キーエンスの株式分割はいつ?過去の実績と今後の予想を解説




高い株価で有名なキーエンスですが、株式分割はいつ行われるのでしょうか。

経営陣は株式分割に消極的のようで、具体的な予定は公表されていません。

しかし、2017年以降に2度の分割を実施しており、今後も分割が実施される可能性は高いです。

分割のタイミングとしては以下の3パターンを予想しています。

キーエンスが株式分割を行う予想時期
  1. 新NISA開始のタイミング・・・新NISAの成長投資枠(240万円)収まるよう分割すると可能性
  2. 株価7万円に達したタイミング・・・過去2回の分割は株価7万円超えのタイミングだった
  3. 他の値がさ株が分割したタイミング・・・値がさ株として悪目立ちを避けると予想

本記事では、株式分割の可能性が高まっている背景を解説した上で、今後の分割予想について考察していきます。

【背景】東証による株式分割の要請

投資単位50万円以上の銘柄に要請

2022年10月末、東証は投資単位が50万円以上の銘柄に対し、投資単位の引下げ要請を行いました。

以前から5~50万円の水準が望ましいとしていましたが、個人の投資を活発化するため、改めて要請した形です。

以下が日本取引所グループ(東証証券取引所の運営元)の考え方です。

東証では、個人投資家が投資しやすい環境を整備するために、望ましい投資単位として5万円以上50万円未満という水準を明示しています。

また、上場内国株券の発行者に対して、望ましい投資単位の水準以上(50万円以上)で株式が売買されている場合には、事業年度経過後3か月以内に、5万円以上50万円未満の水準へ移行するための、当該発行者の投資単位の引下げに関する考え方及び方針等を開示するよう義務付けています。

