2018年には1,900円を超えていたビックカメラの株価ですが、度重なる下落で現在は1,100円台まで落ち込んでしまいました。
4割強という下落幅はこれから買うなら魅力的です。良いタイミングで買えれば、配当・株主優待・値上がり益を獲得することができるかもしれません。
とはいえ、問題は下落した理由です。
回復が見込めないような理由だった場合、今後の株価回復も難しいでしょう。逆に、時間が解決する理由なら、下落した今こそ買い時ということになります。
本記事では、ビックカメラが4割強も暴落した3つの理由を解説した上で、今後訪れるであろう買い時について考察していきます。
目次
ビックカメラが暴落した3つの理由
業績悪化で「株価半値」の暴落
ビックカメラの株価下落が著しかったのが、2018年4月~2019年7月までの1年3ヶ月間です。
この間、株価は最高値1,942円から996円まで一方的に下落。下落率は-48.7%となり、ほぼ半値の水準となってしまいました。

この急落を引き起こしたのは、2019年8月期以降の業績悪化です。好調だった業績にブレーキがかかり、利益が2割近く減少。それによって投資家心理が悪化したことが長期にわたる株価下落の原因です。
業績悪化は1年前から業績予想として判明していたため、先行して2018年から株価下落が始まっていました。
具体的な業績を確認してみましょう。
以下が2019年8月期の決算短信です。営業利益ベースで-15.2%の減益となり、当期純利益は-18%の減益幅となりました。

業績悪化の原因となったのは、販売管理費の増加です。
粗利(売上−原価)は前年と同程度の158億円を確保したものの、販売管理費が58億円増加したことが営業利益減少につながっています。
販売管理費増加の主な要因は、ポイント販促費、物流費、宣伝広告費です。人件費増加もわずかながらマイナス要因となりました。

好決算による材料出尽くし
直近の大きな下落は2021年4月に発生しました。これは、好業績が実現したことによる材料出尽くしの下落です。
2021年8月期2Qの決算発表を4月12日に控え、5日に業績予想の上方修正が発表されました。
これを好感して株価は1200円前半→1,300円付近まで窓を開けて急騰。しかし、4月12日に好決算が発表されてみると、翌4月13日から一転下落トレンドとなり、一気に1,100円台前半まで落ち込んでいます。

好決算が発表されて株価が下落するというのもおかしな話ですが、市場が期待していたのは、中長期の成長につながるような決算内容や、新たな株価材料でした。
しかし、好決算以外に目新しい発表が無かったことで、材料出尽くしの売りに押されてしまいました。
インバウンド需要の蒸発
2020年10月以降の株価低迷はインバウンド需要の蒸発が原因だと考えられます。
新型コロナ発生以降、訪日外国人が激減したことで、免税店を中心に売り上げが減少。特に、2020年3~8月の免税店の売り上げは前年比-96.9%の減少率となりました。

これにより、ビックカメラ単体で-30億円の営業赤字に沈みました。
新型コロナが長引くことが確定的となり、業績押し下げが長引くと考えられ、その後の株価低迷の原因となっています。

ビックカメラの買い時は?
海外旅行客の増加がカギ
ビックカメラ株が買い時となるのは、訪日外国人が増加したタイミングでしょう。
海外旅行客が増えることで免税店の売上が回復することはほぼ確実です。それによって業績が回復し、株価上昇につながることが期待できます。
海外旅行が制限されていたことから、外国人の往来が再開すれば、先送り需要が実現することで一気に売り上げ増加となる可能性があります。
国際線の需要回復は2024年夏
海外旅行客の回復タイミングは国際線の需要回復予想から予期することができそうです。
国際航空運送協会(IATA)によると、国際線の需要回復は2024年夏が予想されています。その頃には免税店の売上げが2019年度を超え、インバウンド需要の関連銘柄が盛り上がっている事でしょう。
日本経済新聞「国際線の需要、2024年まで回復せず IATA見通し」
無論、そうなってしまってからでは買い時を逃してしまいますので、先んじて株を買っておくことが重要となります。
2023年初頭までが買い時と予想
業績回復に先んじて購入できるタイミングはいつでしょうか?
海外旅行客の回復は2022年後半ごろから始まり、およそ1年半かけて徐々に回復していくでしょう。
業績回復が数字に表れるのが2023年8月期2Q(決算発表は2023年4月)だとすれば、ビックカメラの買い時は2023年1~3月頃になると予想されます。
業績によっては2018年の高値である1,900円台も射程圏内になると考えています。
まとめ
ビックカメラの株価が暴落した3つの原因を紹介した上で、今後の買い時について考察しました。
2018年以降、度重なる下落で株価は落ち込んでいますが、インバウンド需要の回復によって一定程度の株価上昇が見込めます。
インバウンド需要の回復がいつになるのか、というのがビックカメラに投資する上での大きなテーマです。本記事では2022年後半から回復が始まると予想し、業績回復が明らかになる前のタイミングである2022年1~3月が買い時だと予想しました。
予想については人それぞれだと思いますので、ぜひ自身の予想を立ててみて、買いのタイミングを見計らってみてはどうでしょうか。
日本経済新聞「<東証>ビックカメラが安い 純利益26%減、20年9~11月期 インバウンド需要減で」