株価急騰のエーザイは買いか?アルツハイマー新薬の「強気材料」「弱気材料」から株価を予想




アルツハイマー治療薬が承認されるというビッグサプライズでエーザイの株価が急騰しています。

新規承認された「アデュカヌマブ」はアルツハイマー型認知症の進行を遅らせる効能を持ち、既存治療薬とは根本的に異なる画期的新薬です。順調にいけば推定5,000万人いるとされるアルツハイマー治療の市場を席巻、売上高が1兆円に達するとの見立てもあるほどです。

承認のニュースを受け、7,000円台で安定していた株価は一気に10,000円を突破。野村証券は目標株価を1万8,000円へ引き上げ、まだまだ上昇余地があることが示唆されています。

一方で、アデュカヌマブの効果には疑問の声も出ています。薬剤の有効性を審査する諮問委員会は、2020年11月に「有効性無し」との見解を示していました。

最終的に判断するFDA(米食品医薬品局)はこの見解を棚上げとし、「利益がリスクを上回る」とする打算的な承認を決定。期待と疑念を孕みながら、株価は荒い値動きが続きそうです。

アデュカヌマブについては強気予想と弱気予想が二分していて、非常に判断が難しいところです。本記事では、強気派の6つの材料弱気派の8つの材料とまとめた上で、今回の新薬承認によるエーザイの予想株価を算出します。

管理人

先に株価予想を確認したい方は「エーザイの予想株価」の項目からご覧ください。1万文字を超える記事ですので、全部読むのは大変です。気になる項目から読んでいただけると幸いです。

目次

アルツハイマー新薬で急騰のエーザイ、妥当株価はいくら?

新薬承認で株価10,000円を突破

まずはじめに、直近の株価推移を確認してみましょう。

アルツハイマー新薬の承認が発表されたのは2021年6月7日の場引け後です。6月7日の終値は7,751円でしたが、新薬承認を受けて翌日から2日連続ストップ高となり、6月8日は9,251円、6月9日は10,755円まで上昇しました。

発表から3日経った6月10日に寄り付きましたが、利益確定売りに押されて10,000円まで急落。翌日6月11日は一進一退で、一時は年初来高値である11,490円まで上昇したものの、結局10,700円で終えています。

節目の10,000円を維持して青天井の上昇継続となるか、あるいは押し戻されるのか。難しい局面です。

2連続ストップ高から寄り付いた後、荒い値動きとなっている。

昨年11月にも承認期待の高まりで急騰したことがありました。

承認の判断を行うFDA(米食品医薬品局)が「有効性を示す十分な証拠を提供した」との見解を示したことが材料視され、2020年11月6日は10,900円まで上昇しています。

しかし、その翌日に、有効性を評価する諮問委員会が否定的な見解を公表。株価は急転直下で反落して7,000円台に全戻ししたという経緯があります。

2020年11月初旬は承認期待で11,000円に迫る上昇を見せたものの、直後に諮問委員会が有効性を否定し、急落した経緯がある。

市場の意見は「真っ二つ」

紆余曲折を経て承認されたものの、その有効性には疑問が残っています。

有効性を評価した諮問委員会では、委員メンバー11人中9人が有効性を否定する、ほぼ満場一致での結論が出ていました(残り2名のうち、1名は賛成、1名は保留)。

有効性が否認された上での承認となったことで、株式市場は承認された事実に重きを置く強気勢力と、不確定要素が多いとする弱気勢力に二分されています。

強気派の先鋒は野村証券です。新薬承認を受け、目標株価を18,000円に引き上げました。これは承認時点の株価から2倍以上です。

一方、弱気派の代表は大和証券です。新薬の収益寄与は限定的であり、むしろ研究開発費が重荷となり株価は下落すると予想しています。目標株価は承認前よりも低い4,700円に引き下げました。

新薬承認による妥当株価はいくら?

強気派、弱気派で見解が180度異なる中、妥当な株価はいくらなのでしょうか?

