急落したソニーG(6758)は今後どうなる?重要な株価材料と予想株価まとめ




人気株のソニーグループ(6758)が急落し、投資家の間で不安が高まっています。

たった10日間で最高値から20%超も下落し、これまで堅調だった株価に暗雲が立ち込めています。

原因は、Microsoft社によるゲーム大手買収という個別の悪材料と、金利の上昇という市場全体の悪材料が重なったためです。

一方、ソニーGの業績期待や自社株買い、電気自動車への期待感は健在です。今のところは下落圧力が高まっているものの、ひと段落すれば再び上昇に転じる可能性は十分ありそうです。

本記事では、ソニーGが急落した原因や期待材料についてまとめた上で、今後の予想株価について考察していきます。

悪材料によって18%超の急落

Microsoft社によるゲーム会社買収で急落

ソニーGの株価はたった1日で-18%という急落に見舞われましたが、これはライバルであるMicrosoftが大手ゲーム会社の買収を発表したためです。

買収先は米ゲームソフト会社のアクティビジョン・ブリザード。「コールオブデューティ」などの人気タイトルを複数持ち、ソニーGのプレイステーションにもソフトを提供しています。

アクティビジョンが買収されたことで、「コールオブデューティ」をはじめとする人気タイトルが供給されなくなるという懸念が台頭し、業績悪化を恐れて売りが殺到したのです。

管理人

ソフト供給を中断する意図は、Microsoft社が販売する「Xbox」でのみ人気タイトルを対応させ、顧客を自社へ誘導するためです。

ただし、Xboxの開発責任者はソフト供給を続けると明言しており、株式市場が勝手に懸念しているだけという印象です。

ソニーGの株価は2022年1月19日に18%超下落し、約3ヵ月ぶりの安値となった。出典:日本経済新聞

金利上昇の懸念も重荷

株価下落を加速させた要因として、米国発の金利上昇があります。

新型コロナの影響で物価上昇が著しい米国では、上昇を抑えるためにFRBが利上げを計画していることが伝わっています。

長期金利を反映する米国債10年物の利回りは2022年に入って以降、大きく上昇している。出典:三井住友銀行

金利上昇は株式市場、特にソニーのようなグロース株にはマイナス要因となり、 Microsoft社の悪材料も相まって売りが売りを呼ぶ展開となりました。

また、ソニーGは海外投資家による買いも多く、海外投資家の心理悪化の影響を受けやすいという側面もあるようです。

3ヵ月ぶりの安値でも、まだ高値水準

高値から20%あまり下落したとは言え、長期的にはまだ高値の水準にあります。

ソニーGの株価は2020年以降大きく上昇しており、2020年当時は6,000円程度の株価でした。

2年間で株価は倍以上になっており、業績が拡大しているとは言え、増益率をはるかに凌ぐ上昇率です。

調整局面に入れば株価が1万円を割れる可能性も考えられます。

ソニーGの株価は過去2年間で大きく上昇しており、直近で下落したとはいえ、まだ高値水準にある。出典:日本経済新聞

業績期待は健在、増益率10%を予想

営業利益は1兆734億円へ増益予想

株価が急落したとはいえ、すぐさま業績に悪材料が出るような事態とはなっていません。

むしろ、ソニーGの業績予想(QUICKコンセンサス)は上昇傾向にあり、業績期待が大きいことが伺えます。

QUICKコンセンサスによると、2022年3月期の業績予想は売上高9兆8,923億円、営業利益1兆734億円です。

昨年度から10%近い増益率が予想されていることが株高の支えとなっているようです。

2022年3月期のQUICKコンセンサス業績予想(赤枠)。直近で上方修正されたことが分かる。出典:日本経済新聞

過去5年間の平均成長率は約10%

直近の業績のみならず、ソニーの過去5年間の業績は好調が続いています。

2017年以降の増益率はなんと平均10%。日本有数の成長企業と言えるでしょう。

以下がソニーGの業績推移です。2021年3月期、2022年3月期は連続で過去最高業績を更新する見込みとなっています。

ソニーGの業績推移。2017年以降で増収増益基調となっている。出典:マネックス証券

2023年以降も10%超えの増益予想

QUICKコンセンサスによると、2023年以降も10%超えの増益が予想されています。

以下が2024年までの業績予想です(2021/03は実績)。

決算期売上高営業利益EPS
2021/038兆9,994億円9,719億円952円
2022/039兆8,051億円1兆576億円639円
2023/0310兆4,117億円1兆2,050億円724円
2024/0310兆8,885億円1兆3,407億円812円

