カゴメの株価はなぜ下落した?4つの理由と2,700円で反転上昇を予想する根拠




カゴメはトマト加工品企業として国内最大手ですが、ここ3年間は株価が下落しています。

大きな原因はトマト価格の高騰です。

燃料費が高騰したことでトマト農家が冬場の生産をやめてしまい、供給が減ってしまいました。

また、天候不順により年間を通して生産量が減っています。

その結果、トマト価格が高騰して仕入価格が上昇し、カゴメの業績は悪化しました。

カゴメはトマト関連商品が主力のため、トマトの仕入れ価格が上がると業績が悪化する。

それ以外にも、円高進行が懸念されるなど、株価下落の理由は多岐にわたります。

本記事では、カゴメの株価が下落した理由を4つに分けて解説します。

さらに、今後の株価の見通しについても考察しました。

カゴメの株価が下落した理由まとめ
  1. 2年連続の業績悪化
  2. 原材料価格の高騰
  3. 株価指標が割高
  4. 円高進行の懸念

カゴメの株価推移

新型コロナで4,000円まで上昇

まず、過去5年間のカゴメの株価推移を確認しましょう。

以下が過去5年間の株価チャートです。

カゴメの株価は2020年に大きく上昇し、最高値では4,000円を突破した。

2020年は新型コロナで恩恵を受ける銘柄として株価は上昇しました。

新型コロナをきっかけに健康志向が高まり、主力の野菜ジュースが売れたためです。

業績好調により、株価は4,000円まで上昇しました。

トマト価格高騰で株価下落

業績好調は長くは続かず、その後は3,000円付近で低迷しています。

理由は、ロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー価格が高騰したことです。

エネルギー価格が高騰すると冬のトマト生産が減少し、供給が減ったことでトマト価格は上昇しました。

2020年以降は原油価格が値上がりし、現在の高止まりしている。出典:ChartPark

カゴメはトマトを仕入れる側なので、価格上昇により原価率が上がり、利益が減少します。

その結果、株価は3,000円付近まで下落しました。

「三角保ち合い」を形成

カゴメの株価チャートは三角保ち合いを形成しています。

そのため、今後は上下どちらかに大きく動く可能性が高まっています。

カゴメの株価は3,000円付近に収束しており、今後は上下どちらかに大きく振れる可能性が高い。

三角保ち合いとは?

株価の上昇・下落の値幅が徐々に狭まっていき、チャートの形が三角形のようになる状態を「三角保ち合い」と呼んでいます。三角保ち合いが出来ると、その頂点で株価がどちらかに大きく動く習性があるとされています。

引用:SMBC日興証券

大きく下落する可能性も

株価材料は悪材料が多く、下落トレンドに向かう可能性が高そうです。

まず、株価指標はPERが33倍、PBRが2.26倍と若干割高な水準です。

カゴメの株価指標(株価3,362円、2023年9月8日時点)
  • 予想PER・・・32.8倍
  • 実績PBR・・・2.26倍
  • 配当利回り・・・1.21%

