バルミューダが急落した5つの理由と、2026年「予想株価10,000円」の根拠




”製造しない家電メーカー”として一躍脚光を浴び、2020年末に上場を果たしたバルミューダ(6612)が株価急落に直面しています。

高値からの下落率はなんと65%。高値からおよそ3分の1の株価まで落ち込み、高値付近で買った投資家の損失は甚大です。

新型コロナを受けて減益となった上、期待のスマートフォン事業が出荷停止を食らってしまうなど、悪材料が連続して発生したのが株価下落の原因です。

一方、バルミューダが発表している売上計画を信じるなら、2026年には株価が再度10,000円を突破する可能性もあり、一概に売りとまでは言えないようです。

本記事では、バルミューダが急落した5つの原因について解説した上で、今後の重要トピックや株価予想についてまとめていきます。

バルミューダの株価が急落

株価4,000円割れまで急落

バルミューダの上場以来の株価推移。上場直後の急騰移行、下落トレンドで推移している。出典:日本経済新聞

まずはバルミューダの株価推移について確認してみましょう。

バルミューダは2020年12月16日に上場し、初値3,150円で取引が開始されました。

上場以降はほぼ一貫して株価が上昇。およそ1ヵ月あまりで初値の3倍以上となる10,610円までの急騰劇を演じました。

しかし、期待先行で上昇し過ぎた反動で株価は下落トレンドに。

2021年2月以降の株価は弱く、上下を伴いつつも約1年間に渡る下落トレンドを形成しています。

インサイダー取引、業績悪化、スマホ出荷停止など悪材料連発

株価下落の背景にはいくつかの要因があります。

大きかったのはやはり新型コロナの影響です。原材料や輸送費が高騰した上、製造が計画通り進まず販売機会を逃してしまいました。

また、役員によるインサイダー取引が発生し、ガバナンス(企業統治)の弱さが露呈する事態に。

今後も同様のことが発生する可能性がリスクとして認識されています。

さらに、期待されていたスマートフォン事業において、スマートフォン出荷停止という根幹を揺るがしかねない悪材料が出てしまいました。

悪材料が連発された結果、高値から3分の1という水準まで落ち込んでしまったのです。

バルミューダが急落した5つの理由

理由① 投機筋による株価急騰からの反落

バルミューダが急落した最も大きな要因は、投機筋が主導した株価急騰です。

上場以降、株価は3,000円台→10,000円台に急騰しましたが、これは短期筋による買い上がりがほとんどで、長期的な投資家が不在でした。

そのため、株価が下落に転じると売りが売りを呼ぶ展開となり、株価が急落してしまったのです。

理由② 金利上昇がグロース株の逆風に

金利上昇はこれから成長が見込まれる企業にとって逆風となります。

2020年12月期のバルミューダの利益成長率はおよそ30%でした。

株式市場はこの高い成長率を前提に目標株価を算定していますが、金利が上昇することで将来獲得する利益が目減りしてしまい、株価にとってマイナスに働くのです。

今後さらに金利が上昇すれば、株価にはマイナスに作用することになるでしょう。

理由③ 役員によるインサイダー取引

役員によるインサイダー取引によってバルミューダの株価は一時5%安に沈みました。

問題が発覚したのは2021年11月19日。

バルミューダが業績予想の上方修正を行う直前、社外取締役が自社株を買い付けたことが実質的にインサイダー取引に該当してしまい、当の社外取締役は5ヶ月間にわたる役員報酬100%減額という処分が下されました。

