日本航空(JAL)の株価急落で考える4つの「買い時」

急落した日本航空(JAL)は買いか?急落の原因と買い時を考察する




管理人

11月9日の株価急落で100株を買い増し、現在200株のホルダーです。本記事では、日本航空に投資するために必要な情報と、今後訪れるであろう買い時について考察します。

日本航空(JAL)の株価が年初来安値を更新するほどに暴落しています。

新型コロナ感染拡大による移動制限により、航空需要が壊滅的現象に見舞われたことは周知の事実ですが、それにより、日本航空の業績は過去最大の赤字となる見通しです。

収入が減ったことで固定費(機材維持費+人件費など)が重い負担となり、企業の”血液”ともいえる現金が大きく減少しています。

そこで、将来的な備えとして、公募増資による資金調達を発表しました。発行済株式数の30%にも及ぶ新株を発行する予定ですが、既存株主は大きな希薄化に見舞われ、株価が急落するという事態になっています。

とはいえ、株は安いときに買うもの。急落はしばしば行き過ぎることがあり、今こそ日本航空が買いであるということも考えられます。

本記事では、直近の下落の要因を考察したうえで、日本航空の買い時を考えていきます。



日本航空の10%を超える急落劇

公募増資発表による株価急落

JALの株価急落の直接要因は、新株を発行する「公募増資」によるものです。

新たに株を発行することで、JALは無利子で資金を調達できる反面、株式数が増えるために1株あたりの価値は下がることになります。

公募増資とは?

新株の購入者を一般投資家から広く募集し、設備投資などの資金を調達する手段です。既存株主にとっては基本的にバッドニュースです。公募増資での発行価額は、時価よりも割安に設定されることが多く、新規購入者は安く購入できる一方、株価は発行価額に向けて下落しやすくなります。

JALは2020年11月6日に公募増資を行うニュースリリースを行いました。

それにより、株価は6日終値である1,843円から、土日を挟んだ9日に最安値1,556円まで急落したのです。

公式リリース:新株式発行及び株式売出しに関するお知らせ

最大1億株を発行し、1,680億円を調達

JALの公式リリースによると、今回の公募増資では最大1億株を発行する予定です。

調達額としては最大1,680億円、単純計算で1株1,680円です。

しかし、11月9日終値は1,641円となったため、1,680円で募集できるかは怪しいところ。

調達額は新株発行の条件が決められる11月18~25日の株価次第となるでしょう。

最大23%の希薄化

2020年11月9日時点の発行済株式数は3億3,714万3,500株です。

ここに1億株が新たに発行されることで4億3,714万3,500株となり、約23%の希薄化となります。

1株当たりの価値が23%下落するという事なので、発表前である11月6日終値から23%ディスカウントした株価、1,419円が一応の目安となります。

発表翌営業日は1,641円で踏み止まりましたが、今後下落トレンドが続く可能性は否定できません。

株価急落の3つの理由

直近の急落の原因は公募増資でしたが、JALの株価はそれ以前から下落傾向でした。

もう少し視点を広げ、公募増資に至るまでの原因を含めて株価下落の理由を考察してみましょう。

理由① 新型コロナによる業績悪化

ご存知の通り、株価急落の背景にあるのは新型コロナによる航空需要蒸発です。

新型コロナ発生以降の四半期決算を見てみると、業績への影響が如実に表れています。

2020年3月本決算〜2021年2Qで急悪化している

特に2020年4月〜6月の1Qが顕著で、売上高は-78.1%の764億円、営業利益は1,282億円の赤字(前年度は194億円の黒字)に転落しています。

世界的な入国制限により、国際線は前年対比98.6%減、国内旅客数は前年対比86.7%減となったのが主因。航空産業は固定費(航空機維持費+人件費 など)が大きく、「ハイリスクハイリターン」な産業ですので、需要減少による赤字幅が大きくなりやすいのです。

貨物の需要増で貨物専用便の収入は増えたものの、売上高ベースで前年対比38億円増に止まり、業績悪化をカバーするには至っていません。

理由② 公募増資による希薄化懸念

業績悪化に伴い、JALの現金残高が減少し始めます。

2021年度1Qは1,302億円の現金流出、2Qには1,499億円の現金流出となり、財政状態が悪化しました。

対策として、政府系金融機関や、主力銀行である三菱UFJ銀行・みずほ銀行から6,000億円の融資枠設定を行いました。

2020年10月末時点で3,000億円の借り入れを行い、3,000億円の融資枠を残しています。

しかし、銀行からの融資には金利が付くため、多額の借り入れは財政的な負担です。そこで、金利を必要としない資金調達手段として、公募増資の検討が開始されました。

公募増資が報道で明らかになると、土日を挟んだ翌営業日には1,500円台まで株価が急落。

理由③ 業績回復への先行き不透明感

新型コロナの世界的流行が続き、収益の柱である国際線の需要回復が遅れています。

回復はいつになるのか、また、どこまでコロナ以前に戻るのか。業績回復に向けた明確な道筋が見えておらず、投資資金が集まりにくい状況です。

とは言え、需要回復の予想は立てられています。2021年度第2四半期決算説明資料から抜粋しました。

一定の幅を持って需要想定が示されており、国際線は2021年度半ばまでに50%まで回復し、国内線は90%近くまで回復する、とされています。

国内線が90%回復すれば、経営収支はほぼプラマイゼロになり、経営破綻の懸念は払拭されます。

しかし、国内でも流行第三波が発生するなど予断を許しません。国際線にしても想定通り回復するとは限らず、ウイルス完全という新しい危機に不透明な状況が続きます。

日本航空の買い時は?

