となります。わずかながら3枚以上獲得する株主もいるので、大きい方に切り上げ、優待費用は1人あたり12,000円であると予想します。

管理人

あくまで予想の優待費用ですが、当たらずとも遠からずではないでしょうか。「もっと高いでしょ」と思う方は、この後の計算を補正してみてください。

優待費用合計はおよそ23億円

これで株主優待全体の費用が計算できます。

オリエンタルランドの株主優待費用(推定)

株主数190,000人×1人あたり優待費用12,000円=22.8億円

優待費用はおよそ23億円という結果になりました。

問題は、この費用が負担にならないだけの利益をオリエンタルランドが出せるか、という事です。

株主優待は企業側の独断で変更することが可能です。業績が芳しくない場合、真っ先に削られる対象となります。

次に、オリエンタルランドの業績を確認してみましょう。

株主優待費用を賄えるか?オリエンタルランドの純利益

2021年3月期の純利益

新型コロナの影響を受け、2021年3月期は−511億円の赤字に沈む予想となっています。

4ヶ月間の営業休止、その後も入園者数の制限を行わざるを得ず、売上が激減しました。

オリエンタルランドの業績推移。順調に利益が拡大していたが、2021年3月期は一転、赤字に転落した。

とはいえ、2021年3月期の赤字は想定内。重要なのは、2021年4月以降、業績が十分に回復するかどうかです。

2022年3月期の純利益予想

2022年3月期も完全復活とはいきません。年度前半は入園者数を絞るため、売上が下がるのは必然です。

しかし、年度後半にむけて徐々に正常化していくでしょう。ワクチン接種も進むため、2022年3月にはほぼ例年通りの営業ができると予想されています。

最終的に、2022年3月期は黒字転換し、517億円の純利益になると予想されています(証券大手JPモルガン予想)。

優待費用は純利益の4%未満→改悪の可能性は低い

純利益517億円に対し、株主優待費用は23億円です。割合にしておよそ4.4%となります。

負担がこれだけ小さいのであれば、株主優待改悪(または廃止)の可能性は非常に低いと言えるでしょう。

また、株主優待の改悪は、金額以上に企業イメージのマイナスに繋がります。

オリエンタルランドのような有名どころであれば、優待改悪が大々的に報じられることいなります。株を持っていない人にもマイナスイメージを与えかねず、結果的に企業価値を損ねることになりそうです。

その意味でも、株主優待改悪の可能性は低くなると考えています。

優待が改悪される最悪のシナリオ

2022年3月期の赤字で改悪の恐れ

もし2022年3月期(2021年4月〜2022年3月)の業績が赤字になった場合、優待改悪の可能性は一気に高まります。

というのも、2021年3月期に続き2年連続の赤字になってしまうからです。

2年連続赤字になると金融機関からの信用が低下し、資金調達等に影響します。オリエンタルランドはディズニーリゾートへの投資を続ける必要があり、特に2023年までは大規模投資が続くため、資金調達が思うようにできなくなるのは死活問題です。

仮に2年連続の赤字になった場合は、信用を維持するため、金融機関に対し業績改善の道筋を示す必要が出てきます。その際、株主優待の廃止はやり玉に挙げられやすい材料です。

したがって、2022年3月期も赤字になった場合は優待改悪の可能性が高まると考えられます。

入園者数の増加に注目

業績回復には入園者数の増加が不可欠です。

2021年4月1日からは各パーク2万人、合計4万人が上限となりますが、これでもまだ黒字化には不足です。

参考:日本経済新聞「東京ディズニー、4月から上限2万人に 営業時間も延長

黒字化するには、各パーク3万人、合計6万人以上の入園者数が必要です(下記で試算)。

合計7万人まで引き上げることができれば、それなりの黒字額が見込め、優待継続についての懸念はなくなると言えるでしょう。

補足:「6万人で黒字化の」根拠

オリエンタルランドは大規模な設備を保有しているため、営業しなくても維持費がかかります。さらに、営業する場合はキャストの給与やアトラクションのメンテナンス費用もかかってきます。

それらは「売上原価」「販売費および一般管理費」に計上されることになり、売り上げからこれらの数字を引いた額が「営業利益」になります。

オリエンタルランドの場合、「売上原価」「販売費および一般管理費」の合計は例年3,700億円ほどです。2021年度の場合、少なくとも年度前半は入園者数を絞っての営業のため、1割ほどはコストカットできるはずです。

したがって、約3,300億円ほどの費用となるでしょう。

一方の売り上げとしては、まずホテルで600億円ほどが見込めます。例年は700億円超ですが、稼働率が下がることを見込んで100億円差し引きます。

メインとなる入園者あたりの売り上げは、1人あたり1.2万円です。2,700億円を売上げるために必要な人数は、2,700億円÷1.2万円/人=6.6万人となります。

オリエンタルランド公式HP「入園者数と単価

まとめ

オリエンタルランドの株主優待改悪の可能性について、優待費用と今後の業績予想から考察してみました。

ディズニーファンを中心に不動の人気を誇る株主優待で、「まさか改悪されないだろう」と思われがちですが、赤字が続けば改悪・廃止になる可能性は十分に考えられます。

可能性としては確かに小さいと思いますが、株主としては留意しておきたいところです。




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