営業利益は2023/03期で+13.9%、2024/03期で+11.3%という増益率です。

EPSは2024/03期までに+27%伸び、株価収益率(PER)を20倍としても、株価は16,240円に達します。

同じグロース株として注目されるキーエンス(6861)は、同じEPS 800円台でも株価は6万円を超えており、ソニーGの株価も2万円、3万円と上がっていっても不思議ではありません。

自社株買いも支援材料

2,000億円規模の自社株買いを発表

2021年4月にスタートした自社株買いも株価の支援材料です。

自社株買い期間は2021年4月30日~2022年4月28日、規模は2,000億円と発表されています。

取得上限は2,500万株で、発行済株式数の2.02%に相当します。

2021年4月開始の自社株買い概要
  • 取得期間:2021年4月30日~2022年4月28日
  • 取得枠 :2,000億円
  • 取得上限:2,500万株

参考:自己株式の取得枠設定に関するお知らせ

正味の押上げ効果は約1.2%

2,000億円というと多いように感じますが、ソニーGの時価総額は16兆円あり、正味の株価押上げ効果は1.2%ほどです。

乱発すればあっという間に2,000億円を消化してしまうため、上昇トレンドで好調な期間は自社株買いを控えてきました。

株価急落時の買い支えに期待したいところです。

2022年1月時点の残は1,500億円

自社株買いを発表して以降は株価が好調だったこともあり、これまで500億円ほどしか消化していません。

1,500億円も余力が残っているのは安心材料と言えるでしょう。

今後、株価がさらに急落すれば自社株買いを発動し、持ち直せば来期に持ち越しという形になると予想されます。

電気自動車(EV)への期待感は健在

電気自動車への参入計画を発表

ソニーは2022年1月に開催されたCES 2022で電気自動車への本格参入の計画を発表した。出典:ソニー公式HP

ソニーは2020年に電気自動車(EV)のコンセプトカー「VISION-S 01」を発表しました。

それ以降、EVへの本格参入の機会を伺ってきましたが、2022年1月初旬に新型コンセプトカー「VISION-S 02」を発表すると同時に、EV市場へ本格参入する計画を明らかにしました。

2022年春頃に新会社「ソニーモビリティ」を立上げ、事業化を目指すとしています。

ソニーはEVに活用できる技術を多数保有しており、コンセプトカーの評判も上々でした。

期待通りのEVが完成すればEV市場を席巻するかもしれません。

保有事業とのシナジーが強み

ソニーはEVに投入できる技術を多数保有しています。

代表的なものは次の通りです。

EVとのシナジーが見込める技術・資産
  • 映像機器のCMOSセンサーをはじめとするセンシング技術
  • 常時インターネットに接続してソフトアップデート等を行うネットワーク技術
  • 移動中の楽しみを担うエンタメコンテンツ資産

これらはソニーEVの”3本の矢”と呼ばれ、これらとのシナジー効果が他社には無い強みとなることが期待されています。

今後の見通し

現時点では販売時期や価格について明言されていません。

ただ、AppleをはじめとしたEV新規参入組を意識していることから、2022年度中には何らかの具体的な計画が発表されるでしょう。

現在はパートナー企業を選定している最中とのこと。

パートナー企業はコンセプトカーの製造を委託した豪「マグナ・シュタイヤー」を筆頭に世界中から募ります。

日本企業も候補に入っており、ソニーがトヨタや日産、ホンダと組むという熱い展開になるかもしれません。

ソニーGの株価指標は割高?

予想PER22倍、PBR2.27倍で割高感は無い

ソニーGの代表的な株価指数を確認すると、特に割高感はありません。

PERは22倍、PBRは2.27倍で、収益拡大余地がある企業としては妥当な水準だと考えられます。

ソニーGの株価指標
  • PER:22倍
  • PBR:2.27倍
  • ROE:24.2%

PBRについて少し掘り下げて考えてみましょう。

妥当PBRは【ROE÷株主資本コスト】で求められますが、PBRを2.27倍、ROEを24.2%として株主資本コストを逆算すると10.7%となります。

業種は違いますが、同じコングロマリット企業である伊藤忠商事(8001)などは株主資本コスト10%を前提とされる場合があり、ソニーGの株主資本コストが10.7%というのも違和感はありません。

