ホンダの株価は今後上昇するか?2025年までの業績予想と予想株価から考察




ホンダ(本田技研工業)は好業績の割に株価が安く、割安株に投資したい人は検討するべき銘柄です。

配当利回りが3.6%と高い上、2025年の業績予想から、株価は4,000~5,000円までの上昇が狙えそうです。

つまり、高配当&株価上昇が狙える銘柄だと考えています。

今の株価が割安である理由はもちろんあるのですが、そのあたりも含めて、今後株価が上昇する可能性を考察していきます。

2022年度上期は増収減益

管理人

まずは直近の状況について解説していきます。

上期の決算内容

2022年11月に発表された上期決算は「増収減益」という内容でした。

売上高は前年比+15.7%と強く、営業利益も+2.5%と健闘しています。

しかし、営業外の損益が悪化し、最終利益は-13.0%という着地でした。

2022年度上期の業績。売上は増加したが最終利益は減益となった。出典:2022年度 第2四半期 決算説明会資料

実質的には増収増益

純利益は減益だったとはいえ、営業利益は増益です。

純利益が減益になった理由は、前年の投資損益などが好調だったためで、本業とは無関係です。

したがって、実質的には増収増益の決算だったと言えます。

また、直近の販売動向を見ると、四輪車・二輪車の販売も徐々に回復してきているようです。

今後、さらなる業績回復に期待しています。

業績予想を上方修正

ホンダは2022年度の1Qと2Qで上方修正を発表しました。

年初の業績予想が売上1兆350億円、営業利益8,100億円だったのに対し、最新の業績予想は売上1兆800億円、営業利益8,700億円まで上昇しています。

業績が上向いた理由は、二輪が販売好調であることと、想定以上の円安です。

上方修正の要因
  1. バイク(二輪)の販売好調・・・台数ベースで前年比+12.6%増加
  2. 円安効果・・・想定レート120円/ドル よりも円安で海外収益が膨張

二輪の販売はインド・タイ・ベトナム向けが急回復しました。

それにより、台数ベースでは前年比+12.6%増加の920万台に達しています。

また、円安も業績の追い風です。

ホンダは想定レートとしては保守的な120円/ドルとしていますが、実際の為替は140円/ドルの推移です。

そのため、120円/ドル前提の業績予想からは上振れしやすくなっています。

さらに、アナリストの業績予想の平均は、ホンダの最新の業績予想よりさらに5%ほど強気予想です。

アナリストの予想通りにいけば、3Q、4Qとさらなる上方修正が期待できそうです。

円安が業績に与える影響

ホンダの為替感応度は?