それを考察するには、強気派の強気材料と、弱気派の弱気材料を客観的に判断する必要がありそうです。

アデュカヌマブに関する意見は、承認以降、多くのメディアで紹介されています。それらの記事から強気材料・弱気材料をピックアップしました。

それらの材料を確認した上で、本記事の最後では今後の予想株価まで踏み込んで考察しました。

アルツハイマー新薬をめぐる5つの強気材料

5つの強気材料まとめ
  • 強気材料① 画期的新薬として”ブロックバスター”化の可能性
  • 強気材料② 日本・欧州での承認にも期待
  • 強気材料③ もう1つの新薬候補「レカネマブ」
  • 強気材料④ 認知症患者は世界に5,000万人
  • 強気材料⑤ 介護費軽減で高い薬価が正当化される

【強気材料①】画期的新薬として”ブロックバスター”化の可能性

アデュカヌマブはアルツハイマーの原因物質に作用し、認知機能低下を抑える唯一の薬であることから、アルツハイマー薬市場を席巻する「ブロックバスター」となる可能性があります。

一般的に、ブロックバスターは売上高1,000億円を超える薬を指しますが、アデュカヌマブについては2026年の年間売上高が約5,200億円にも達すると試算されています(英調査会社エバリュエートの試算)。

6月9日にエーザイが開いた説明会では、内藤晴夫CEOが「ブロックバスターになりうる」との認識を示しています。

国内アナリストからはピーク時売上高が1兆円を超えるとの指摘や、ジェフリーズ証券がピーク時売上高1兆6,400億円を予想するなど、予想に幅はありますが、いずれにしてもエーザイの業績が跳ね上がることに違いはありません。

エーザイの直近の売上高は6,000億円〜7,000億円程度。期待通りとなれば売上高は軽く1兆円を超えることとなり、株価が2倍になるのも十分納得ができます。

管理人

アデュカヌマブは米バイオジェンと共同開発なので、収益は一定の割合で折半になります。全売上がエーザイに入るわけではない点には留意が必要です。

【強気材料②】日本・欧州での承認にも期待

6月7日の承認は米国内のもので、日本・欧州での審査も進行中です。

米国が承認に踏み切ったことで、その他の地域でも承認される可能性が高まりました。エーザイにとって特に重要となるのが、大きな収益が期待できる日本での承認です。

というのも、米国・欧州での販売はバイオジェンが担い、エーザイには利益の4割程度の利益が配分されます。一方、エーザイが担うのは日本と、中国・韓国を除くアジアでの販売で、利益の8割を獲得できることとなっています。

日本で承認されれば、アデュカヌマブで獲得できるエーザイの利益が大きくなることから、特に日本での承認に期待が寄せられています。

国内での承認の結論は2021年末。その直前にはまた大荒れの値動きとなるでしょう。

【強気材料③】もう1つの新薬候補「レカネマブ」

エーザイはもう一つのアルツハイマー新薬候補「レカネマブ」の治験を進めていて、こちらの承認も期待される材料です。

レカネマブは先に承認されたアデュカヌマブと同じメカニズムであり、治験第二相までは良好な結果が得られています。最終治験の結果はまだですが、有効性に不確実な点があっても承認されたという前例ができた今、承認の可能性は一気に高まったと言えます。

