携帯代理店事業と不動産事業が収益の柱である「トーシンホールディングス(9444)」について、事業内容や業績、株価、投資ポイントを解説しました。
中部地方を中心に実店舗を展開していますが、株主優待では直営店での本体代金割引など、使えれば価値の高いクーポンが用意されています。
本記事ではトーシンホールディングスを”買うべきかどうか”まで個人的な判断を行いました。
目次
結論:トーシンホールディングスを買うのはリスク
結論から言いますと、トーシンホールディングスを長期投資として買うのはリスクが高いと考えられます。
判断したポイントはこちら。
- 【マイナス材料】本業の携帯代理店業は競争過多
- 【マイナス材料】売上高・営業利益が頭打ち
- 【マイナス材料】スマホ本体代金値引き規制で販売台数減少
- 【プラス材料】21年4月期から新賃貸マンションが業績寄与予定
トーシンホールディングスは売上の93%を携帯代理店事業が占めますが、直近の経営成績は厳しい状況です。
代理店事業を展開する業者が増えたことで競争が激化していることに加え、国からの本体代金割引規制で販売台数が落ち込んでいます。
一方のプラス材料としては、不動産事業の業績寄与があります。
現状、売上高のわずか2%である不動産事業が全利益の38%を稼いでおり、不動産事業が非常に高い利益率を叩き出しています。
2020年2月からは名古屋市中心部に新オフィスビルを開業し、今後の業績寄与が期待されます。
携帯代理店事業のマイナス材料と不動産事業のプラス材料の綱引きですが、本業である携帯代理店事業のマイナスはやはり大きく、しかもコロナショックにより不動産事業の不透明感が増しています。
総じて、トーシンホールディングスへの投資はリスクが上回ると判断しました。
トーシンホールディングスの事業内容
改めて、トーシンホールディングスの事業内容について解説します。
トーシンホールディングスはauとソフトバンクの代理店運営を主とする企業です。
誰もが一度は行くスマホショップですが、スマホショップは携帯キャリアが直接運営しているわけではなく、トーシンホールディングスのような代理店が運営しているというのが実態です。
トーシンホールディングスは「SoftBank」「au」「Y!mobile」「UQ」を取り扱い、複数の携帯電話会社の強みを把握しているため、法人向けなどに最適な料金プランを提案できるのが強み。
通信関連の企業としては規模が小さく、競合に押されて売上高と営業利益は減少傾向にあります。
トーシンホールディングスの株主優待
トーシンホールディングスは不動産事業も展開しており、株主優待ではゴルフ関連の優待が多数用意されています。
- ・100株以上で(1)(2)(5)(6)
- ・300株以上で(1)(2)(5)(6)および(3)1ラウンド
- ・1,000株以上で(1)(2)(5)(6)および(3)2ラウンドまたは(4)1ラウンド
- ・1,500株以上で(1)(2)(5)(6)および(3)3ラウンドまたは(3)(4)各1ラウンド
(1)自社携帯ショップ利用時優待
(2)自社グループ運営ゴルフ場等プレー代金優待
(3)同平日無料招待
(4)同休日無料招待
(5)自社ゴルフレッスン施設利用優待
(6)自社ゴルフ練習場利用優待
この優待は補足説明が必要です。
まず(1)の自社携帯ショップ利用時優待ですが、この優待券はトーシンホールディングスが運営する店舗に限り、スマホ購入や契約時に割引を受けられる優待です。
利用できる店舗は愛知県、三重県、岐阜県、静岡県がほとんど。お店が遠い場合は使い所のない優待ですが、都内では板橋のau店舗で使うことができます。
詳しい値引き内容についてはトーシンホールディングスHPをご覧ください。
ゴルフ場の優待は以下の場所で利用することができます。近隣でゴルフをやる方にはぴったりの優待内容です。
- ・TOSHIN Golf Club Central Course(岐阜県)
- ・TOSHIN さくら Hills Golf Club(岐阜県)
- ・TOSHIN Princeville Golf Course(三重県)
- ・伊良湖シーサイドゴルフ倶楽部(愛知県)
- ・リバーデールゴルフクラブ(愛知県)
トーシンホールディングスの株価チャート
トーシンホールディングスの株価は2月末~3月上旬にかけて約35%下落しました。
3月12日に第3四半期決算発表を迎え、もう一押しした後に反転上昇となり、一気に500円台を回復しています。
決算では売上高が減少しつつも純利益が改善傾向であることが示された為、割安さから買いが入ったものと思われます。
トーシンホールディングスの業績
2019年度までの業績は冴えません。
売上高、純利益ともに上下しながら下落傾向にあり、株価純資産倍率(PBR)1倍割れでも割安とは言い切れないでしょう。
不動産事業では高価格帯の賃貸マンションなどを手掛けていますが、コロナショックの影響により高価格帯不動産価値が下落するという予測もあり、今後の業績が懸念されます。
2020年第3四半期は前年度比+17.3%の純利益改善が見られました。期末決算は厳しい内容となりそうですので持ち越しは厳しいかもしれません。
まとめ
トーシンホールディングスの事業内容や投資ポイントを解説しました。
通信関連の事業は国からの規制があるため、国の方針次第で業績に影響を受けます。スマホ端末割引の規制で端末販売による利益が減少した一方、今後は1~2年というスパンで5G普及によるプラン変更や端末販売が増加する見通しです。
直近の業績には不安があり、投資先としては厳しいという個人的な評価ではありますが、長期的には有望な企業なのではないでしょうか。