ホンダは海外販売が多いため、円安が業績の追い風になります。

ただ、1円円安で業績にどの程度影響が出るのでしょうか。

いわゆる「為替感応度」と呼ばれる指標ですが、ホンダは為替感応度を公表していないので、自分で予想するしかありません。

そこで、決算資料から為替感応度を推測してみましょう。

1円の円安で+64億円の増益効果

2022年度上期の決算を見ると、前年度よりも24円/ドルの円安になったことが分かります。

2022年度上期は前期より24円円安だった。出典:2022年度 第2四半期 決算説明会資料

一方、為替影響による営業増益は+1,532億円となったようです。

下図が対前年度の利益増減要因ですが、「為替影響」の項目が+1,532億円と記載されています。

円安により+1,532億円の利益が出た。出典:2022年度 第2四半期 決算説明会資料

したがって、ホンダの為替感応度は、1円の円安でおよそ+64億円の増益になると推測できます。

1円円安での増益効果=1,532億円÷24円=63.8億円

ただし、他の通貨との兼ね合いもあるので、この計算はあくまで目安です。

今後、為替が大きく振れたときにホンダにどの程度影響が出るのか、おおよそ推測することができます。

例えば、現在の140円/ドルから130円/ドルまで円高が進んだ場合、営業利益は-640億円の影響を受けると予想できます。

株価推移とパフォーマンス

管理人

過去の株価推移から、ホンダの株価変動の特徴と、今の位置付けを確認していきます。

短期的には下落気味

ホンダの株価は2022年8月に3,750円まで上昇しましたが、その後、9月末までに3,100円台へ急落しました。

本記事執筆時点(2022年11月30日)では3,300円台で推移しています。

過去半年のチャートでは低位の位置付けです。

ホンダの株価は短期的には下落している。出典:日本経済新聞

日経平均と連動して下落

急落の要因は、主に日経平均の下落です。

以下が同期間の日経平均との比較チャートですが、9月の日経平均の急落に合わせ、ホンダの株価も急落していることが分かります。

ホンダの株価は日経平均との連動性が高い。出典:日本経済新聞

ホンダは日経平均との連動性が高いため、市場全体が落ち込んだタイミングで下落するのは仕方ありません。

一方、まだ買っていない投資家にとっては、特に悪材料無く安く仕入れるチャンスだとも言えます。

10年チャートでは横ばい

過去10年の長期チャートではほぼ横ばいの推移です。

2020年のコロナショックでは一時2,000円台まで下落し、現在は回復の途上にあります。

そのため、長期保有で緩やかな上昇トレンドを捉えることができそうです。

10年の長期チャートでは一定のレンジ内で上下している。出典:日本経済新聞

日経平均よりもパフォーマンスが劣る

一方、日経平均との比較ではパフォーマンスが劣ります。

過去10年間で、日経平均は約1.7倍に上昇しているのに対し、ホンダの株価は+5%に止まります。

ホンダと日経平均の騰落比較。日経平均の方が明らかに勝っている。出典:日本経済新聞

つまり、過去の動きを見る限りは、日経平均のインデックスを買った方が利益になりそう、という結果です。

株価低迷の理由

長引いたリコール問題

ホンダの株価が長期にわたって低迷している要因の1つが、タカタ製エアバッグ問題です。

タカタ製エアバッグは劣化によって突然破裂する欠陥が2005年に発見され、世界的な問題となりました。

タカタのエアバッグ不具合により米国では17名の死者が出た。画像:CNN

特に、ホンダの乗用車では死亡事故も発生しています。

集団訴訟では最終的に6億500万ドルの支払いで和解しましたが、決着がついたのは2017年のことで、10年以上の歳月を要しました。

さらに、リコール発表のたびに株価は何度も押下げられています。

結果、ホンダの株価が低迷する一因となってしまいました。

為替の不安定

ホンダは海外、特に新興国での二輪販売に強みがあります。

しかし、新興国の通貨は不安定で、円換算の収益が安定しません。

例えば、二輪の販売数が最大のインドの通貨「ルピー」の為替推移を見てみましょう。

インドの通貨「ルピー」の為替チャート。短期間で大きく変動していることがわかる。出典:楽天証券

1年で50%以上変動した年も見受けられます。

この為替変動はホンダにとってリスク要因で、投資家にとっては避けたいリスクです。

そのため、ホンダの株価指標は低く見積もられ、株価低迷の一因となっています。

二輪車販売の動向

大幅な増収増益

ここから業績の中身を見ていきましょう。

まず、ホンダの稼ぎ頭である二輪車販売の動向です。

二輪車の販売台数は大幅に伸びた。出典:2022年度 第2四半期 決算説明会資料

二輪事業の販売台数は2022年度上期で920万台に達しました。

前年同期が817万台でしたので、およそ+100万台、比率にして12.6%増加した計算です。

売上ベースでは前年同期比+38%の1兆4,126億円になりました。

また、営業利益ベースでは前年同期比+51.7%の2,247億円になりました。

2021年度上期2022年度上期
販売台数817万台920万台(+12.6%)
売上1兆237億円1兆4,126億円(+38%)
営業利益1,481億円2,247億円(+51.7%)

