日本ハムの株価はここ2年ほどで大きく下落し、割安で投資できるチャンスが訪れています。
現在のPBRは0.75倍と過去最低水準です。
また、2030年までの業績目標から、EPS(1株利益)が700円近くまで伸びると期待できます。
もしこの目標を達成すれば、株価10,000円突破もあり得るでしょう。
本記事では、日本ハムが発表している業績目標から、次の予想株価を計算しました。
この予想の具体的根拠について解説していきます。
日本ハムの特徴
食肉事業でトップシェア
日本ハムは食肉事業で日本トップシェアを誇ります。
原料となる肉は国内外から仕入れるほか、近年は飼育から加工・販売まで一貫して手掛け、品質を確保しながら利益率を向上させています。
また、大豆などから作る代替肉も積極的に開発しており、環境の面からも注目の銘柄です。
ディフェンシブ銘柄
銘柄としてはディフェンシブ銘柄に属します。
食品は生活費必需品ですので、業績が景気に左右されにくく、景気後退の局面でも株価が下がりにくい特徴があります。
配当もそこそこ高いため、安定して長期運用したい人向けだと言えるでしょう。
ちなみに、ハム等がもらえる株主優待も実施しています。
株価指標は基本的に高め
業績と株価が安定しているため、株価指標は基本的に高めです。
だいたいPER20倍くらいが定位置となっています。
ただ、新型コロナ以降は原材料の高騰などで不確定要素が多くなり、PERは13倍前後で低迷しています。
逆に言えば、株価の上昇余地が多く残されているとも言えます。
これまでの株価推移と株価指標
過去10年間の株価推移
まず、過去10年間の株価を振り返ります。
2013年以前の株価はおよそ2,000~3,000円で推移していました。
2014年あたりからアベノミクスに乗って上昇し、2017年には7,000円まで上昇しています。
しかし、その後は業績悪化とともに下落し、近年は3,000~5,000円のレンジ相場となっています。
現在の株価指標
現時点の日本ハムの株価指標は、予想PERが14.3倍、実績PBRが0.75倍です。
東証プライム市場の平均PERが14倍前後なので、日本ハムは平均的なPERだと言えます。
ただ、実績PBRの0.75倍は市場平均(1.2倍)よりかなり割安です。
今後、業績が改善に向かうことを踏まえると、今の株価指標は割安と評価できます。
過去5年間のPER推移
過去の株価指標を遡ってみてみましょう。
まずPER推移ですが、過去5年間の平均は18倍程度となっています。
2019~2020年にかけては20倍超えで推移していました。
全体的に見て、現在のPERは低位にあります。
過去5年間のPBR推移
次にPBRの推移です。
過去5年間の平均はおよそ1倍で、コロナショックの際に一時的に0.7倍まで落ちたものの、その後は1倍に復調しています。
現在は0.77倍ですので、水準としてはコロナショックの急落時並みの割安感です。
2030年までの業績予想
長期ビジョン「Vision2030」の内容
日本ハムは2030年までの業績目標を「Vision2030」として発表しています。
具体的な数値は3年ごとの中期経営計画で決められており、それらをまとめたのが次の表です。
2024年3月期(計画) | 2027年3月期(計画) | 2030年3月期(計画) | |
---|---|---|---|
売上高 | 12,200億円 | 13,200億円 | (無し) |
事業利益 | 610億円 | 790億円 | (無し) |
ROE(親会社の所有者に帰属する当期利益) | 8.0% | 9.0%以上 | 10.0%以上 |
売上高は2024年で1兆2,200億円、2027年で1兆3,200億円に拡大する計画です。
事業利益については、610億円、790億円と拡大する計画です。
ただ、純利益等は記載されておらず、2030年については利益率(ROE)しか記載されていません。
そこで、2024年・2027年・2030年の業績を予想しました。
2024年3月期の業績予想
Vision2030によると、2024年3月期の目標は売上1兆2,200億円、事業利益610億円です。
そこから、純利益が427億円、1株利益が417円になると予想しました。
事業利益→純利益 にある主な項目は法人税です。
なので、事業利益から30%ディスカウントして純利益を計算しています。
2027年3月期の業績予想
同様に、2027年3月期は純利益553億円、1株利益が540億円という予想となりました。
2030年3月期の業績予想
2030年3月期はベースとなる業績目標がなく、ROE(自己資本利益率)のみ設定されています。
そこで、2030年時点の自己資本を予想し、純利益を計算しました。
2030年時点の自己資本は7,000億円まで増加すると予想し、純利益予想を700億円としています。
今後の予想株価
2024年の予想株価は「5,400円」
上の業績予想から予想株価を計算していきます。
適用するPERですが、2024年3月期はまだ割安水準にあると想定し、PER13倍としています。
予想株価=417円×13倍=5,421円
2027年の予想株価は「8,100円」
2027年にはPERが高まると予想し、PER15倍を適用しました。
予想株価は8,100円で、上場来高値を更新すると予想しています。
予想株価=540円×15倍=8,100円
日本ハムの上場来高値は2017年6月の7,320円です。
2030年の予想株価は「10,260円」
2030年の予想株価もPER15倍として計算しました。
いよいよ、大台の1万円台に乗ってきます。
予想株価=684円×15倍=10,260円
2022年時点では3,000円台なので、8年ほどで株価が3倍になる計算です。
日本ハムは買い時?
売却益を得られる可能性大
業績目標が達成される前提なら、日本ハムは間違いなく買い時と言えます。
2024年にはEPSが417円になるので、弱気にPER10倍としても、株価は4,170円。
現在株価(3,635円)を15%ほど上回ります。
つまり、2年未満の保有で15%以上の売却益を得られる可能性が高いでしょう。
2030年に至ってはEPS684円なので、株価2倍は固いです。
業績目標通りに増益するかが注目ポイント
問題は業績目標が達成されるかどうかです。
今後、業績目標通りに増益していくかが注目ポイントとなります。
とはいえ、現状でも割安なので、配当+優待で4%近い利回りを享受するだけでも十分です。
つまり、株価が上がらくてもともと、上がれば儲けもの、程度のスタンスで考えれば、日本ハムは買い時だと言えるでしょう。
まとめ
日本ハムの予想株価について考察しました。
ディフェンシブ銘柄という特性上、値動きは小さく、人によっては物足りないかもしれません。
一方、じっくり配当+優待を獲得しつつ、長期で値上がりを狙うというスタンスの人には向いています。
2030年には株価10,000円を突破するという期待もあるので、NISA口座で買って放置するのが良さそうです。