問題が報道されたことでその日の株価は5,000円→4,870円に下落し、下落トレンドに拍車をかけた形です。

理由④ 減益決算で成長期待剥落

2021年12月期の1~9月決算が減益となったことが下落トレンドのきっかけとなりました。

売上高は110.9億円と+36.9%伸びたものの、営業利益は9.1億円→4.3億円に悪化。

営業利益率は3.9%に縮小しました。

2021年12月期3Q決算は営業利益-52.7%という大幅減益に沈んだ。出典:2021年12月期 第3四半期決算説明資料

営業利益が減益となった要因は主に2つです。

バルミューダが減益となった要因
  1. 部品需給の逼迫による製品原価率の上昇
  2. 人手不足による人件費増加

いずれも新型コロナの感染拡大に起因する要因です。

これらの減益要因はある程度長期化すると見られ、業績低迷を懸念した売りが株価を押し下げる結果となりました。

理由⑤ スマホ出荷の一時停止

2022年の年明け早々、バルミューダのスマートフォンの出荷が一時停止という悪材料が報道されました。

スマホの製造は京セラに委託していますが、その京セラが「技術基準適合証明(技適)について確認事項が発生した」と連絡し、出荷の一時停止という処置がとられました。

具体的な販売再開の目途が立っていないことから株価は下落。発表翌日は3,740円まで値を下げ、年初来安値を更新してしまいました。

スマートフォン事業へ参入した当時の報道では、年初の売上高見込みとして27億円程度となると記載されています。

バルミューダの年間売上げが126億円(2020年12月期)であることを踏まえるインパクトのある数字で、市場はスマートフォン事業の進展に期待しています。

そんな中、出荷の一時停止という悪材料が出たことで、株価急落という事態になってしまったのです。

今後の焦点は「成長路線への回帰」

2022年に成長基調へ戻れるかが勝負

株価上昇に向けた今後の焦点は、コロナ前の成長力を取り戻すことができるかどうかに尽きます。

2021年12月期は3Q時点で55.6%という大幅減益でした。通期でも減益になることが予想され、もはや2021年12月期の増益は難しいでしょう。

その点については株価にある程度織込まれていますので、減益となったとしても株価への影響は知れています。

バルミューダの業績推移。2020年、2021年ともに利益成長に急ブレーキがかかり、2022年に成長路線に戻れるかが注目される。出典:日本経済新聞

そこで勝負となるのは今期の2022年12月期です。

2022年12月期に増益基調に回帰できるのであれば、株価が再評価され上昇トレンドとなる可能性があります。

一方、連続で減益、あるいはほぼ横ばいということになれば、市場の成長期待は剥落し、さらなる株価急落に陥る可能性が高いです。

成長期待剥落で株価急落の恐れ

成長期待が剥落した場合、割高な株価指標の反動で株価が急落する可能性が考えられます。

バルミューダの株価指標は現時点(2022年1月11日終値)では以下の通りです。

バルミューダの株価指標
  • PER:33.1倍
  • PBR:5.61倍

PER33.1倍、PBR5.61倍というのは一般的に割高水準と言えます。

グロース株としては決して割高ではないものの、成長力が失われた場合には売りの要因となり、株価下落となる恐れがあります。

2022年12月期も低調な業績ならPER25倍程度まで落ち込んでもおかしくありません。

スマートフォン事業の成否

2021年11月から本格的にスタートしたスマートフォン事業が今後の成長力のカギを握ることになりでしょう。

スマートフォンの売上は2021年12月期で全体の14.9%、金額ベースでおよそ27億円の規模が予想されています。

2021年度はスマートフォン事業が売上高の急成長要因となった。出典:2021年12月期 第3四半期決算説明資料

キャリア大手のソフトバンクに採用された時点でこの売上げはほぼ確定し、スタートとしては成功したと見て良いでしょう。

しかし、計画通り売れなければソフトバンクは在庫を抱える羽目になります。

その場合、バルミューダスマホの後継機を採用するという可能性が低くなると考えられます。

そうなれば、2022年度以降のスマートフォン事業の売上は伸びず、バルミューダ全体の成長も失速しかねません。

初代バルミューダスマホがしっかりとした実績を作れるかどうか。それによってバルミューダの成長力が大きく変化することになりそうです。

コロナショックでも下落しないソフトバンク株の強さとは?