2023年12月期の業績も悪いですが、2024年12月期の業績も低迷する見通しです。

そのため、株価が下落して割高が是正されると予想しています。

さらに、為替が円高に振れれば海外事業が悪化し、株価の下落要因となります。

総じて悪材料が多く、下落トレンドに向かう可能性が高いと予想しています。

管理人

次の章からカゴメの株価が下落した具体的な理由を解説していきます。

下落理由① 2年連続の減益

カゴメの業績推移

カゴメの業績は2年連続の減益になる見通しです。

特に、今期(2023年12月期)は40%を超える減益率となります。

売上は伸びているものの、原価上昇を補うことができませんでした。

以下が過去10年間の業績推移ですが、2022/12と2023/12で連続減益(赤の折れ線グラフ)になっていることが分かります。

カゴメの10年間の業績推移。直近2期は連続減益になる見通しとなっている。

2022年度は-9.4%減益

業績が悪化した最初の年(2022年度)は、-9.4%の減益でした。

売上だけ見れば良好で、値上げによって前年比+8.4%の増収を確保しています。

売上は全セグメントで増収を達成した。出典:2022年12月期決算 説明会資料

しかし、主力事業は軒並み減益となりました。

飲料が-14.4億円、加工食品が-26億円、食品他が-12.5億円の減益となり、全体の事業利益は前年の141.3億円から128億円に悪化しました。

以下が2022年度の事業別利益です。

事業別利益では、飲料・食品他・国内加工食品が大幅に悪化した。出典:2022年12月期決算 説明会資料

2023年度は-42.4%減益

続く2023年度は-42.4%の減益になる見通しです。

ほぼ全ての事業が悪化し、事業利益は前年の128億円から74億円に減少します。

以下が2023年度の事業別利益予想です。

2023年度はほぼ全てのセグメントで大幅な利益悪化となる。出典:2022年12月期決算 説明会資料

2022年度、2023年度と減益に陥り、利益は2021年度から半減します。

その結果、株価は3,000円前後で低迷しています。

下落理由② 原材料価格が高騰

トマト価格が上昇傾向

カゴメはトマトを仕入れ、加工して販売する企業です。

そのため、トマトの仕入れ価格が業績を左右します。

トマトの市場価格は2021年から上昇傾向にあり、仕入れ価格が上昇したことで、利益低下につながってしまいました。

以下のグラフがトマト価格の推移です。

季節によって上下しますが、上値・下値が年々切り上がっている様子が分かります。

トマト価格の全国平均は2021年以降で上昇している。出典:全国のトマト1kg 価格推移

2022年度は-49億円の減益要因に

原価上昇が業績に与えた影響を見てみましょう。

以下のグラフは2022年度の利益増減分析です。

出典:2022年12月期決算 説明会資料

原価変動として-49億円もの影響額となっています。

売上増加で+12億円、原価低減で+14億円を捻出したものの、原価上昇を補いきれませんでした。

2023年度は-134億円もの減益要因

続いて、2023年度の利益増減分析を見てみましょう。

2023年度は値上げにより+96億円の増益を見込みます。

しかし、値上げによって販売数量が減少し、-39億円となります。

さらに、原価上昇分が-134億円にもなりますので、全体としては減益になる見通しです。

2023年度は原価変動によって-134億円もの利益が減少した。出典:2022年12月期決算 説明会資料

累計161億円もの利益喪失

過去2年分の原価上昇をまとめて見てみましょう。

2022年度は原価が35億円上昇し、2023年度はさらに127億円上昇する見込みです。

その結果、2年累計で原価が161億円も上昇します。

2022年と2023年の累計で161億円もの利益が失われた。出典:2022年12月期決算 説明会資料

カゴメの例年の営業利益は140億円ほどなので、本来なら赤字になってもおかしくありません。

値上げや原価低減で黒字を確保していますが、これだけ原価が上がっていれば、減益になるのは仕方ありません。

対策として329品目を値上げ

原価上昇に対応するため、2023年2月1日に値上げを実施しました。

対象は329品目にも及びます。

原価上昇を補うため幅広い製品で値上げを実施した。出典:2022年12月期決算 説明会資料

主力のカゴメトマトケチャップでは、2023年4月から店頭価格が上昇しました。

値上げ前は500gあたり160円前後だったのが、値上げ後は175円まで上がっています。

つまり、値上げ率としては+10%くらいと推定できます。

この価格が定着すれば、利益率の改善が期待できそうです。

トマトケチャップの店頭価格は値上げ前から1割上昇した。出典:2022年12月期決算 説明会資料

下落理由③ 株価指標が割高

予想PERが約50倍

カゴメの株価指標は一般的に見てかなり割高です。

予想PERは32.8倍ですが、東証プライムの平均は15倍ですので、2倍以上も割高です。

実績PBRの2.26倍も決して割安とは言えない水準です。

また、配当利回りは1.21%と低めになっています。

個人が配当目的で買う場合は3%が目安なので、積極的に買う銘柄ではありません。

カゴメの株価指標(株価3,131円、2023年12月12日時点)
  • 予想PER・・・32.8倍
  • 実績PBR・・・2.26倍
  • 配当利回り・・・1.21%