【強気材料④】認知症患者は世界に5,000万人

治療対象となる患者数が多いのも、強気予想の根拠となっています。

認知症患者は2021年時点で世界に5,000万人存在し、そのうち6〜7割にあたる3,000〜3,500万人がアルツハイマー型と言われています。

2050年には現在の3倍となる1億5,000万人まで増加するとの試算もあり、患者数が多いことから莫大な収益が生み出されることが期待されています。

また、エーザイの収益に大きく影響する日本においても、認知症患者数は急激に増加しています。

2050年には1,000万人を突破すると予測されており、アデュカヌマブの対象患者も増加することになるでしょう。

日本国内の認知症患者数の推移予測。2050年には1,000万人を超えると予想されていて、日本社会における大きなリスクとなっている。

【強気材料⑤】介護費軽減で高い薬価が正当化される

医薬品の価格は、その効能が社会的にどれだけメリットがあるかで決められます。

健康保険の対象となる医薬品は、使われれば使われるほど、医療財政を圧迫します。しかし、社会全体的に医療費を下げることに寄与するなら、高い価格が正当化されるのです。

アルツハイマー型治療薬の場合、認知症の進行を遅らせることで、介護費を軽減する期待があります。徘徊行動や攻撃性といった症状は介護従事者や家族にとって負担が大きく、進行を遅らせることは社会全体に高い効能が期待できそうです。

それが実証されれば、アデュカヌマブは高い薬価が認められ、エーザイにより多くの収益をもたらすことが期待できます。

アルツハイマー新薬の8つの弱気材料

8つの弱気材料まとめ
  • 弱気材料① 高すぎる価格設定
  • 弱気材料② 医療財政を圧迫する恐れ
  • 弱気材料③ 外部専門家は有効性に否定的
  • 弱気材料④ 収益貢献は2023年3月期以降
  • 弱気材料⑤ 軽度認知症が対象 – 診断手法にもハードル
  • 弱気材料⑥ 承認取り消しの可能性
  • 弱気材料⑦ 競合もアルツハイマー新薬を開発
  • 弱気材料⑧ 米国・欧州はバイオジェンが担い、エーザイの利益は半分未満

【弱気材料①】高すぎる価格設定

弱気材料として最も指摘されているのが、効能に対して薬価が高すぎることです。

バイオジェンは年間治療費として5万6000ドル(約610万円)になると発表しました。4週ごとに1回の点滴を行うため、1回あたりの費用はおよそ47万円に上ります。

しかし、この価格が実際に受け入れられるかは微妙です。

2回行われた治験では、1回が効果無し、1回がアルツハイマーの進行を20%遅らせる、という結果でした。そのエビデンスに対して薬価が高すぎる故に、医師が処方を躊躇う可能性や、患者側が拒否する可能性が指摘されています。

今後の臨床データから、価格に見合う効能が見られなければ、薬価を引き下げざるを得ず、業績への寄与が小さくなる恐れがあります。

管理人

4年間は薬価5万6000ドル(約610万円)据え置きで、その後は効果次第で引き上げ、あるいは引き下げを行う予定です。

参考記事

フィナンシャルタイムズ「認知症新薬、高価格が売り上げ阻害も 

【弱気材料②】医療財政を圧迫する恐れ

アデュカヌマブが日本で承認された場合、医療財政をひっ迫させる恐れが指摘されています。

日本の高齢者は、高齢者医療制度によって負担率が1~2割と定められています。つまり、薬価の8~9割が医療財政を直撃することになります。

治療対象者の見積もりはおよそ100万人。掛け算をすると、国の医療費負担は6兆円にも上ると推計され、日本が支え切れる金額ではありません。

仮に高い効果が認められたとしても、現在バイオジェンが示している価格を日本に適用するのは厳しいでしょう。

【弱気材料③】外部専門家は有効性に否定的

FDAが承認判断をする前に、専門家11名からなる諮問委員会が有効性の判定を行いましたが、結果は(承認に対して)賛成1名、反対9名、保留1名で「有効性が無く承認に反対」というものでした。

