新型コロナで一躍脚光を浴びたユニチャーム。優れた技術で高品質の衛生用品を製造し、感染予防の意識が高まっている今、利益を急激に伸ばしています。
しかし、現在の好調は一時的かもしれません。コロナ後に業績が元に戻ってしまえば、株価も以前の水準まで下落してしまい、今買った投資家は損をする恐れがあります。
果たして、ユニチャームの株価上昇は一時的なものなのでしょうか。あるいは、このまま業績を拡大して株価上昇が続くのでしょうか。
本記事では、ユニチャームの10年分の業績予想を作成し、2030年までの株価を大胆予想したいと思います。
目次
結論:2021年〜2030年の予想株価
さっそくですが、本記事の結論である予想株価をまとめました。
2021年・2023年・2025年・2030年の4つのタイミングで予想しています。
- 2021年予想株価=3,700〜4,400円
- 2023年予想株価=5,300円
- 2025年予想株価=7,200円
- 2030年予想株価=10,000円
予想株価の計算は、各年度の業績予想を出した上で、PER倍率法によって行なっています。
PER倍率法とは?
PER×EPS=株価であることから、同じような事業を営む企業のPERには相当程度の相関性が見られるため、類似企業のPERの平均値にEPSを乗じることで株価を推定することが可能であり、これをPER倍率法という。
引用:経営ナレッジ「PER倍率法」
適用するPER倍率は、ユニチャームの過去の傾向から、30〜35倍を基本としています。
ユニチャームのPERは過去5年間、30〜35倍で安定して推移してきていて、今後もこの傾向が続くと予想しています。
ただし、2025年は節目である売上高1兆円を超えると予想し、強気のPER40倍を適用しました。
肝となる10年分の業績予想は、ユニチャームが発表している中・長期業績目標から算出しています。
したがって、本記事の予想は、あくまで「業績目標を達成したら」という前提となりますが、一つの目安として参考にしていただければと思っています。
株価予想の根拠、ユニチャームの業績予想
2021~2030年度の業績予想詳細
さっそくですが、株価予想の肝となる、ユニチャームの業績予想10年分を見てみましょう。
予想の根拠は、ユニチャームが発表している中期経営計画です。2023年・2030年の業績目標が示されていますので、これを達成する前提で予想しています。
決算年度 | 売上高 | コア営業利益 | 純利益 |
2020年 | 7275億円 | 1147億円 | 523億円 |
2021年 | 7700億円 | 1190億円 | 750億円 |
2022年 | 8290億円 | 1280億円 | 810億円 |
2023年 | 8880億円 | 1380億円 | 900億円 |
2024年 | 9500億円 | 1600億円 | 1000億円 |
2025年 | 1兆100億円 | 1717億円 | 1080億円 |
2026年 | 1兆800億円 | 1836億円 | 1180億円 |
2027年 | 1兆1600億円 | 1972億円 | 1280億円 |
2028年 | 1兆2400億円 | 2108億円 | 1400億円 |
2029年 | 1兆3200億円 | 2244億円 | 1500億円 |
2030年 | 1兆4000億円 | 2380億円 | 1660億円 |
2020年度は実績値、2021年度はユニチャームの業績予想で記載しています。
業績予想の根拠「中・長期経営計画」
上の業績予想は、ユニチャームが発表している中期経営計画を元にしています。
こちらが実際の発表内容です(第11次中期経営計画(FY2021~FY2023)より)。
中期目標として2023年の業績目標が示され、さらに長期目標として2030年の業績目標が示されています。
これによると、2023年の業績目標は売上高8,880億円、コア営業利益率15.5%、ROE(自己資本利益率)15.0%となっています。
さらに、2030年の業績目標は売上高1兆4,000億円、コア営業利益率17.0%、ROE 17.0%となっています。
売上高は2020年度比でおよそ2倍、利益率についても過去最高水準を目指すという野心的な目標設定です。
これを達成するため、年平均成長率(CAGR)+6.8~6.9%を目指します。
これらの目標を元にして、上の業績予想を作成しました。
【詳細解説】2021年〜2030年の予想株価
記事最初で予想株価だけ紹介しましたが、ここからは予想の根拠も含めて詳細に解説していきます。
2021年末の株価予想は「3,700〜4,400円」
まずは2021年度の業績予想から、2021年末の株価を予想してみましょう。
