KDDIが2,000億円の自社株買い発表!株価への影響を考察

KDDIによる2,000億円の自社株買い詳細と、株価への影響を考察




管理人

2020年10月30日にリリースされたKDDIの自社株買いについて、株価への影響を中心に考察していきます。

政府による携帯値下げキャンペーンで株価下落の憂いにあっているKDDIですが、第二四半期決算発表と同時に2,000億円の自社株買いを発表し、株価反転の期待が高まっています。

自社株買い期間中は株価下落リスクが低くなる一方、上昇期待の買いが入りやすくなるため、株価上昇の可能性が高くなるのです。

ただし、今回の自社株買いはトヨタ自動車との資本業務提携がセット。株を新規発行する第三者割当てが行われるため、自社株買いの効果が若干薄れる点には注意が必要です。

本記事では、KDDIが2020年10月30日に発表した2,000億円の自社株買いについて詳細を解説し、株価への影響を考察していきます。

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KDDIの自社株買い詳細

まず、今回発表された自社株買いの概要をまとめました。KDDIの公式リリースはこちらをご覧ください。

  1. 取得株数:8,400万株(上限)
  2. 取得総額:2,000億円(上限)
  3. 取得期間:2020年11月2日〜2021年5月31日
  4. 目的:株主還元に加え、資本業務提携を行うトヨタ自動車への割当て株の確保
KDDIの公式リリース

発行済株式数の3.65%を取得予定

現在の発行済株式数は約23億418万株ですが、今回の自社株買いでは8,400万株を買い付ける計画で、発行済株式数の3.65%に相当します。

2020年9月末時点(2Q)で約23億418万株が発行されている

単純に1株あたりの価値が3.65%増加しますので、株価も3.65%上昇するのが妥当となります。

現在のKDDIの株価が2,800円前後であることから、単純に考えると株価へのインパクトは+100円ほどです。

ただし、トヨタ自動車への新規株発行が同時に行われるため、株価上昇は若干抑えられます。詳しくは下の項目で解説しています。

取得期間はおよそ7ヶ月

自社株買いの実施期間は2020年11月2日〜2021年5月31日の約7ヶ月が予定されています。

一般の投資家と同じように東証の市場買い付けで行われることから、株価の下支えとなり、この期間は株価が下がりにくい展開となるでしょう。

2,000億円は異例の規模

KDDIは年間1,000〜1,500億円程度の自社株買いを行う場合が多く、今回の2,000億円というのは異例の大きさです。

理由は、トヨタ自動車との資本業務提携です。

資本業務提携の内容については後述しますが、2,000億円のうち、およそ522億円はトヨタ自動車に割当てるための株取得に使われます。

つまり、522億円分の株については消却されないため、株主還元としての自社株買い額は1,478億円ということになります。

実際に自社株買いされる株数は低い

取得上限は株価2,381円以下の前提

2,000億円で8,400万株を取得しようとすると、株価は2,381円以下でなければ資金が足りません

現在のKDDIの株価は2,792円ですので、かなり安い株価が前提となっています。

そこまで下落することは考えにくく、実際には8,400万株を取得するのは難しいでしょう。

実際には7,000万株程度

実際にどれだけの株数を取得できるか、株価で場合分けして計算してみました。

株価取得可能株数発行済株式数に対する割合
2,700円7,407万株3.22%
3,000円6,667万株2.89%
3,300円6,061万株2.63%

今後の株価次第ですが、実際に取得できるのは7,000万株前後となる可能性が高いでしょう。

その場合、発行済株式数に対しては約3%となります。

トヨタ自動車との資本業務提携の詳細

KDDIの自社株買いの背景には、トヨタ自動車との資本業務提携があります。

提携について、自社株買いと株価に影響するところを見ていきましょう。

トヨタ自動車との資本業務提携概要
  1. トヨタ自動車にKDDI株1,830万1,600株を割り当て
  2. 1株2,853円で総額522億円を調達(諸費用は1,700万円)
  3. 増資分は自社株買いで補うため希薄化の懸念は無し
  4. 資本業務提携分を除いた1,478億円が実質的な自社株買い額となる

希薄化を回避するための自社株買い

今回の自社株買いは、トヨタ自動車への第三者割当てによる希薄化を回避する意味合いが含まれています。

単に株を発行すれば、それは「増資」となり1株あたりの価値が希薄化し、株価が下落します。

既存株主からの反発が発生するので、企業側としても避けたいのです。

1,830万1,600株を新規発行する

トヨタ自動車との資本業務提携では1,830万1,600株を新規発行し、トヨタ自動車に割り当てます。

これは発行済株式の0.79%にあたり、その分希薄化されてしまいますが、自社株買いによっておよそ3%濃縮されますので、全体としては希薄化の懸念はありません

仮にKDDIの自社株買いが1,830万1,600株に届かなかった場合、それに応じて発行株数が減らされることになっています。

522億円を調達

トヨタ自動車には1株2,853円で株を割り当て、総額522億円を調達します。

とは言え、結果的には自社株買いによる株を割り当てることと同じです。KDDIにとっては資金調達という側面より、トヨタ自動車との関係を深める意味合いが強い取引と言えます。

自社株買いによる株価への影響

今回の自社株買いが株価に与える影響について、具体的な株価で考察していきます。

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実質的な自社株買い総額は1,478億円

522億円はトヨタ自動車からの払い込みで賄われますので、KDDIの自社株買いの実質総額は、差し引き1,478億円となります。

1,478億円の資金で買い戻される株数を予想すると、およそ5,200万株となり、発行済株式数に占める割合は2.26%です。

株価は2,855円が目標

自社株買い発表前は株価2,792円でしたので、そこに濃縮化予定の2.26%を加算し、2,855円が一旦の目安になるでしょう。

これでも過去のKDDIの株価からは安値水準です。

また、トヨタ自動車への割当て額である2,853円はほぼ鉄壁ラインと考えています。

というのも、KDDIは1株あたり2,853円を受け取りますので、2,853円以下で株を買い戻せることは得でしかなく、積極的に買いを入れてくる可能性が高いのです。

そのあたりは株式市場も理解しているため、自社株買い期間中は2,853円を割る可能性は低いと考えられます。

株価上昇トレンドが続き、3,000円超えか

自社株買いは需給に直接影響するため、株価上昇期待も追い風となり、上昇トレンドとなる場合が多いでしょう。

また、株価が下がればKDDIの買いが入るため、自社株買い期間中は下落リスクが低くなるという側面もあります。

定位置である3,000円は回復するのではないでしょうか。

KDDIの自社株買いまとめ

KDDIの2,000億円の自社株買いについて、トヨタ自動車との資本業務提携を絡めて解説しました。

株の買い戻しと新規発行が同時に行われるため少々ややこしくなっていますが、結果的には2.26%の株式価値向上となるため、大きな好材料です。

ただし、株価が上がりすぎると買い戻しが進まず、トヨタ自動車との資本業務提携に支障が出ることも考えられます。既存株主は今まで以上に株価動向を注視する必要があるでしょう。