スノーピークの株価は今後どうなる?2024年の予想株価「4,500円」の根拠




前回の記事ではスノーピークの株価が下落した理由を解説しましたが、今回は2024年までの予想株価について考察します。

スノーピークは2024年までの業績目標を公表していますが、それが達成されれば、株価は4,500円まで上昇することが期待できそうです。

ただ、足元ではキャンプブームが下火になっていることや、円安、原材料高など懸念材料もあります。

本記事では、2024年までの予想株価を算出した上で、懸念材料も踏まえつつ、3年間投資して得られる利益予想を考察しました。

キャンプブームはいつまで続く?

キャンプブームで株価急騰

スノーピークの株価急騰はキャンプブームがきっかけです。

2020年以前は1,000円未満の株価でしたが、2021年から大きく値を上げ、一時は4,000円を突破しています。

しかし、ブームで急騰した銘柄は、ブーム終焉とともに急落する懸念があります。

そのため、キャンプブームが今後も続くのかというのが投資する上で重要なテーマです。

オートキャンプの参加人口の推移

そこで、過去10年間のキャンプ需要の推移を見てみましょう。

以下のグラフは、オートキャンプの参加人口の推移を表しています。

各年で1回以上オートキャンプに参加した人数を集計しており、データは日本オートキャンプ協会から引用させてもらいました。

オートキャンプ人口は2012年以降は増加傾向にある。出典:日本オートキャンプ協会

オートキャンプとは?

自動車を利用してキャンプに行くスタイルを指し、国内のほぼ全てのキャンプがこれに該当します。該当しないのは、バックパック一つでキャンプを行う玄人スタイルですが、ごく少数です。

ブーム終焉の可能性は低い

実は、キャンプ人口は2012年あたりから徐々に増えてきているようです。

2020年から特に注目されたのは、新型コロナで他のレジャーができなくなった事が理由でしょう。

つまり、キャンプブームは長年にわたって続いてきたため、コロナ終息で急にブームが去る、という心配はなさそうです。

さらに需要が伸びる可能性も

2020年以降で見ると、新型コロナを機にいったん急減していることが見て取れます。

ただ、全体の需要としてはそこまで落ちなかったようです。

というのも、既存キャンパーのキャンプ回数が1.2倍ほどに増え、人口の落ち込みをカバーしました。

今後、いったん離れたキャンパーがキャンプ場に戻ってくれば、全需はさらに押し上げられる期待があります。

そうなれば、スノーピークの業績にもプラスになるはずです。

2024年に「営業利益100億円」

キャンプブームが盛り上がる中、スノーピークは意欲的な業績目標を発表しました。

目標が記載されたのは2024年を最終年度とした中期経営計画の1ページです。

内容は、2024年度に売上高495億円、営業利益100億円というものです。

2024年度の業績目標
  • 売上高 :495億円
  • 営業利益:100億円
  • 海外比率:40%
  • ROE  :19%以上
中期経営計画における業績目標。3年間で営業利益100億円達成を目指す。出典:中期経営計画

営業利益100億円というと、2021年度のおよそ3倍にもなります。

そのため、これが実現すれば株価上昇はほぼ確実です。

株価はどこまで上昇する?

予想EPSと妥当PERから計算

では、2024年度の業績目標が実現した場合、株価はどこまで上昇するでしょうか。

具体的な予想株価を計算してみましょう。

業績を1株あたり利益(EPS)に換算し、そのEPSに予想株価をかけて算出します。

計算式は次の通りです。

予想株価=予想EPS×妥当PER

予想EPSは190円

営業利益が100億円なら、純利益は70億円程度になると予想されます。

そこから計算される1株利益は180円です。

1株利益=70億円(純利益)÷3,814万株(発行済株式数)≒180円

したがって、予想EPSは180円となります。

妥当PERは25倍

次に、妥当PERを検討してみましょう。

スノーピークのPER水準は比較的高く、過去3年間は平均40倍程度となっています。

以下のグラフが過去3年間のPER推移です。

スノーピークの予想PERの推移。平均40倍程度、下限は23倍程度で推移してきた。出典:マネックス証券

ただ、2024年の業績に対してPER40倍を適用するのは高すぎます。

企業の成長余地は成長するほど小さくなりますので、PERも低下していくのが一般的です。

そのため、過去の平均より低めに見積もる必要があります。

そこで、2020年以降の最低水準が23倍であることを踏まえ、PER25倍程度が妥当だと考えました。

したがって、妥当PERとしては25倍を適用したいと思います。

2024年の予想株価は4,500円

以上から、2024年の予想株価は次のように計算できます。

2024年予想株価=180円(EPS)×25倍(妥当PER)=4,500円

現在株価(2022年9月末時点)は約2,000円ですので、2倍以上の株価上昇が期待できることになります。

ただし、この予想は2024年度の業績目標を達成することが前提です。

そもそも、この目標が達成できそうかどうかを検証する必要があるでしょう。

業績目標は達成できるか?

