パワー半導体が好調の富士電機ですが、今後はさらなる株価上昇を予想しています。
パワー半導体は電気自動車や自然エネルギー発電などに使用されるデバイスで、今後7年間で需要が2倍になる見込みです。
そのため、富士電機の業績も拡大が続くと予想できます。
2025年には1株利益が493円に増加し、予想PER15倍をかけて株価7,400円に達すると予想しました。
本記事では、富士電機の特徴や業績、そして予想株価の根拠について解説していきます。
目次
これまでの株価推移
まず、富士電機の株価推移を確認してみます。
以下が過去5年間の株価チャートです。
最も安かったのは2020年3月で、コロナショックで急落したタイミングです。
逆に、最も高かったのは2022年1月で、パワー半導体が脚光を浴びたタイミングです。
その後はほぼ横ばいで推移してきました。
現在株価は5,000円台前半と、株価レンジの中では高値に位置しています。
富士電機の特徴
売上比率
富士電機は5つのセグメントで構成されています。
売上比率では、パワエレインダストリーが32.8%で最も高く、パワエレエネルギーの25.1%、半導体の18.7%が続きます。
食品流通と発電プラントは10%未満です。
利益比率
一方、利益比率は売上比率とは異なります。
最も利益を上げているのは半導体で、全体の33.4%を占めます。
続いて、パワエレインダストリーが29.2%、パワエレエネルギーが26.3%となっています。
株価指標
2023年3月期の業績予想をベースに、株価指標を算出しました。
予想PERは12.6倍と、東証プライムの平均である14倍を下回ります。
実績PBRは1.55倍と若干高めです。
過去のPER推移とPBR推移(下図)と比べ、特別割安感もなければ、割高感もありません。
半導体セグメントが急成長
富士電機の成長をけん引
富士電機の株価を予想する上で重要な材料は、半導体セグメントの急成長です。
他のセグメントがほぼ横ばいの中、半導体セグメントは急成長を遂げています。
つまり、富士電機の成長をけん引する存在です。
したがって、半導体セグメントの成長度合いが株価を大きく左右します。
半導体セグメントの業績推移
そこで、半導体セグメントの業績推移をまとめました。
下表がグラフの元にした数値です。
決算期 | 売上 | 営業利益 |
---|---|---|
2018/3 | 1,269億円 | 137億円 |
2019/3 | 1,373億円 | 156億円 |
2020/3 | 1,374億円 | 97億円 |
2021/3 | 1,574億円 | 177億円 |
2022/3 | 1,788億円 | 271億円 |
2020年から急成長しており、2022年3月は売上・利益ともに過去最高を更新しました。
理由は、世界的にエネルギーが不足したことで、省エネ化が進んだためです。
パワー半導体は省エネ製品の必須部品なので、富士電機のパワー半導体も大きく売り上げを伸ばしています。
電動車・再生可能エネルギーで需要増加
電動車向けのパワー半導体も好調です。
世界的に電動車の生産が増加しており、電力制御を行うパワー半導体の需要も伸びています。
また、風力など自然エネルギー発電の大規模開発が進んでいるのも追い風です。
需要増加に対応するため、富士電機は生産設備の増強を決定しました。
増強分の稼働は2024年からなので、今後、さらに売り上げが伸びることが期待できます。
過去最高業績を更新
半導体セグメントが成長したことで、2023年3月期は過去最高業績に達する見込みです。
半導体需要が継続すれば、今後も最高業績を更新するでしょう。
好調が続くことで株式評価も高まっていくはずです。
今後の業績予想
2025年までの業績予想
富士電機の業績は、今後も増収増益が続く見通しです。
2025年までの業績予想をTIWから引用しました。
決算期 | 売上 | 営業利益 | 1株利益 |
---|---|---|---|
2022/3(実績) | 9,102億円 | 748億円 | 411円 |
2023/3 | 9,850億円 | 870億円 | 417円 |
2024/3 | 1兆175億円 | 926億円 | 439円 |
2025/3 | 1兆622億円 | 1,023億円 | 493円 |
2年で+20%の増益
今期(2023年3月期)の1株利益は417円の見通しですが、2024年3月期には439円、2025年3月期には493円まで伸びる予想です。
増益率は今後2年間で+20%です。
この通りいけば、増益に加えて成長期待も株価に加算され、かなりの株価上昇が期待できます。
電気自動車・再生可能エネルギーがカギ
株価上昇のカギとなるのは、電動自動車と再生可能エネルギーの普及です。
どちらもパワー半導体を多用する技術なので、普及が順調に進むかが重要となります。
逆に、これらの普及の妨げとなるような問題が発生したり、代替技術が登場したりすると、富士電機にとって悪材料となります。
今後の株価予想
2025年に株価7,400円を予想
業績予想をもとに、2025年の株価として7,400円を予想しました。
PERが15倍まで高まる前提で、計算は以下の通りです。
予想株価=493円(EPS)×15倍(PER)=7,395円
今のPERは12.6倍なので、今よりも成長期待が高まる必要があります。
その点については、パワー半導体の需要が増加することが材料となるでしょう。
上値は軽い
富士電機の株価は超期間低迷してきました。
そのため、高値掴みの投資家はおらず、4,000円以上は値動きが軽いです。
特に、6,000円を超えれば真空地帯になりますので、あっという間に7,000円まで行くかもしれません。
ちなみに、2022年1月に付けた株価6,500円は32年ぶりの高値です。
まとめ
富士電機の業績と、今後の株価予想について考察しました。
これまで低迷していた富士電機の株価ですが、パワー半導体が脚光を浴びたことで、成長路線に入ろうとしています。
長期にわたって業績好調が期待できるため、成長し始めたばかりの今は買い時である可能性が高そうです。
長期目線で大きな利益を狙いたい銘柄ですね。