買い時① 急落した今、買い時という判断も

公募増資という大きな悪材料が出たため、JALの株価は急落しました。

急落翌日には、ファイザーのワクチンに9割の有効性が確認できたという報道で航空関連株が大きく上昇しましたが、23%の希薄化を控えるJALの株価は上値が重い展開です。

しばらくは2,000円以下で推移すると思われますが、将来的な業績回復を見込めば安値水準ですので、急落した今が買い時という判断も考えられます。

条件次第では公募増資に申し込むことも検討したいですね。

買い時② ワクチンの開発と普及

米ファイザーの新型コロナワクチンが、接種者の9割に効果があったという結果が報道されました。

事実だとすれば、今後1〜2年で新型コロナ感染拡大が世界的に終焉を迎える可能性があります。

ファイザーが開発したワクチン

ワクチンの名称は「BNT162b2」。約4万4千人を対象とした第三相試験(最終試験)において、ワクチンを摂取した被験者群の感染率が、摂取しなかった被験者群の1割以下だった、という中間結果が発表されました。これにより、”9割の効果がある”と言われ、世界に普及することで、感染を抑え込めるのではという期待が高まっています。

参考記事:ファイザーの新型コロナワクチン「90%超に効果」は印象的だが、研究者は慎重な見方

この報道により、公募増資で急落したJALの株価は一気に全戻しとなり、一時は2,100円を超えるまでに回復しました。

中間結果による期待上げは限定的となるでしょうが、有効なワクチン開発の可能性が高まった今、「買い」という判断は妥当だと思います。

上記ワクチンの供給までの進捗が報じられるにつれ、株価も3,000円に向けて戻っていくと予想されます。事実が確定する前に買っておくのが投資の鉄則です。

買い時③ 入国制限の解除

入国制限が解除に向かうことで、収益の柱である国際線需要が戻ることが期待されます。

国際線が戻れば黒字転換が見込め、経営破綻の懸念が無くなりますので、主要各国の入国制限が緩和されるにつれて株価も戻ると予想しています。

したがって、入国制限解除の兆しがあれば、そこが買い時となりそうです。

買い時④ 四半期業績の黒字回復

冒険を避けるなら、黒字回復を待ってから投資するのが無難な方法です。

赤字のタイミングで投資すれば、大きな値上がり益を狙うことはできますが、資金難による悪材料が生じる可能性があります。

そうなると、値上がり益を取るどころか、さらに値下がりする危険があります。

黒字回復を待てば、その後は順調に回復すると予想できますので、比較的安全に投資することができるでしょう。



日本航空の黒字化の見通しは?

JALの株をどのタイミングで買ったとしても、最終的に黒字化しなければ株価上昇や配当再開は見込めません。

そこで、黒字化の見通しについて考察していきましょう。

日本航空の収入/費用の内訳

黒字化の見通しを考える上で、JALの収入・費用の内訳が参考になります。

以下の図は2021年3月期第2四半期決算の決算説明資料から抜粋した、EBIT(金利税引前利益)増減の推移です。

いろいろな数字が並んでいますが、着目したいのは次の3点です。

・国際旅客 ▲2,637億円

・国内旅客 ▲2,161億円

・第2四半期累計 ▲2,239億円

これらの数字からシンプルに考察していきます。

国内需要の回復は絶対条件

まず、第2四半期累計の赤字が2,239億円に対し、国内旅客のマイナス分が2,161億円あります。

つまり、国内需要が完全に戻れば、赤字の大部分はカバーできると考えられます。

正確には、旅客機を稼働させることで費用も増えるため、国内線だけで赤字を完全にカバーすることは難しいと思われますが、国内線需要回復は黒字化に向けての絶対条件となるでしょう。

黒字額は国際線需要の回復次第

国内線需要が回復した上で、国際線需要がどこまで戻るかが黒字額を決めることになりそうです。

仮に50%まで戻れば、収益は現在よりも1,300億円ほどのプラスになりますので、黒字化する可能性が高いです。30%くらいでトントンというところでしょうか。

国際線については各国の感染状況や外国人受入の動向によりますので、見通しが立ちづらい状況が続きます。

貨物郵便の収益増加に期待

人の移動が制限される一方、ネット通販の活性化により貨物郵便の需要が増加しています。

JALはその需要を取り込み、2020年3~9月にかけて貨物郵便の取り扱いを拡大してきました。

上半期は前年度比+18.3%、83億円の収益増加に寄与しています。

航空需要が戻るまでは貨物郵便で食いつなぐことを期待したいところです。

まとめ

JALの株価急落の原因と、今後の買い時について考察しました。

日本を代表する航空会社が、数ヶ月の間に株価が半分になるまで企業価値が下がってしまいました。

今後もしばらくは予断を許さない経営状況が続くと予想されますが、JALは2010年に経営破綻を経験しており、その甲斐もあって財務状況は比較的健全です。

今回発表された公募増資では、新機材の調達や、格安航空会社(LCC)の事業強化に充てる計画で、コロナ後を見据えた攻めの一手です。

公募増資による投資が実を結べば、コロナ後の競争力が増し、さらなる企業価値向上につながるかもしれませんので、チャンスを逃さずに買い増したい銘柄だと考えています。




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