アナリストの業績予想から検証

2024年までの業績目標と業績予想を比べることで、2024年の営業利益100億円が達成できそうか検証してみます。

次の画像は中期経営計画の数値目標(再掲)です。

2024年度だけでなく、2022年度、2023年度も目標も書かれています。

これらの目標と、アナリストの業績予想を比較します。

出典:中期経営計画

2022年度は営業利益が-25%の未達予想

まず、2022年度の比較です。

目標は売上高327億円、営業利益52.3億円となっています。

一方、業績予想の平均であるQUICKコンセンサスは、売上高319億円、営業利益39億円を予想しています。

業績目標業績予想目標との乖離
売上327億円319億円−2.4%
営業利益52.3億円39億円−25.4%
2022年度の業績目標と予想の乖離

目標に対する乖離度は、売上が-2.4%、営業利益が-25.4%です。

売上はほぼ目標通りではありますが、営業利益は目標の4分の3にとどまる見込みです。

したがって、2022年度は利益面で未達となる可能性が高いでしょう。

2023年度は営業利益が-30%の未達予想

次に、2023年度はどうでしょうか。

業績目標は売上402億円、営業利益70.4億円です。

一方、四季報の業績予想では、売上360億円、営業利益50億円となっています。

乖離度は、売上が-10%、営業利益が-29%です。

業績目標業績予想目標との乖離
売上402億円360億円−10%
営業利益70.4億円50億円−29%
2023年度の業績目標と予想の乖離

したがって、2023年度は目標からさらに遠のいてしまう可能性が高そうです。

目標達成の道のりは険しい

以上から、2024年度の「営業利益100億円」を達成する道のりは険しそうです。

2023年度が営業利益50億円にとどまれば、たった1年で利益を倍にするのは難しいため、2024年度の100億円は絶望的になります。

ただし、これから事業環境が好転する可能性もあります。

特に、今足かせとなっている原材料の供給不足や価格高騰が解消することが期待できます。

それらが解消に向かえば、アナリストの予想を超える業績を達成できるかもしれません。

今後のアウトドア業界の動向を注視する必要があるでしょう。

スノーピークの投資した場合の利益予想

順調なら+23万円の売却益

スノーピークに投資した場合、主な狙いは株価上昇となります。

では、2024年ごろまで保有した場合の利益はいくらになるでしょうか。

まず、2022年9月末時点の株価はおよそ2,200円です。

一方、2024年の予想株価として4,500円を予想しました。

したがって、今買って2024年に売却した場合、1株あたり2,300円のリターンとなる計算です。

1単元(100株)なら23万円のリターンとなります。

アナリスト予想通りなら+11万円の売却益

ただし、上記の予想株価は中期経営計画の達成を前提にしています。

アナリストの予想によると達成は厳しそうなので、ある程度割り引いて考えた方が良さそうです。

具体的には、3割ほど割り引くべきでしょう。

3割引いた予想株価はおよそ3,300円ですので、1株あたりのリターンは1,100円となります。

少なくとも、株価が上昇方向に動く可能性が高い、とは言えそうです。

配当利益は+3,600円の見込み

次の、配当利益を計算してみます。

スノーピークは配当についてはさほど積極的ではありません。

配当よりも成長投資を優先しているためです。

そのため、1株あたりの配当は12円、利回りでは0.5%程度にとどまります。

今後2~3年は増配する可能性は低いでしょう。

したがって、2022年度~2024年度までの3年間で獲得できる配当は次のようになります。

2024年度までの1株配当=12円(2022年度)+12円(2023年度)+12円(2024年度)=36円

1株あたり36円の配当が獲得できるので、1単元(100株)投資した場合は3,600円の配当利益となります。

株主優待のリターンは買い物額次第

最後に、株主優待も紹介しておきます。

スノーピークは株主優待を実施しおり、100株以上を1年以上保有した株主が対象です。

保有株数に応じた枚数の優待券がもらえ、スノーピークの店舗で買い物や飲食をした場合、優待券を使うことで15%の割引を受けることができます。

所有株数優待内容
100株以上500株未満優待券1枚
500株以上1,500株未満優待券2枚
1,500株以上優待券3枚
引用:スノーピークHP「株主優待・配当

会計金額の上限は1枚当たり30万円です。

したがって、フル活用すれば100株の投資だけで4万5,000円のリターンを得ることも可能です(1回で30万円分の買い物をする必要がありますが)。

また、買い物をしない場合はメルカリ等で売却することができます。

相場は1枚3,000円ほどですので、手数料・送料を引いて2,500円くらいの利益は出るでしょう。

まとめ