パワー半導体で絶好調の富士電機、株価7,400円まで上昇を予想する理由




パワー半導体が好調の富士電機ですが、今後はさらなる株価上昇を予想しています。

パワー半導体は電気自動車や自然エネルギー発電などに使用されるデバイスで、今後7年間で需要が2倍になる見込みです。

そのため、富士電機の業績も拡大が続くと予想できます。

2025年には1株利益が493円に増加し、予想PER15倍をかけて株価7,400円に達すると予想しました。

本記事では、富士電機の特徴や業績、そして予想株価の根拠について解説していきます。

これまでの株価推移

まず、富士電機の株価推移を確認してみます。

以下が過去5年間の株価チャートです。

富士電機の過去5年間の株価チャート

最も安かったのは2020年3月で、コロナショックで急落したタイミングです。

逆に、最も高かったのは2022年1月で、パワー半導体が脚光を浴びたタイミングです。

その後はほぼ横ばいで推移してきました。

現在株価は5,000円台前半と、株価レンジの中では高値に位置しています。

富士電機の特徴

売上比率

富士電機は5つのセグメントで構成されています。

富士電機の5つのセグメント
  • パワエレインダストリー・・・生産設備の自動化・省エネを手がける
  • パワエレエネルギー・・・電力会社や工場向けに電源設備を手がける
  • 半導体・・・産業分野・自動車分野向けにパワー半導体を販売
  • 食品流通・・・飲料メーカー・小売事業者向けに自販機や省人化店舗を提供
  • 発電プラント・・・発電事業者向けに発電設備を納入

売上比率では、パワエレインダストリーが32.8%で最も高く、パワエレエネルギーの25.1%、半導体の18.7%が続きます。

食品流通と発電プラントは10%未満です。

富士電機の2022年3月期の売上構成比率

利益比率

一方、利益比率は売上比率とは異なります。

最も利益を上げているのは半導体で、全体の33.4%を占めます。

続いて、パワエレインダストリーが29.2%、パワエレエネルギーが26.3%となっています。

富士電機の2022年3月期の利益構成比率

株価指標

2023年3月期の業績予想をベースに、株価指標を算出しました。

富士電機の株価指標
  • 予想PER・・・12.6倍
  • 実績PBR・・・1.55倍
  • 配当利回り・・・2.09%

予想PERは12.6倍と、東証プライムの平均である14倍を下回ります。

実績PBRは1.55倍と若干高めです。

過去のPER推移とPBR推移(下図)と比べ、特別割安感もなければ、割高感もありません。

富士電機の予想PER推移

富士電機の実績PBR推移

半導体セグメントが急成長

富士電機の成長をけん引

富士電機の株価を予想する上で重要な材料は、半導体セグメントの急成長です。

他のセグメントがほぼ横ばいの中、半導体セグメントは急成長を遂げています。

つまり、富士電機の成長をけん引する存在です。

したがって、半導体セグメントの成長度合いが株価を大きく左右します。

半導体セグメントの業績推移

そこで、半導体セグメントの業績推移をまとめました。

半導体セグメントの売上(青)と営業利益(橙)の推移

下表がグラフの元にした数値です。

決算期売上営業利益
2018/31,269億円137億円
2019/31,373億円156億円
2020/31,374億円97億円
2021/31,574億円177億円
2022/31,788億円271億円

2020年から急成長しており、2022年3月は売上・利益ともに過去最高を更新しました。

理由は、世界的にエネルギーが不足したことで、省エネ化が進んだためです。

パワー半導体は省エネ製品の必須部品なので、富士電機のパワー半導体も大きく売り上げを伸ばしています。

電動車・再生可能エネルギーで需要増加

電動車向けのパワー半導体も好調です。

世界的に電動車の生産が増加しており、電力制御を行うパワー半導体の需要も伸びています。

また、風力など自然エネルギー発電の大規模開発が進んでいるのも追い風です。

需要増加に対応するため、富士電機は生産設備の増強を決定しました。

増強分の稼働は2024年からなので、今後、さらに売り上げが伸びることが期待できます。

過去最高業績を更新

半導体セグメントが成長したことで、2023年3月期は過去最高業績に達する見込みです。

半導体需要が継続すれば、今後も最高業績を更新するでしょう。

好調が続くことで株式評価も高まっていくはずです。

富士電機の2007年以来の業績推移

今後の業績予想

2025年までの業績予想

富士電機の業績は、今後も増収増益が続く見通しです。

2025年までの業績予想をTIWから引用しました。

決算期売上営業利益1株利益
2022/3(実績)9,102億円748億円411円
2023/39,850億円870億円417円
2024/31兆175億円926億円439円
2025/31兆622億円1,023億円493円

2年で+20%の増益

今期(2023年3月期)の1株利益は417円の見通しですが、2024年3月期には439円、2025年3月期には493円まで伸びる予想です。

増益率は今後2年間で+20%です。

この通りいけば、増益に加えて成長期待も株価に加算され、かなりの株価上昇が期待できます。

電気自動車・再生可能エネルギーがカギ

株価上昇のカギとなるのは、電動自動車と再生可能エネルギーの普及です。

どちらもパワー半導体を多用する技術なので、普及が順調に進むかが重要となります。

逆に、これらの普及の妨げとなるような問題が発生したり、代替技術が登場したりすると、富士電機にとって悪材料となります。

今後の株価予想

2025年に株価7,400円を予想

業績予想をもとに、2025年の株価として7,400円を予想しました。

PERが15倍まで高まる前提で、計算は以下の通りです。

2025年の予想株価

予想株価=493円(EPS)×15倍(PER)=7,395円

今のPERは12.6倍なので、今よりも成長期待が高まる必要があります。

その点については、パワー半導体の需要が増加することが材料となるでしょう。

上値は軽い

富士電機の株価は超期間低迷してきました。

そのため、高値掴みの投資家はおらず、4,000円以上は値動きが軽いです。

特に、6,000円を超えれば真空地帯になりますので、あっという間に7,000円まで行くかもしれません。

ちなみに、2022年1月に付けた株価6,500円は32年ぶりの高値です。

まとめ

富士電機の業績と、今後の株価予想について考察しました。

これまで低迷していた富士電機の株価ですが、パワー半導体が脚光を浴びたことで、成長路線に入ろうとしています。

長期にわたって業績好調が期待できるため、成長し始めたばかりの今は買い時である可能性が高そうです。

長期目線で大きな利益を狙いたい銘柄ですね。