二輪が好調な理由

販売台数の内訳では、インド・ベトナム・タイ向けが大きく改善しています。

特にインド・ベトナム・タイでの販売が好調。出典:2022年度 第2四半期 決算説明会資料

特に、インドは世界一のバイク需要を誇る国です。

そこで販売台数を伸ばしているため、今後の業績拡大にも期待が持てます。

四輪車販売の動向

大幅な減収減益

四輪事業では販売台数が冴えません。

前年同期は191万台だったのに対し、2022年度上期は178万台に止まります。

四輪車は単価が高く、販売台数の減少は痛手です。

四輪車の出荷台数は減少している。出典:2022年度 第2四半期 決算説明会資料

その反面、売上は大幅に伸びています。

2022年度上期の売上は4兆9,201億円で、前年同期比で+13.5%でした。

売上が伸びた理由は、原材料価格の上昇を価格転嫁したことと、円安による円換算価格の上昇です。

とはいえ、さすがに利益面では苦しい状況です。

営業利益は前年同期比-45.7%の635億円に沈みました。

2021年度上期2022年度上期
販売台数191万台178万台(-6.8%)
売上4兆3,352億円4兆9,201億円(+13.5%)
営業利益1,171億円635億円(-45.7%)

販売台数減少の理由

販売数が減少した理由は、半導体の供給不足です。

前年度は在庫があったため販売数を維持できましたが、2022年度はいよいよ在庫も不足し、販売数が減少しました。

特に厳しいのが米国です。

2022年度上期の販売台数は46.2万台でしたが、前年同期は83.2万台でしたので、およそ半数にまで落ち込んでいます。

今後は半導体の供給不足が解消し、生産数・販売台数ともに正常化する見通しとなっています。

配当利回りと、今後の配当予想

配当利回りは3.6%の高配当

本記事執筆時点(2022年11月30日)での配当利回りは3.6%となっています。

ホンダの配当利回り=120円(1株配当)÷3,300円(株価)≒3.6%

東証プライムの平均利回りが2.3%程度なので、比較的高配当の部類です。

また、同業のトヨタ(7203)や日産自動車(7201)よりも高配当なので、自動車銘柄で配当を取りたい場合はホンダが有力な選択肢になります。

過去10年間で徐々に増配

ホンダの配当は基本的に増配傾向です。

2013年は76円でしたが、2022年までに120円に増加しています。

毎年少しずつ増配しているため、今後も増配されると期待して良いでしょう。

ホンダの配当は年々増配されている。

減配の可能性は?

ホンダの業績を見るに、減配の可能性は低いです。

2021年度の配当が120円だったのに対し、1株利益は411円でした。

したがって、配当性向は29%です。

配当性向はかなり余裕があるため、一時的な業績悪化で減配される可能性は低いでしょう。

2020年度は減配されてしまいましたが、その後の増配で減配分を取り返しました。

今後の配当見通し

今後の配当は増配が続く見通しです。

アナリストのコンセンサス予想によると、2025年3月期までの配当は次のように予想されています。

年度1株利益配当予想
2021年度(実)411円120円
2022年度433円129円
2023年度517円148円
2024年度550円160円

1株利益が年々増加し、それに従って配当も伸びる予想です。

3年後に配当が160円となれば、現在株価(3,300円、2022年11月30日時点)で買った投資家は4.8%もの高利回りを享受できます。

EVへの投資が影響する可能性も

ただし、業績が伸びても増配されない可能性もあります。

というのも、ホンダは四輪車・二輪車ともに電動化を目指しており、それに莫大な投資が必要だからです。

最近だと、韓国のLGと提携し、EV用電池工場に6,000億円を投資することを決めました。

これは、ホンダの1年間の純利益に匹敵する額です。

そのための投資資金が必要なため、業績の伸びに対して増配が抑えられる可能性があります。

自社株買いの状況と見通し

過去5年間の自社株買い履歴

ホンダはほぼ毎年自社株買いを発表しています。

過去の自社株買い履歴を見てみましょう。

発表日金額比率
2022年8月10日1,000億円(上限3200万株)1.9%
2021年8月4日700億円(上限1800万株)1.0%
2019年11月8日1,000億円(上限3300万株)1.9%
2018年4月27日700億円(上限1800万株)1.0%