バルミューダの懸念材料

部品価格・輸送費高騰の長期化

今後の懸念材料の筆頭は、新型コロナがもたらしている部品需給のひっ迫と、輸送費の高騰です。

2021年1~9月期はそれらの影響を受け、売上総利益率が前年度から-3.2%悪化し、40.5%に落ち込みました。

また、売上高販管費率は前年同期から+4.3%増加し、36.6%に上昇したことで利益を圧迫しています。

2021年12月期3Q時点では、利益率が3.2%悪化し、販管費は4.3%上昇した。出典:2021年12月期 第3四半期決算説明資料

これらの数値の悪化が結果的に減益につながっています。

新型コロナに起因する部品需給のひっ迫と輸送費の高騰は2022年も続くと見られ、業績の下押し要因となる懸念があります。

金利の上昇

長期金利の代表格である米国債10年物の金利は2022年1月に大きく上昇した。出典:三井住友銀行 マーケット情報チャート

金利の上昇はグロース銘柄の大敵です。

グロース銘柄の場合、将来発生する収益を現在価値に換算することで、割高な株価でも許容されるという性質があります。

しかし、金利が上昇すると将来の収益を現在価値に置き換える際の「割引率」が大きくなり、金利が低い場合と比べて現在価値が小さくなってしまいます。

DCF法による企業価値の算出式。金利が上がるほど割引率(r)が大きくなり、企業価値は減少する。出典:ユニヴィス

この理屈により、金利上昇局面では株価が下落方向に振れてしまうのです。

2022年は米国を中心に金利が上昇すると見られており、バルミューダの株価には逆風となるでしょう。

スマートフォン事業の撤退

バルミューダはスマートフォン事業に参入したが、成功するかどうかは未知数。将来的に撤退というリスクもある。

バルミューダスマホが成功するかどうかは現時点では未知数ですが、売れ行きが芳しくない場合、スマートフォン事業の撤退という事も考えられます。

バルミューダは製造設備を持たないファブレス企業ですので、事業撤退で巨額減損が発生するようなことにはなりませんが、期待先行で株価が上昇した反動は来るでしょう。

スマートフォン事業参入発表当時、株価はストップ高となりおよそ20%上昇しました。

撤退した場合は逆に-20%程度の株価下落となる可能性がありそうです。

業績予想と予想株価

2024年3月期までの売上計画「300億円」

バルミューダが発表している成長戦略によると、2026年までに売上高300億円超えを目指していることが読み取れます。

以下の図が2026年までの売上高の計画です。

クリーナー・携帯端末・新ジャンルを成長させることで2026年度に売上高300億円超えを狙う。出典:2021年12月期 第3四半期決算説明資料

2021年12月期は100億円あまりという売上高ですので、5年間でおよそ3倍という野心的な計画です。

内訳を見ると、空調、調理家電をベースとし、クリーナー、携帯端末、新ジャンルを成長させることで売上高300億円超えを狙います。

純利益は18億円程度に伸長

バルミューダの売上高利益率は6%ほどですので、売上高が300億円に達した場合、純利益は18億円ほどになるでしょう。

2021年12月期の純利益予想(9.3億円)からおよそ2倍に伸びる計算です。

発行済株式数が832万6,000株であることから、EPS(1株利益)はおよそ200円ほどになると予想されます。

PER50倍で「株価10,000円」

以上の業績計画が実現した場合の株価はどうなるでしょうか。

成長スピードは申し分ありませんので、株価指標は必然的に割高になり、PERは50倍程度まで許容されそうです。

EPSが200円であることから、【予想株価=EPS×PER】で次のように計算されます。

2026年の予想株価

予想株価=200円(EPS)×50倍(PER)=10,000円

現在株価(2022年1月11日時点)は3,735円ですので、ざっくり3倍という水準まで上昇することが期待できそうです。

弱気にPER30倍としても株価6,000円。いずれにしても、業績計画が実現すれば株価3,000円台は買いだったということになるでしょう。

まとめ

バルミューダの株価が下落した理由を分析した上で、今後の予想株価について考察しました。

足元の株価は軟調ではあるものの、その原因は新型コロナに起因するものが多く、新型コロナ収束後には再上昇に転じることが期待できる銘柄です。

売上計画の通りに「2026年度300億円」を達成できれば株価10,000円も射程圏内でしょう。

スマートフォン事業が軌道に乗るか、新ジャンルがうまく立ち上がるかといったハードルはあるものの、今後の株価上昇に期待できる銘柄だと考えています。




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