有効性の判定は治験結果に基づいて行われます。アデュカヌマブは有効性があるとの結果が出るまで紆余曲折があり、明確な結果が示されていません。

アデュカヌマブが承認されるまでの紆余曲折
  1. 2019年3月:アデュカヌマブ治験第3相において、主要評価項目が達成される可能性が低いと判断し、治験を中止(公式リリース
  2. 2019年10月:治験中止後のデータを加えた上で解析したところ、投与量の少ないグループでは効果が見られなかったものの、投薬量の多いグループでは認知機能を22%抑制するとの結果が判明。ただし、治験中止後に製薬企業側の判断で投与量の多いグループの人数を増やしていて、当初の計画とは異なっていた。結果を受けて、一転、新薬承認申請を予定すると発表(公式リリース
  3. 2020年7月8日:米国FDAへ新薬承認申請(公式リリース
  4. 2020年11月7日:FDA諮問委員会が有効性を否定する結論を出す(公式リリース
  5. 2021年6月8日:米国FDAが新薬承認(公式リリース
  6. 2021年6月12日:諮問委員会メンバー3人が承認に抗議して辞任(アルツハイマー新薬、米諮問委3人が辞任 承認に抗議

疑念の肝は、中止前のデータでは効果が見られなかったことと、治験中止後に投与量の多いグループの人数を増やし、それが効果有りとの判定につながったことです。

また、当初の計画から製薬企業側の判断で方針を変えている点も引っかかります。

これらの結果、諮問委員会は有効性を否認するに至っています。

【弱気材料④】収益貢献は2023年3月期以降

アデュカヌマブによる本格的な収益貢献は2023年3月期以降になると、エーザイの内藤晴夫CEOが述べています。

2023年3月期というと十分早いように感じますが、数百億円規模の収益になるのはさらに先になりそうです。症状改善の効果が明確に示されるまでは数年かかると予想され、それまでは大幅な値引きを実施せざるを得ず、エーザイが獲得できる利益は限定的だと見られます。

期待されているような1,000億円以上の収益になるのは2025年以降になりそうです。

期待されているレベルの収益化まで長い期間がかかることから、仮に成功するとしても現在の株価急騰は行き過ぎ、というのが弱気派の見解です。

【弱気材料⑤】軽度認知症が対象 – 診断手法にもハードル

アデュカヌマブが対象となるのは、アルツハイマー型認知症の初期段階である軽度認知症(MCI)に限られます。

症状が進行して、徘徊行動や攻撃的行動を取るような患者には適用できません。死滅した脳細胞を復活させるような、認知症の根治薬ではないのです。

したがって、対象患者数は自ずと絞られ、期待されるほどの収益にはならない可能性があります。

また、対象患者であると診断する技術も課題です。アデュカヌマブは、アルツハイマー型認知症の原因物質と見られる「アミロイドベータ」を脳から除去する作用を持ち、対象患者かどうかは脳に沈着するアミロイドベータ量を測定する必要があります。

しかし、現在主流のβアミロイドPET/CT検査は1回20〜30万円の費用がかかります。時間的にも2〜3時間を要するため、この検査方法で大人数の患者を診断するのは難しいと見られます。

対象患者を迅速に絞り込むためには、血液検査のような簡便な方法を開発する必要があります。

その道筋はすでに見えていて、国立長寿医療研究センターと島津製作所の共同グループが血液から微量のアミロイドベータを検出する手法を開発しました。

しかし、まだ実用化を待っている状態であり、患者の絞り込みが難しい状況が続きそうです。

【弱気材料⑥】承認取り消しの可能性

一旦は承認されたとはいえ、臨床試験の結果次第では承認が取り消される可能性も残っています。

FDAも「仮に臨床の効果の確認がなされなかった場合、新薬の承認を取り消す可能性がある」とコメントしていて、現実的なリスクして意識するべきでしょう。

仮に承認が取り消しとなった場合、日本や欧州での承認も絶望的となり、エーザイにとって大打撃です。研究開発費が重荷となり直近の利益が低下しているため、株価は全戻しどころか、5,000円を下回っても不思議ではありません。