したがって、PBR2.27倍というのは妥当な範囲内と判断できそうです。

考え方によっては割高という見方も

PERやPBRに割高感はないものの、考え方によっては割高と見做されているようです。

よく比較対象とされるのはトヨタ(7203)です。

トヨタとソニーGは業種は違いますが、日本を代表する大型株である点は共通しており、どちらに重点的に投資するのかという選別対象に挙げられることが多いです。

トヨタのPERは10.2倍と割安感が強く、それと比較するとソニーGは割高という見方が出てきています。

別の考え方では、SOTP(Sum of theParts)法という株価分析の手法があります。

これは、保有する事業の合計価値から企業価値を算出する方法で、SOTP法でのソニーGの理論株価は1万1,700円と分析されています(参考記事)。

SOTP法に従えば、1万3,000円付近の現在株価は1割以上割高という判断になります。

金利上昇で割高になるリスクも

金利動向によってはソニーGの割安・割高の判断が変化する可能性があります。

株式全体的な話ですが、株式の魅力は国債など安全資産よりも高い利回りがあるためです。

安全資産の利回りが高くなれば、相対的に株式の魅力が低下し、同じ株価でも投資判断は割高方向に修正されます。

金利動向は国内代表銘柄であるソニーGの投資判断に大きな影響を与えることになるでしょう。

ソニーGの予想株価

2年後を見越した予想株価は「14,600~20,300円」

まずは長期的な視点で予想株価を考えてみます。

ソニーGの業績予想は2024年3月期まで公開されており、1株利益(EPS)は812円に達すると予想されています。

また、妥当な株価水準はPER18~25倍くらいでしょう。ソニーGの収益力を踏まえればPER18倍を下回る展開は考えにくいです。

したがって、2年後を見越した予想株価は次のようになります。

2024年3月期の業績予想を前提にした予想株価

予想株価=812円(EPS)×18~25倍(予想PER)=14,600~20,300円

目標株価コンセンサスは「16,359円」

証券アナリストの目標株価を平均した目標株価コンセンサスは、2022年1月21日時点で16,359円となっています。

それに対し、現在株価は12,955円。26%以上の上昇余地が残されています。

ソニーGの目標株価コンセンサスは16,359円となっており、26.27%の上昇余地があると見られる。出典:マネックス証券

投資スタンスの内訳を見てみると、ソニーGをカバーしているアナリスト15名のうち、11名が強気、1名がやや強気、3名が中立となっています。

弱気方向のアナリストが1名もいないことはソニーGが高く評価されていることの証左でしょう。

ソニーGをカバーしているアナリスト15名中12名が強気方向の投資スタンスを明らかにしている。出典:マネックス証券

各証券会社の目標株価

参考までに、2021年11月以降に出された目標株価を次の表にまとめました。

証券会社投資スタンス目標株価(更新前→更新後)
モルガンS強気16000円 → 18000円
東海東京強気14000円 → 18000円
クレディスイス強気15700円 → 17000円
JPモルガン強気18000円 → 17700円
野村中立11500円 → 13500円
みずほ強気18500円 → 19600円
大和強気16700円 → 17000円
三菱UFJMS強気14400円 → 17500円
SBI強気14700円 → 17000円
水戸強気13400円 → 18000円
ジェフリーズ強気20100円 → 20380円

最も強気の予想をしているのは、ジェフリーズ証券の20,380円。その次がみずほ証券の19,600円です。

これらの目標株価まで上がれば、現在の投資家は100株保有だけでも約70万円の利益を獲得できることになります。

一方、最も弱気な野村證券の目標株価は13,500円です。

それでも現在株価(12,955円)より高値であるのは、買い方の投資家の安心材料だと言えます。

まとめ

株価が急落したソニーグループについて、重要な株価材料と今後の予想株価について考察しました。

マイクロソフトがアクティビジョン・ブリザードを買収したのは投資家に衝撃を与えたものの、イメージ先行で売られたのみで、長期的な悪材料とはならなそうです。

米国の金利動向や、電気自動車への参入がより重要な材料になると考えられます。

予想株価については、上限が2万円、下限が1万円程度になると予想され、1万円台前半なら買いと言って良い水準のようです。

直近では大きく値を下げてましたが、中長期では上昇が期待できる銘柄と言えるでしょう。