2020年はコロナショックで先行きが不透明だったため、自社株買いは見送られています。

1,000億円の自社株買いを実施中

直近では2022年8月10日に1,000億円の自社株買いを発表しました。

10月末時点の進捗は530億円で、1,533万株が取得されています。

発表から3ヶ月ほどで設定額の半分を消化し、積極的に買っていることが分かります。

出典:2022年度 第2四半期 決算説明会資料

自社株買いの見通し

順調にいけば、今後も毎年自社株買いが行われるでしょう。

過去の設定額は700億円~1,000億円なので、今後もその範囲で設定されると予想できます。

ただし、配当と同様に、EVへの投資があるため自社株買いも絞られるかもしれません。

また、株価が十分上昇すれば、自社株買いも減ってくるでしょう。

2025年までの業績予想

業績予想一覧

今後3年間の業績予想を表にまとめました。

決算期売上営業利益1株利益
2022/03(実)14兆5,527億円8,712億円411円
2023/0317兆2,188億円9,324億円443.5円
2024/0319兆1,410億円1兆719億円517.2円
2025/0319兆9,380億円1兆1,432億円550.5円

売上、利益ともに右肩上がりの予想となっています。

直近の業績では1株利益が411円でしたが、2025年3月期(2024年度)には550円まで増加する見通しです。

1株利益の上昇率は34%ですので、相応の株価上昇が期待できます。

業績悪化のリスク

ただし、ホンダは複数のリスク要因を抱えています。

まず、新興国通貨が急落するリスクです。

現地通貨が急落すれば、それだけ売上と利益は目減りするため、業績への影響は甚大です。

また、世界景気が悪化して販売数が減少する恐れもあります。

対応するために工場を閉鎖すれば減損が発生し、短期的に巨額赤字に陥る可能性もあります。

実際、日産自動車は同じ理由で巨額赤字に陥りました。

上で紹介したアナリスト予想は重大リスクが顕在化しない前提ですので、過信は禁物です。

今後の株価予想

今の株価は割安

今後の業績はしっかり伸びていく反面、株価は割安な水準にあります。

現在の株価指標は、予想PERが8.0倍、実績PBRが0.54倍です。

どちらの指標も一般的に割安で、かつ、同業他社と比べても割安です。

以下がトヨタ・日産・スズキと比較したグラフですが、予想PERは最も割安で、実績PBRは日産自動車に次いで割安となっています。

同業他社との予想PER比較。ホンダは4社の中で最も割安水準にある。
同業他社との実績PBR比較。日産について2番目に割安水準にある。

上昇の可能性が高いと予想

株価が割安なので、下落リスクは低く、上昇する可能性が高いと言えます。

ホンダへの評価が見直され、予想PERが12倍まで上昇すれば、それだけで株価は50%上昇する計算です。

PBR的にも、株価が1.5倍になっても不思議はありません。

現在株価が3,300円なので、将来の評価次第で株価5,000円が目指せると考えています。

業績予想から計算した株価は4,000円以上

次に、業績予想から将来の株価を考えてみましょう。

2025年3月期までの1株利益は予想されているので、これにPER8倍をかけて、予想株価を算出します。

その結果が次の表です。

決算期1株利益適用PER予想株価
2023/03443.5円8.0倍3,548円
2024/03517.2円8.0倍4,138円
2025/03550.5円8.0倍4,404円

PER8倍は弱気な設定ですが、それでも2024年3月期の業績ベースで株価4,000円を突破します。

2025年3月期なら4,400円に達します。

したがって、現在の3,300円で買った場合、3年間で1,000円くらいの値幅が狙えそうです。

つまり、100株の投資なら+10万円程度の売却益になる計算です。

ホンダは買い時か?

株価指標も割安で、今後の業績予想も良好です。

利回りも高く、長期保有による損失リスクは限定的でしょう。

これらの材料から判断して、ホンダは買い時であると考えています。

仮に業績横ばいで株価が上がらなくても、年3.6%という高利回りを享受できます。

さらに、業績拡大が続いた場合の株価上昇&高配当は魅力的です。

総じて、損失の可能性より利益になる可能性の方が大きいと考えています。