オリックスが決算発表と同時に442億円の自社株買いを発表しました。
発行済株式数の4%にあたる5,000株を上限とする大規模なものですが、新型コロナの影響で自社株買いが行われるか不安視されていただけに、これは大きな好材料です。
発表翌日の株価は+5%高の値上がりとなり、株価トレンド反転の期待が高まっています。
本記事では、442億円の自社株買いの詳細をはじめ、過去の自社株買い後の値動きなどを参考に、今後の株価推移を占いたいと思います。
目次
442億円の自社株買い詳細
2020年11月2日リリースの自社株買い内容
- 取得株数:5,000万株(上限)
- 取得額 :442億円(上限)
- 取得期間:2020年11月9日~2021年3月31日
- 取得方法:市場買い付け(委任)
オリックスの公式リリース:https://www.orix.co.jp/grp/company/newsroom/newsrelease/pdf/201102_ORIXJ3.pdf
発行済み株式数の最大4.0%を買戻し
オリックスの発行済み株式数は2020年9月30日時点で1,247,723,394株(12億4,772万3,394株)です。
今回の自社株買い上限である5,000万株は、その4.01%にあたります。
取得額上限は過去の自社株買いよりも低いですが、株価が下がっているため、取得株数は比較的多くなっています。
自社株買い後は消却予定
自社株買いリリースの中に、次の記載があります。
保有する自己株式の総数の上限を、発行済株式総数の 5%程度を目安とし、それを超える数の株式は、原則として消却することを方針とする旨決議しました。
オリックス公式リリースより
オリックスは自己株式をすでに5.3%保有しているため、今回の自社株買いで買い戻した株は消却される見通しです。
消却されれば1株当たりの価値が高まり、好材料となります。
実質的には前回の自社株買いの続き
今回の自社株買いは、2020年5月11日に終了した自社株買いの続き、という意味合いがあります。
2019年10月28日に発表され、2020年5月11日に終了した自社株買いでは、上限1,000億円に対して558億円の買付けで終了してしまいました。
558億円に今回の442億円を足すとちょうど1,000億円になりますので、前回の自社株買いの続き、ということですね。
実際に買い戻される株数
実際には約3,000万株が上限
5,000万株が上限と設定されているものの、442億円で上限まで買い集めるのは難しいと考えられます。
というのも、442億円で5,000万株を買うには、単純計算で1株884円(442億円÷5,000万株)まで下がる必要があるからです。
一方、オリックスの現在株価は1,336円(2020年11月4日時点)。よほどの悪材料が出ない限りは、取得期間に884円まで下がることは考えにくいでしょう。
仮に1,300円で取得できたとすると3,400万株です。今後上昇トレンドになるとすると、3,000万株買い戻せれば十分だと言えるでしょう。
発行済み株式数の約2.4%になると予想
3,000万株が自社株買いの期待値だと考えると、発行済み株式数の2.4%という規模感になります。
公式リリースには約4%と書かれていますが、実情としては2~3%程度となる見込みです。
とはいえ、それでも十分な規模の自社株買いであることには変わりありません。
上限金額まで買い戻さない可能性も
また、過去の実績から、上限まで買い戻さない可能性が高いです。
2019年11月1日~2020年5月8日に行われた7,000万株上限の自社株買いは次のような結果でした。
取得株数:3,406万1,300株(上限7,000万株)
取得額 :約559億円(上限1,000億円)
消却株式数:1,067万4,148株
参考:2020年5月11日「自己株式の取得状況および取得終了ならびに自己株式の消却に関するお知らせ」
結果的として、取得株数・取得額ともに上限の約半分で終了となっています。
2017年に行われた自社株買いでも、上限3,900万株に対して実績2,345万株でした。
今回の自社株買いも上限いっぱいまで買戻す可能性は低く、上限はあくまで目安程度に考えるべきでしょう。
株価への影響を考察
株価の見直しに期待
第2四半期決算が堅調だったこともあり、自社株買い発表後のオリックスは上昇しました。
新型コロナの不透明感から脱しつつありますので、今後の業績改善を見据えた株価見直しが期待されます。
2021年3月期の純利益予想は1,900億円。1株利益は152円となり、PER10倍でも株価は1,520円という計算となります。
発表前から+2%は堅く、+20%の値上がり期待も
決算・自社株買い発表前の株価は1,270円でした。
ここに自社株買い上限である4%を加算した1,321円がとりあえずの目安。+2%である1,295円は堅いでしょう。
発表翌日は+4%を大きく上回る1,391円まで上昇しました。その後は1,350円前後に落ち着きつつあります。
過去の株価推移と、直近の業績から、発表前から+20%(1,524円)も十分あり得る水準です。
過去の自社株買いによる値動き
2019年10月28日発表の自社株買い
2019年に発表された1,000億円の自社株買い以降、3ヶ月間の株価チャートを抜粋しました。
発表翌日は大きく上がり、一旦落ち着いた後に緩やかな上昇トレンドとなっています。
3ヶ月後の株価は発表前から200円(12%)上昇しました。
2016年10月26日発表の自社株買い
こちらはさらに以前、2016年の自社株買い以降のチャートです。同様に発表日から3ヶ月間を抜粋しました。
発表翌日に大きく上がり、しばらく下落した後に上昇トレンドとなっています。
発表から2ヶ月半後には、発表前から400円(26%)の上昇となりました。
発表から数日以内が狙い目
過去の値動きから、自社株買い発表から3〜6日に株価が落ち着くため、買いの狙い目だと言えそうです。
過去2回の自社株買いでは数ヶ月単位で上昇トレンドが続き、10%以上の値上がりを達成しています。
今回も同じ値動きになるとすれば、11月9〜13日当たりが狙い目となりそうです。
オリックスの自社株買いまとめ
自社株買いの詳細をはじめ、今後の株価推移の予想を考えてみました。
自社株買いと同時に発表された第2四半期決算では、2021年3月期の純利益予想1,900億円の見通しが示され、新型コロナによる不透明感は払拭されつつあります。
自社株買いの追い風もあり、今後しばらくは下落リスクが限定的になると考えています。
オリックスは100株保有することで株主優待も受けられ、総合利回りが9%を超える高利回り株です。
まだ保有していない場合は、チャンスを見て買っておきたい銘柄です。