同業他社との比較

株価指標を同業他社と比較してみました。

その結果が次の表です。

会社名予想PER(倍)実績PBR(倍)予想ROE(%)
味の素27.73.6512.4
伊藤園23.62.969.3
キユーピー30.11.323.2
カゴメ32.82.265.1

予想PERはカゴメが最も割高です。

味の素や伊藤園と比べると3~4割ほど高く、カゴメが投資家から敬遠される原因となっています。

実績PBRについてはROEとの兼ね合いなので一概に判断できませんが、おおよそ妥当な線だと考えられます。

理論PBRの計算式ではROEが分子なので、ROEが高いほど高いPBRが妥当になります。

株価指標面では-20%の下落余地

株価指標から考えると、カゴメの株価は20%の下落余地がありそうです。

20%下落すると、PERは他3社と同水準になり、割高感が薄れます。

また、PBRは1倍台に下がり割安感が出てきます。

本記事執筆時点の株価は3,131円なので、ここから2割下落した2,500円くらいが株価指標面での買い目安となるでしょう。

下落理由④ 円高による利益減少を警戒

1円の円安で1.42億円の増益効果

カゴメは円安で恩恵を受ける銘柄です。

これまでは円安により業績悪化が緩和されてきました。

具体的には、ドル円が1円円安になるごとに営業利益が1億4,200万円の増益になります。

2022年以降、ドル円は115円から145円へ30円円安となりましたので、増益効果は40億円になると推測されます。

過去5年間のドル円チャート。2022年から30円の円安進行となっている。出典:日本経済新聞
管理人

1円円安で1億4,200万円の増益というのは、日本経済新聞に記載されている為替感応度を基にしています。

2023年後半から円高を警戒

しかし、2023年後半から円高進行になる懸念があります。

まず、米国での金利上昇局面が終わり、ドル買いに歯止めがかかる可能性が濃厚です。

さらに、日銀がマイナス金利を打ち切るか縮小するという観測もあります。

日米の金利差が縮まれば円高進行になるのは必然です。

円高となればカゴメには減益作用となりますので、カゴメの株は売られ、株価は下落するでしょう。

この懸念があるため、カゴメの株価は先行して売られている一面があります。

今後の予想株価

株価下落がメインシナリオ

短期的にはカゴメの株価は下落すると予想しています。

来期までの業績予想が冴えず、2024年末まで株価指標は割高になる可能性が濃厚です。

さらに、円高進行が業績をさらに押し下げる可能性もあります。

したがって、2025年以降の見通しが立つようになるまでは株価下落が自然な動きです。

下落目途は2,700円

株価がどこまで下がるかですが、2,700円付近に強力なサポートラインがあります。

2,700円付近には価格帯別出来高のボリュームゾーンがあり、この価格帯では売りが減少しやすいです。

実際、2021年末の急落局面では、2,700円で下げ止まった実績もあります。

したがって、下がっても10%ちょっとの損失で済むと予想しています。

ただし、三角保ち合い後の下落は急落しやすいという傾向もあるため、あっさり2,700円を割り込むことも考えておいた方が良いでしょう。

投資家全体では2,700円付近での保有が多く、ここがサポートラインとして機能する。

カゴメは買い時か?

短期的には買い時ではないと考えています。

少なくとも、金利が不安定化しそうな2023年中は避けた方が無難でしょう。

2024年になれば2025年以降の見通しが出てきますので、そこで良好な見通しなら買い場となります。

期待材料としては、エネルギー価格の下落、商品値上げの浸透です。

業界トップの銘柄は簡単に急落しませんので、将来の業績改善を睨みつつ、買い目線で見るのが良いでしょう。

まとめ

カゴメの株価が下落した理由と、今後の株価見通しについて解説しました。

トマト加工食品の国内最大手という優良銘柄ではあるものの、エネルギー価格の高騰や原材料価格の高騰で業績が悪化し、株価が上昇しにくい状況です。

今後は為替という悪材料もあり、多少の下落は覚悟するべき銘柄です。

しかし、長期的には悪材料が解消されるはずです。

利益が回復すれば、日経平均の上昇に出遅れている分、株価の上昇余地も大きくなります。

短期的には弱気ですが、長期的にはやはり魅力的な銘柄だと言えるでしょう。