伊藤園第1種優先株式とは?配当利回り3倍、優待2重取りなどのメリットについて解説




伊藤園に投資する場合、伊藤園第1種優先株式の購入を検討するのがおすすめです。

なぜなら、利回りは普通株の3倍、最低投資額は半分以下と非常に買いやすいためです。

議決権が無い代わりにさまざまなメリットがあるため、インカムゲイン(配当・優待)目的の場合は優先株一択だと言えるでしょう。

本記事では、伊藤園第1種優先株式について詳しく解説していきます。

伊藤園第1種優先株式とは?

伊藤園の株式は2種類ある

通常、1つの企業が発行する株は1種類です。

しかし、伊藤園は機能が異なる2種類の株式を発行しています。

1つ目は、普通株の伊藤園(2593)、2つ目は優先株の伊藤園第1種優先株式(25935)です。

伊藤園が発行する2種類の株式
  1. 伊藤園(2593)・・・普通株。一般的な株式同様、配当や議決権などがある。
  2. 伊藤園第1種優先株式(25935)・・・優先株。個人投資家向けとして、議決権が無い代わりに配当が高い。

伊藤園(2593)より配当が高い

伊藤園第1種優先株式は、議決権が無い代わりに、配当を1.25倍出すという特殊な機能を持っています。

例えば、普通株の配当が40円の場合、優先株では50円の配当がもらえます。

個人投資家としては議決権より配当が欲しいですよね。

その実情を汲み取った結果、誕生したのが伊藤園第1種優先株式というわけです。

株価は普通株とは異なる

同じ会社が発行する2つの銘柄ですが、株価は異なります。

基本的に伊藤園第1種優先株式の方が低く、伊藤園(2593)の方が高い、というのが通常です。

下のチャートは過去10年間の株価推移ですが、普通株(青)は大きく上昇しているのに対し、優先株はほとんど上昇していません。

個人目線では、配当の高い優先株の方が株価が高くなるのが自然です。

しかし、株取引の主役である機関投資家は優先株を買わないため、実際には伊藤園(2593)の株価が高いというのが実情です。

配当に関するメリット

5年間の配当実績

上述した通り、伊藤園第1種優先株式では通常の1.25倍の配当がもらえます。

では、実際にいくらの配当がもらえるのでしょうか。

そこで、過去5年間の配当実績をまとめました。

年度普通株式の年間配当優先株式の年間配当
2018年度40円50円
2019年度40円50円
2020年度40円50円
2021年度40円50円
2022年度40円50円

普通株では40円の配当のところ、優先株では50円の配当でした。

2023年度は+12円の配当がもらえる

今期(2023年度)の配当についても確認しておきましょう。

2023年度の普通株の配当は42円に増配される予定です。

それに伴い、優先株の配当は54円に増配されます。

2024年4月期の配当予想。優先株は50円から54円に増配される。出典:2023年4月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

原則としては、42円の1.25倍なので52.5円になるはずです。

ただ、多い分には問題ないので、キリ良く54円としたようです。

配当利回りは普通株の3倍

優先株は配当が高い上、株価は安いです。

そのため、優先株の配当利回りは普通株を大幅に上回ります。

本記事執筆時点(2023年8月18日)での利回りを計算してみると、ちょうど3倍もの開きがありました。

普通株優先株
配当額42円54円
株価4,203円1,798円
配当利回り1.00%3.00%

これだけ利回りに差があるため、基本的には優先株に投資するのが正解だと言えます。

最低でも15円の配当保証

万が一、業績が悪化して普通株が無配になっても、優先株は15円の配当が出ます。

最低の配当が保証されているのは大きなメリットです。

配当情報はどこで確認できる?

第1種優先株式については、伊藤園の決算短信に詳しく記載されています。

IR情報の中の「決算短信・決算説明資料等」の中にありますので、生の情報を確認したい場合は見てみてください。

優先株の情報は決算短信の中に記載されている。
管理人

2023年度4月期の場合は決算短信の4ページ目に優先株の情報が記載されています。

株主優待に関するメリット

普通株と同様に優待がもらえる

株主優待については、普通株も優先株も区別がありません。

伊藤園第1種優先株式を買った場合でも以下の優待がもらえます。

保有株式数優待品
100株以上自社製品詰合せ 1,500円相当
伊藤園通信販売「健康体」のパンフレット(30%割引クーポン付)
1,000株以上自社製品詰合せ 3,000円相当
伊藤園通信販売「健康体」のパンフレット(50%割引クーポン付)

普通株・優先株でそれぞれ優待がもらえる

優待に関する保有数は、普通株・優先株で別々にカウントされます。

つまり、普通株・優先株で2重に優待ももらうことが可能です。

例えば、普通株を100株、優先株を100株保有すれば、1,500円相当の自社製品詰合せを年に2つもらうことができます。

管理人

年に2つもらうことは可能ですが、実用性は低いです。利回りを考えれば優先株だけを買った方が圧倒的に得になります。

優先株のデメリットは?

値動きが乏しい

優先株の最大のデメリットは、値動きがほとんど無いことです。

過去10年の値動き(下図)を見てみると、普通株は約90%上昇しているのに対し、優先株の上昇率は数パーセントに止まります。

過去10年間の普通株と優先株の株価推移。優先株(赤)は値動きが小さいことが分かる。

そのため、今後伊藤園の業績が伸びても、優先株の株価上昇は期待できません。

株価上昇を狙うなら普通株を買うべきだと言えます。

管理人

とはいえ、業績が悪化しても株価が下がりにくいという一面もあるため、安定を求める人にとってはメリットとなります。

議決権が無い

優先株は配当が高い代わりに議決権がありません。

決議に参加したい場合は普通株を買いましょう。

例えば、2022年度の場合は次のような決議内容でした。

2022年度の決議内容
  • 第1号議案 剰余金の処分の件
  • 第2号議案 定款一部変更の件
  • 第3号議案 取締役(監査等委員である取締役を除く。)10名選任の件
  • 第4号議案 監査等委員である取締役4名選任の件
  • 第5号議案 取締役(監査等委員である取締役を除く。)の報酬額設定の件
  • 第6号議案 監査等委員である取締役の報酬額設定の件
  • 第7号議案 取締役兼務執行役員(執行役員を兼務しない取締役、監査等委員である取締役及び社外取締役を除く。)に対する譲渡制限付株式の付与のための報酬決定の件

ただ、数百株程度では結果に影響を与える可能性はほぼゼロです。

なので、個人投資家レベルで言えば、議決権が無いのはほとんどデメリットにはならないと考えています。

まとめ

伊藤園の優先株「伊藤園第1種優先株式」について詳しく解説しました。

議決権が無いというデメリットに対し、配当額は1.25倍、利回りで言えば3倍という大きなメリットがあります。

また、株主優待も普通株と同様にもらうことができます。

業績に対する株価変動も小さいため、安定志向の投資家にとっては魅力的な銘柄だと言えるでしょう。

ただ、決議を通して経営に参加したい、株価上昇を狙いたいという投資家にとっては検討の対象外になるでしょう。

普通株を買うか、優先株を買うかは投資方針によりますが、多くの個人投資家にとっては優先株のメリットが大きいと考えています。