日本取引所グループ「投資単位の引下げ / 株式分割の仕組み・効果

最大20分割の期待

キーエンスの株価は6万円を超えており、1単元を買うのに600万円以上必要です。

東証の要請に従えば、20分割を行い、1単元およそ30万円まで落とすのが妥当です。

20分割となれば、個人投資家からの買いが増加するでしょう。

そのため、キーエンスの株式分割の実施に期待が集まっているのです。

他銘柄は次々と分割

東証の要請後、有名な値がさ株は次々と分割を発表しました。

値がさ株の数が減ったことで、1株6万円を超えるキーエンスは悪目立ちしつつあります。

以下が分割を行った主要銘柄です。

東証の要請以降に株式分割を行った主な値がさ株。出典:日経ビジネス

キーエンスからの分割発表は無し

他銘柄の分割を尻目に、キーエンスからは分割に関する発表はありません。

公式リリースでは次にようなコメントに止まり、株式分割には後ろ向きのようです。

投資単位の引下げにつきましては、その費用対効果、市場の要請、株価・売買動向等を総合的に勘案して対処してまいる所存であります。

引用:キーエンス 適時開示情報等

キーエンスの分割履歴

2度の分割を実施

これまでの株式分割の履歴を見てみましょう。

中途半端な分割(1→1.1など)を除き、近年では2回の分割が実施されています。

分割実施日分割数発行済株式数(分割後)
2017年1月21日1→2212,160株
2019年11月21日1→2224,320株

分割数は限定的

どちらも2分割に止まり、投資単位を大幅に引き下げるには至っていません。

2017年の分割では、株価7万6,000円が3万8,000円に、2019年の分割では、株価7万円が3万5,000円になりました。

分割後でも300万円以上の資金が必要だったため、東証の要請に応えるには不十分だったと言えます。

それでも分割を行ったのは、国内で最も高い株価だと悪目立ちしてしまうからでしょう。

株価7万円を超えると分割する傾向

過去の傾向としては、株価7万円台に乗せた後に分割を実施しています。

そのため、株価7万円を突破すると、分割の可能性が高まると考えられます。

また、他の値嵩株が分割を行うと、キーエンスだけが悪目立ちする格好になります。

他の銘柄の分割にタイミングを合わせる、というパターンもありそうです。

分割の予想時期

予想① 新NISA開始のタイミング

分割を実施する最有力のタイミングは、新NISAのスタートです。

新NISAでは年間240万円まで個別株に投資できます。

新NISAでは、個別株に投資できる「成長投資枠」が240万円ある。出典:日本経済新聞

そこに収まるように分割を行うことで、新NISAで投資してもらえるよう投資単位の引き下げを行うと予想しています。

ただし、値がさ株としてのメリットを残すため、分割後もできるだけ高い株価に設定するでしょう。

株価7万円なら、4分割(1万7,500円)くらいが適当でしょうか。

2023年11月末に分割すれば、2024年1月から新NISAでの株価上昇が狙えます。

予想② 株価7万円に達したタイミング

過去の傾向から言えば、株価7万円を超えたタイミングで分割が実施されています。

分割実施日分割数株価(分割直前)
2017年1月21日1→27万6,000円
2019年11月21日1→27万円

そのため、株価7万円突破後に分割が発表されるかもしれません。

本記事執筆時点(2024年1月26日)の株価は6万6,340円です。

あと5%上昇すれば株価7万円に達しますので、そう遠くはありません。

株価7万円突破なら株式分割の可能性が高まると予想。

予想③ 他の値がさ株が分割したタイミング

他の値がさ株が分割を行えば、キーエンスも分割を実施せざるを得なくなるでしょう。

現在の国内株の株価を上から並べると、1位がSMC、2位がキーエンス、3位がエスケー技研となります。

順位名称株価
1SMC83,310
2キーエンス66,340
3ディスコ41,480
4ファーストリテイリング38,960
5MARUWA29,590
6東京エレクトロン28,655
7SHIFT26,740
8光通信25,795

SMCが分割すると、キーエンスが国内で唯一の6万円前後の銘柄となります。

その場合、投資家からの分割要請も強まりそうです。

そのため、SMCが分割を行ったタイミングに合わせ、キーエンスも分割を発表すると予想しています。

株価2万円前後になると、同価格帯の銘柄が多くなるので、3分割くらい(6万6,340円→2万2,113円)の分割数になりそうです。

分割したくない理由とは?

そもそも、キーエンスはなぜ株式分割を渋るのでしょうか。

その理由を解説します。

理由① 株主数が増え、費用が増える

キーエンスは費用対効果を重視する社風です。

その考えは資本市場に対しても変わらず、株価対策のために無駄なコストは払いたくないと考えています。

一方、東証の要請通りに分割をすると株主数が一気に増えてしまい、書類送付や管理コストの増加につながります。

それを避けるため、あえて高い株価を維持しているのです。

2023年から総会資料の郵送が原則不要となる電子提供制度が始まり、株主総会もオンラインが主流となっています。費用面の問題は今後クリアされていくでしょう。

理由② 資金が潤沢にある

キーエンスは資金を潤沢に持つ企業です。

自己資本比率は94%に達し、有利子負債などにはほとんど頼っていません。

キーエンスのバランスシートの概略図。負債・純資産はほとんどが自己資本で構成されている。

また、現金預金として4,000億円以上の資金を持ちます。

有価証券等の流動資産も含めれば、1兆3,000億円もの金額になります。

そもそも、キーエンスは製造設備を持たないファブレス企業なので、大きな設備投資は不要です。

そのため、資本市場から資金を調達する(つまり増資)必要が無く、敢えて株価対策をする必要が無い、というのが分割を行わない背景です。

理由③ 投機的な取引が増え、株価が不安定になる

株式分割を行うと、個人が取引しやすくなり、信用取引も増加します。

信用取引が増えると、株価が一方向に動きやすくなり、株価が不安定化します。

株価が不安定化するのはキーエンスにとってデメリットしかありません。

逆に言うと、株価の額面を高くしておけば機関投資家がメインの投資家となり、株価が安定するというメリットがあります。

したがって、キーエンスは株式分割をやりたがらないのでしょう。

まとめ

キーエンスの株式分割がいつ実施されるかについて、タイミングの予想を考察しました。

経営陣は分割に後ろ向きのようですが、東証や投資家からの強い要望が出れば、応じざるを得なくなるでしょう。

また、キーエンスは余計なコストや手間を嫌いますので、悪目立ちして叩かれる事態は避けるはずです。

そのため、国内で最も高い銘柄として注目されるようになれば、分割を実施する可能性が高まると考えています。




1件のコメント

7万どころか?10万に、達するかもしれせんね。株式市場で、最高額に、このまま高値に、挑戦も、おもしろいかも。お金持ちしか、株主になれないように。会社が株主を、選ぶのも、おもしろいかも知れない。株主総会も、招待で、豪華な株主総会が、開かれるかも知れない。株主も満足、配当も増やすと、株主は、変わらない。変な株主もいなくなるし、最高ですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です