ノーコード関連銘柄として注目されたヤプリ(4168)ですが、上場から2年も経たずに1,300円まで下落してしまいました。
2021年1月の7,690円からの下落率は−80%を超えです。
また、公募価格が3,160円だったことを考えると、ヤプリに投資したほぼ全員が損失を被っていると考えて良いでしょう。
なぜ、上場時に高評価を受けたヤプリがここまで暴落してしまったのでしょうか。
本記事では、ヤプリが暴落した3つの理由について解説します。
目次
ヤプリの上場以来の値動き
公募価格3,160円で上場
ヤプリは2020年12月22日に公募価格3,160円で上場しました。
ヤプリの特徴は、プログラミング不要でスマートフォンアプリが開発できる「Yappli」というサービスです。
いわゆる”ノーコード”(=プログラムコードが不要)と呼ばれるカテゴリで、近年、株式テーマとして注目されています。
注目テーマである上、売上が年間+70%も伸びていたことから、多くの投資家に注目されて人気化しました。
公募価格が3,160円だったのに対し、初値は5,240円まで上昇しています。
上場直後は7,000円台に急騰
上場直後は買いが買いを呼ぶ展開となり、株価は順調に上昇しました。
さらに、東証マザーズ全体が好調だったことも株価上昇の追い風となり、上場から一ヶ月後には7,690円と、公募価格の2倍以上の株価に達しています。
しかし、売上20億円ほどの企業が時価総額840億円というのは、あまりに割高だったようです。
そのため、天井をつけた後は急落に転じています。

上下しつつ1,000円台まで下落
最初の急騰以降は上値を切り下げる展開が続いています。
下落トレンドはほぼ2年続いており、2022年9月現在は1,000円台前半まで落ち込んでしまいました。
公募価格が3,160円でしたので、完全に公募割れの株価です。
なぜこれほどまでに急落してしまったのでしょうか。
理由① 高すぎたIPO価格
上場時のPSRは20倍超え
ヤプリが暴落した最大の理由は、IPO時の公募価格が高すぎた事だと考えられます。
ヤプリに対する上場前の評価は時価総額345.2億円でした。
一方、上場直前の売上高は17.2億円で、PSR(株価売上高倍率)を計算すると20倍超えとなります。
PSR20倍超えは一般的に割高と言われる水準です。
PSRとは?
Price to Sales Ratio(株価売上高倍率)の略称。時価総額を年間売上高で割った数値で、利益が出ていない赤字企業を評価するのに使用される。
また、最高値付近でのPSRは約50倍にも上ります。
そのため、買い一巡後は株価が保てなくなり、急落してしまったようです。
他銘柄と比べても割高
ちなみに、他のグロース市場の銘柄のPSRを調べてみました。
主要7銘柄を調べたところ、PSRが20倍を超えている銘柄は稀のようです。
下表に調べた銘柄とPSR倍率をまとめました。
銘柄 | PSR |
---|---|
ビジョナル | 6.3倍 |
フリー | 17.1倍 |
JTOWER | 30.0倍 |
そーせい | 6.9倍 |
弁護士ドットコム | 1.5倍 |
AppierGroup | 8.1倍 |
FRONTEO | 8.5倍 |
唯一、JTOWERは30倍に達していますが、これには特殊な事情があります。
やはり、上場時のヤプリは割高すぎたと言えるでしょう。
理由② グロース市場全体の下落
グロース市場全体が落ち込んだことも、ヤプリが暴落した要因です。
以下のチャートはヤプリの値動きと東証マザーズ指数の値動きを重ねたものです。
このチャートから、2つの値動きは明らかに連動していることがわかります。

したがって、ヤプリの暴落は個別要因だけではなく、市場全体の下落に引きずられたことも一因のようです。
ただし、2022年7月以降は指数が持ち直している一方、ヤプリは下落が続いています。
これは、次に解説する宣伝広告費の増加が原因だと考えられます。
理由③ 宣伝広告費の増加
テレビCMで赤字拡大
ヤプリは広告宣伝費の増加により赤字が拡大しています。
特に、テレビCMが大きな負担になっているようです。
普段テレビを見る人であれば、一度くらい見たことがあるかもしれません。
広告宣伝費は会社側がコントロールしている支出ですので、これが原因の赤字は悪いものではありません。
しかし、短期筋の投資家は直近の業績を重視するため、赤字の拡大は悪材料です。
そのため、売りが優勢となり下落トレンドが続いています。
広告宣伝費は3〜5億円の増加
2021年度の広告宣伝費はおよそ11億円でしたが、2022年度は14〜16億円に増加する見込みです。
つまり、前年度から3〜5億円の損益悪化となります。
ヤプリの売上高は40億円前後なので、3〜5億円の損益悪化は業績に大きく影響します。

赤字額は50%増加
実際、2022年度の上半期は赤字が拡大してしまいました。
1〜6月の赤字額は6.77億円の赤字で、前年同期の4.46億円から50%も増加しています。
ここから黒字転換はまず無理でしょう。
黒字転換の期待は来期以降に持ち越しとなりそうです。
ただし、広告宣伝費は後で売上増加をもたらします。
そのため、長期的には株価上昇の原動力になるかもしれません。
まとめ
ヤプリが暴落した3つの理由について解説しました。
1,000円台まで下落したとはいえ、売上成長は年間+30%以上を維持しており、順調です。
赤字拡大で一時的に急落しましたが、今後再評価される可能性が高いとみています。
株価が上昇に向かえば2〜3倍の上昇も期待できるかもしれません。
買いのタイミングを逃さず拾いたい銘柄だと考えています。
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