【弱気材料⑦】競合もアルツハイマー新薬を開発

アルツハイマーの新薬はエーザイ以外の製薬企業も開発していて、別の薬剤が承認されて競合する可能性があります。

以下がアルツハイマーの新薬を開発している製薬企業です。治験を中止した医薬品候補も承認の道が開かれる可能性があり、それらも含めると4社が開発を行っています。

アルツハイマー新薬を開発する製薬企業
  1. ロシュ・ホールディングス(米):治験中止が相次いだが、承認の道が残っている可能性
  2. イーライリリー(米):第Ⅲ相治験を実施中、進捗は良好
  3. ノバルティス・ファーマ(スイス):2019年に治験中止したが、承認の道が残っている可能性
  4. 塩野義製薬(日):第Ⅱ相治験を良好な結果で通過

競合が承認された場合、アデュカヌマブは想定された収益を上げるのが難しくなるかもしれません。

治療に使う医薬品に複数の選択肢がある場合、より有効な薬品がより多く使われることになります。アデュカヌマブの効果が劣るという結果になれば、使用の優先順位が下がり、期待されるほどの収益とはならないでしょう。

今後、競合の承認はエーザイにとって悪材料となります。

【弱気材料⑧】米国・欧州はバイオジェンが担い、エーザイの利益は半分未満

アデュカヌマブはバイオジェンと共同開発ですので、利益はバイオジェンと折半です。

しかし、50:50というわけではなく、担当する地域によって取り分が決まっています。

現時点で決まっている担当地域は、バイオジェンが米国と欧州、エーザイが中国・韓国を除くアジアです。

担当地域ではより多くの利益を獲得できるよう、利益配分が以下のように決まっています。

地域エーザイ取り分バイオジェン取り分
米国45%55%
欧州31.5%68.5%
アジア(中国・韓国除く)80%20%

したがって、利益の全てをエーザイが手にできる訳ではなく、担当するアジア圏で承認されなかった場合、利益の大半をバイオジェンに持っていかれてしまう可能性があります(その逆もあり得ますが)。

エーザイにとって、日本をはじめとするアジア諸国で承認されるかどうかが、今後の大きな材料となるでしょう。

エーザイの予想株価

【強気予想】ブロックバスター化で「予想株価15,000円」

強気予想が実現した場合の予想株価として、15,000円を予想しました。

アデュカヌマブがブロックバスター化し、2027年3月期に売上5,200億円を上げる、という想定です。

管理人

売上高5,200億円は、イギリスの調査会社エバリュエートの試算によります。

バイオジェンとの取り分がどうなるか不透明ですが、1:1で折半になる前提としています。

以下が2027年3月期の想定業績です。2021年3月期を元に、売上高+2,600億円、営業利益+780億円(営業利益率30%)を加算し、純利益900億円になると予想しました。

2021年3月期2027年3月期(想定)上昇率
売上高6,459億円9,060億円+40%
営業利益517億円1,300億円+151%
純利益421億円900億円+114%
アデュカヌマブがブロックバスター化した場合の想定業績。
管理人

営業利益3割は、日本の薬価算定基準「原価計算方式」の上限(29.2%)によります。原価計算方式では、14.6%を基準に、革新性などを考慮して−50〜+100%の補正をして営業利益を決定します。

純利益が2倍以上となることから、「承認前の株価から2倍」というのが一つの目安となりそうです。

承認前の株価は7,500円前後。したがって、そこから2倍である15,000円を予想株価としました。

実際にそこまでの売上高に達すれば、安定した高収益を背景に高いPERが許容されるはずで、15,000円でも決して強気予想というわけではありません。

ここでは調査会社エバリュエートの試算をもとにしましたが、売上高1兆円を超えるという予測もあります。

その場合、株価20,000円も射程圏内となるでしょう。

【弱気予想】承認取消しで予想株価5,000円

今後の臨床データで効果が見られず、承認取り消しとなった場合はどうでしょうか。

この最悪のシナリオが実現した場合、株価は5,000円くらいまで落ち込むことになるでしょう。

5,000円を予想する根拠は、過去にアデュカヌマブが臨床試験を中止した際の株価推移です。中止発表で株価は6,000円台まで急落し、その後、一時は5,500円を割るほどまでに売り込まれました。