予想の手がかりとするのはPER(株価収益率)です。
株価が1株当たり純利益(EPS:Earnings Per Share)の何倍まで買われているか、すなわち1株当たり純利益の何倍の値段が付けられているかを見る投資尺度です。現在の株価が企業の利益水準に対して割高か割安かを判断する目安として利用されます。
引用:SMBC日興証券 初めてでもわかりやすい用語集
ユニチャームのPERは、過去5年間、30~35倍で推移してきました。
この傾向が短期的に変化することはないと思われますので、2021年度の予想純利益から、株価のレンジを予想することが可能です。
さっそく計算してみましょう。
予想株価(PER30倍の場合)=125円(1株あたり純利益)×30倍=3,750円
予想株価(PER35倍の場合)=125円(1株あたり純利益)×35倍=4,375円
PER30倍とした場合は3,750円、PER35倍とした場合は4,375円という結果になりました。
したがって、2021年度の予想株価としては、ざっくり3,700~4,400円としました。
株価チャートに照らすと次のようになります。直近の値上がりスピードからを鑑みると若干弱気予想ですが、2019年以前からの上昇スピードを考えれば妥当な水準です。
2023年の株価予想は「5,300円」
2年後の2023年はどうでしょうか。
2023年は売上高8,880億円、コア営業利益1,380億円が中期経営計画の目標です。
純利益は特別な要因がなければ900億円程度になるでしょう。その場合、EPS(1株あたり純利益)は151円です。
この業績ならPERは比較的強気の35倍を適用できそうです。したがって、以下の計算で2023年の予想株価を算出できます。
2023年予想株価=151円(1株あたり純利益)×35倍=5,285円
予想株価としては切り上げて5,300円としました。
2021年から2年間で20%上昇するイメージで、感覚的にも妥当ではないでしょうか。
2025年の株価予想は「7,200円以上」
節目となる2025年は株価7,200円を予想しました。
順調に行けば、この年に売上高1兆円を突破すると予想され、株価に弾みがつくでしょう。PERは強気の40倍を想定し、以下の通り株価を計算しました。
2025年株価予想=180円(1株あたり純利益)×40倍=7,200円
ただし、2025年までには自社株買いも相当進んでいることでしょう。同じ純利益でも、株数が減ることで1株あたり純利益が高まりますので、株価にもプラスに作用します。
したがって、2025年の予想株価は「7,200円以上」としました。
2030年の株価予想は「10,000円」
ユニチャームの長期業績目標として、売上高1.4兆円、ROE 17%が掲げられています。
その業績目標を達成することで、純利益は1,660億円、1株あたり純利益は280円まで拡大すると予想されます。
とはいえ、今から10年後となると不確定要素が大きく、強気な予想は立てづらいところがあります。PERは35倍程度と設定し、予想株価を算出したいと思います。
2030年予想株価=280円(1株あたり純利益)×35倍=9,800円
予想株価としてはキリよく10,000円としました。
現在株価(4,000円前後)からおよそ2倍という水準ですが、売上高もおよそ2倍となりますので、十分妥当な予想株価だと考えています。
むしろ、成長性から鑑みて、10,000円でも弱気な予想かもしれません。
ユニチャームに長期投資するなら株価5桁という目線は持っていて良いでしょう。
この予想は2030年 売上高1.4兆円という目標を達成することを前提としています。そもそも、この目標を達成できそうなのかを逐次確認し、必要に応じて予想を修正しようと思っています。
まとめ
ユニチャームの予想株価について、10年分の業績予想をもとに計算してみました。
「2030年に株価1万円」というと夢物語のように聞こえてしまいますが、ユニチャームが発表している業績目標を達成できれば、十分実現可能です。
過去60年間成長し続けてきた実績を考えれば、あと10年成長し続けることを疑う理由はないように思います。
デジタル化をはじめとして変化の大きい時代となっていますが、技術で良い製品を作るというのは一朝一夕にできることではありません。
高品質な衛生用品を実直に製造しているユニチャームが今後もシェアを伸ばしていく可能性は十分に高いと考えています。
とはいえ、一時的に株価が行き過ぎることには注意が必要です。買うタイミングを間違えないためにも、しっかりと自分の予想を持って投資に向き合うのが大事だと思い、私の予想を記事としてまとめました。本記事が少しでも投資の参考になれば幸いです。