2019年3月に治験中止が発表された際、株価は2連続ストップ安となった。

承認取り消しとなれば、この急落が再現される可能性が高いでしょう。収益の柱である抗がん剤「レンビマ」の特許切れが近づいた分、状況は当時より悪化していると言え、株価は深掘りする可能性が高いと思われます。

したがって、アデュカヌマブの承認取り消しで株価5,000円を予想しました。

【中立予想】メインシナリオは予想株価12,000円

強気予想で15,000円、弱気予想で5,000円という予想となりましたが、答えが出るのは臨床データが揃う数年後です。

それまでは期待と失望が入り混じる株価推移になると考え、若干強気に傾けた12,000円をメインシナリオとして予想しました。

強気に傾けた理由は、不確実性がある時ほど株価が上がるという直観です。また、強気予想の15,000円自体、低めに見積もったというのもあります。

今後、大きく上下するとは思いますが、その振動の中心線として、12,000円を予想しました。

各証券会社の株価予想

最後に、新薬承認を受けた各証券会社の目標株価を紹介します。

不確定要素が多いだけに、予想の違いが目標株価に如実に表れています。

各証券会社の目標株価まとめ
  • 大和証券:4,700円
  • 野村証券:18,000円
  • クレディ・スイス証券:15,000円
  • SMBC日興証券:7,000円

大和証券は弱気、目標株価は「4,700円」

大和証券は下に突き抜けた弱気予想を出していて、その目標株価は承認前を下回る4,700円です。

そのレポートから、弱気予想の3つの理由を抜粋しました。

目標株価4,700円の理由
  1. アルツハイマー新薬への期待は過剰
  2. 抗がん剤「レンビマ」特許満了後の業績見通しに比べ株価は割高
  3. 今後、研究費用が重しとなって利益は減少すると予想

アデュカヌマブの期待は過剰で、今後のエーザイの業績は下降線をたどる、というのがこの予想です。

野村證券は超強気、目標株価「18,000円」

一方の野村証券は真逆の予想です。懸念されている検査は問題にならず、次に承認を目指しているアルツハイマー治療薬「BAN2401」の承認確率が上がったことも好材料に挙げ、目標株価18,000円を設定しています。

アデュカヌマブ承認前から2倍以上となる目標株価ですが、売上5,000億円を超える大型薬に成長すれば、株価18,000円は十分妥当だと考えられます。

クレディ・スイス証券は目標株価「15,000円」

欧州系投資銀行のクレディ・スイスは目標株価15,000円を設定しました。

承認前の目標株価は8,000円でしたが、承認を受けて投資判断をアウトパフォーム(3段階中最上位)とし、目標株価を15,000円に引き上げています。

大規模な投資銀行であるクレディ・スイスが強気予想をしているということは、買い方にとっては心強いですね。

SMBC日興証券は弱含み、目標株価「7,000円」

SMBC日興証券は慎重な見方をしていて、投資判断はニュートラル、目標株価は7,000円に設定しました。

ただし、この投資判断は5月26日に行われたもので、今後更新される可能性があります。

まとめ

アルツハイマー新薬承認に対する強気予想・弱気予想をまとめた上で、エーザイの予想株価を考察しました。

アデュカヌマブが今後、承認を維持することができるのか、あるいは承認取り消しとなるのか。はたまた、承認を維持しても市場に受け入れられるのか。

未来は誰にも分かりませんが、今言えるのは、強気派と弱気派それぞれ言い分があり、どちらに転んでもおかしくはないということです。

今後の株価形成は、強気勢力による買いと、弱気勢力による売りが交錯し、どちらの可能性も織り込んだ価格に収束すると考えられます。

本記事ではその中心線を「12,000円」と判断し、それより下なら買い時、上なら売り時という結論です。

リスクが高い分、投資家としての利益を獲得するチャンスでもありますので、下げたところでは積極的に狙っていきたい銘柄だと考えています。




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